公子行  劉希夷(劉廷芝) (1) 
李商隠は女性の側から見た詩をうたっているが、特に 18の無題 (八歳倫照鏡)が女の生きる道を書いた詩であった。劉希夷の詩は男性が女性に対する思いを詠っているので気分転換に取り上げた。閨の詩、恋歌である。

公子行

天津橋下陽春水,天津橋上繁華子。
洛陽の都の天津橋の下を流れる、暖かな季節春の水が流れている。洛陽の都の天津橋の上を行き交う、世間知らずな若さで青春を謳歌している貴公子たちがいる。
馬聲廻合青雲外,人影搖動綠波裏。
馬の嘶きが交わり合って青空の向こうまで伝わっていく。人の姿が澄んだきよらかな水の波のうえで揺れ動いている。
綠波蕩漾玉爲砂,青雲離披錦作霞。
澄んだきよらかな波は、揺れ動き漂って、宝石の玉のようである。青空のくもは離れ拡がり、恰も雲の筋が錦のようである。
可憐楊柳傷心樹,可憐桃李斷腸花。
憐れんでしまう、楊柳の緑は別れ、傷心の樹。憐れんでしまう、桃李は斷腸の花。
此日遨遊邀美女,此時歌舞入娼家。』

この陽春の一日の遊びは美女を迎えるのだ、此の時、歌舞遊興をもとめて妓楼に入り込んだのだ。
娼家美女鬱金香,飛去飛來公子傍。
妓楼の美女は、鬱金香の香りがしている、貴公子の側を、いったりきたりしている。

的的珠簾白日映,娥娥玉顏紅粉妝。
きらきらと輝く宝玉製のスダレが、昼間の太陽に照り映えている。きれいなきらきらした顔をした女性が、紅(べに)と白粉(おしろい)で、粧(よそお)っている。
花際裴回雙蛺蝶,池邊顧歩兩鴛鴦。
花の周りをアゲハチョウが行ったり来たりしており、池の畔(ほとり)では、二羽の対(つがい)となったオシドリが左右をふり返りながら歩いている。
傾國傾城漢武帝,爲雲爲雨楚襄王。』

国を傾け、城を傾けさせると謂われるほどの絶世の美女(李夫人)を愛した漢の武帝、雲となり、雨となる(神女との契りを結んだ)楚の襄王(の情愛)。 
古來容光人所羨,況復今日遙相見。
昔よりずっと、顔や姿の美しいことは、人々が羨(うらや)ましいと思うところだ、人々は、昔から、美女を羨望の的として思ってきたが、今日はこうやって遙々(はるばる)と会いに来たのだ。
願作輕羅著細腰,願爲明鏡分嬌面。
願うことならば軽やかな薄絹となって、か細い腰にまとわりつきたいものだ。願うことならば、澄んだ鏡となって、可愛い顔を写し取りたいものだ。
與君相向轉相親,與君雙棲共一身。
あなたと向かい合っていると、一層親しさが濃くなってくる、あなたと二人で、一緒になって住むのです。
願作貞松千歳古,誰論芳槿一朝新。
願うことならば、貞操を守っていつも葉の色を変えない松のようになって千年も経たいのです、ムクゲのように、毎朝、新たに咲いて、夕方には凋んでしまうようなこと一体誰が考えましょうか。
百年同謝西山日,千秋萬古北邙塵。』
百年、人生も同様に太陽のように西方の山に沈んでいくのだ。永遠の時の後は、北山の陵墓の塵土になっている。

