無題(聞道閶門萼緑華) 李商隠 17

無題
聞道閶門萼緑華、昔年相望抵天涯。
よく知られていたことだけど、蘇州閶門のある江南の地には美人が多く、仙女、萼緑華のような絶世の美女もいると私は聞いていた。昔より、それに憧れて、遠く天涯ともいうべき呉の地方、江南のあたりまで行きつきたいと思っていたのだ。
豈知一夜秦棲客、倫看呉王苑内花。
ところが、今、ある人の宴席にまねかれて客となり、江南ならぬ長安で、呉王夫差の宮殿の庭に妖しいをふりまいた西施にも喩(たとえ)られる美人をぬすみ見ることができるなんてうれしい喜びを知った。

よく知られていたことだけど、蘇州閶門のある江南の地には美人が多く、仙女、萼緑華のような絶世の美女もいると私は聞いていた。昔より、それに憧れて、遠く天涯ともいうべき呉の地方、江南のあたりまで行きつきたいと思っていたのだ。
ところが、今、ある人の宴席にまねかれて客となり、江南ならぬ長安で、呉王夫差の宮殿の庭に妖しいをふりまいた西施にも喩(たとえ)られる美人をぬすみ見ることができるなんてうれしい喜びを知った。


無題(聞道閶門萼緑華)
(下し文)
聞道らく 閶門の萼緑華、昔年 相 望んで天涯に抵る
豈に知らんや 一夜 秦楼の客となり、呉王 苑内の花を倫ぬすみ看んとは
 
聞道閶門萼緑華、昔年相望抵天涯。
よく知られていたことだけど、蘇州閶門のある江南の地には美人が多く、仙女、萼緑華のような絶世の美女もいると私は聞いていた。昔より、それに憧れて、遠く天涯ともいうべき呉の地方、江南のあたりまで行きつきたいと思っていたのだ。
閶門 がんらいは閶闔すなわち天宮の門のことだが、古くから蘇州の西の城門を閶門と呼ぶ。この言葉は結句の呉王苑内の花と対応する。○萼緑華  南山の仙女の名。青い衣を着て容色絶麗。晋の升平三年(359年)の冬の夜、羊権の家に降下し、肉体を昇華して昇天する薬をあたえたという。年二十ばかり、青衣を着、素晴らしく美しい容姿であったと、陶弘貴の「真誥」にある逸話に登場する。○抵天涯 抵は行きつく。天涯は地の果て。

豈知一夜秦棲客、倫看呉王苑内花。
ところが、今、ある人の宴席にまねかれて客となり、江南ならぬ長安で、呉王夫差の宮殿の庭に妖しいをふりまいた西施にも喩(たとえ)られる美人をぬすみ見ることができるなんてうれしい喜びを知った。
秦楼 秦は長安の古名。○呉王苑内花 いにしえの越の美女西施のことをいう。呉王夫差及び西施に就いては6/5紀頌之の漢詩ブログ西施ものがたり に詳しくわかる。


七言絶句 韻字 華、涯、

 


萼緑華 関してのこれまでの詩

李商隠 11 中元作
絳節諷颻空国來、中元朝拜上清回。
羊権須得金條脱、温嶠終虚玉鏡臺。
曾省驚眠聞雨過、不知迷路爲花開。
有娀未抵瀛洲遠、青雀如何鴆鳥媒。


李商隠 6 重過聖女詞
白石巌扉碧辞滋、上清淪謫得歸遅。
一春夢雨常飄瓦、盡日靈風不満旗。
萼緑華來無定所、杜蘭香去未移時。
玉郎会此通仙籍、憶向天階問紫芝。