洛陽の都の天津橋の下を流れる、暖かな季節春の水が流れている。洛陽の都の天津橋の上を行き交う、世間知らずな若さで青春を謳歌している貴公子たちがいる。
馬の嘶きが交わり合って青空の向こうまで伝わっていく。人の姿が澄んだきよらかな水の波のうえで揺れ動いている。
澄んだきよらかな波は、揺れ動き漂って、宝石の玉のようである。青空のくもは離れ拡がり、恰も雲の筋が錦のようである。
憐れんでしまう、楊柳の緑は別れ、傷心の樹。憐れんでしまう、桃李は斷腸の花。
この陽春の一日の遊びは美女を迎えるのだ、此の時、歌舞遊興をもとめて妓楼に入り込んだのだ。
妓楼の美女は、鬱金香の香りがしている、貴公子の側を、いったりきたりしている。
きらきらと輝く宝玉製のスダレが、昼間の太陽に照り映えている。きれいなきらきらした顔をした女性が、紅(べに)と白粉(おしろい)で、粧(よそお)っている。
花の周りをアゲハチョウが行ったり来たりしており、池の畔(ほとり)では、二羽の対(つがい)となったオシドリが左右をふり返りながら歩いている。
国を傾け、城を傾けさせると謂われるほどの絶世の美女(李夫人)を愛した漢の武帝、雲となり、雨となる(神女との契りを結んだ)楚の襄王(の情愛)。 
昔よりずっと、顔や姿の美しいことは、人々が羨(うらや)ましいと思うところだ、人々は、昔から、美女を羨望の的として思ってきたが、今日はこうやって遙々(はるばる)と会いに来たのだ。
願うことならば軽やかな薄絹となって、か細い腰にまとわりつきたいものだ。願うことならば、澄んだ鏡となって、可愛い顔を写し取りたいものだ。
あなたと向かい合っていると、一層親しさが濃くなってくる、あなたと二人で、一緒になって住むのです。
願うことならば、貞操を守っていつも葉の色を変えない松のようになって千年も経たいのです、ムクゲのように、毎朝、新たに咲いて、夕方には凋んでしまうようなこと一体誰が考えましょうか。
百年、人生も同様に太陽のように西方の山に沈んでいくのだ。永遠の時の後は、北山の陵墓の塵土になっている。

(下し文)公子行
天津橋下  陽春の水、天津橋上  繁華の子。
馬聲 廻合(くゎいがふ)す  青雲の外,人影 搖動(えうどう)す  綠波の裏。
綠波 蕩漾(たうやう)として  玉を 砂と爲し,青雲 離披(りひ)として  錦を 霞と作す。
憐む可(べ)し 楊柳(やうりう)  傷心の樹,憐む可(べ)し 桃李(たうり)  斷腸の花。
此の日 遨遊(がういう)して  美女を 邀(むか)へ,此の時 歌舞して  娼家(しゃうか)に入る。
娼家の美女  鬱金香(うっこんかう),飛び去り 飛び來(きた)る  公子の傍(かたはら)。
的的たる 珠簾  白日に 映(は)え,娥娥(がが)たる 玉顏  紅粉もて 妝(よそほ)ふ。
花際 裴回(はいくゎい)す  雙 蛺蝶(けふてふ),池邊 顧歩す  兩 鴛鴦(ゑんあう)。
國を傾け 城を傾く  漢の武帝,雲と爲り 雨と爲る  楚の襄王(じゃうわう)。
古來 容光(ようくゎう)は  人の羨(うらや)む所,況(いは)んや復(ま)た 今日  遙かに相ひ見るをや。
願はくは 輕羅(けいら)と作(な)りて  細腰(さいえう)に 著(つ)かん,願はくは 明鏡(めいきゃう)と爲りて  嬌面(けうめん)を 分かたん。
君と 相ひ向ひて  轉(うた)た 相ひ親しみ,君と 雙(なら)び棲(す)みて  一身を共にせん。
願はくは 貞松(ていしょう)と作(な)りて  千歳に古(ふ)りなん,誰(たれ)か論ぜん  芳槿(はうきん) 一朝(いつてう)に新たなるを。
百年 同(おなじ)く 謝す  西山の日,千秋 萬古  北邙(ほくばう)の塵。



公子行
劉希夷の二つの代表作。公子(男性)の一生を歌ったもので、女性の一生を歌った『白頭吟(代悲白頭翁)』「洛陽城東桃李花,飛來飛去落誰家。洛陽女兒惜顏色,行逢落花長歎息。今年花落顏色改,明年花開復誰在。已見松柏摧爲薪,更聞桑田變成海。古人無復洛城東,今人還對落花風。年年歳歳花相似,歳歳年年人不同。寄言全盛紅顏子,應憐半死白頭翁。此翁白頭眞可憐,伊昔紅顏美少年。公子王孫芳樹下,清歌妙舞落花前。光祿池臺開錦繍,將軍樓閣畫神仙。一朝臥病無人識,三春行樂在誰邊。宛轉蛾眉能幾時,須臾鶴髮亂如絲。但看古來歌舞地,惟有黄昏鳥雀悲。」とともに「詞調哀苦」で有名である。この『公子行』は、『白頭吟(代悲白頭翁)』同様、全篇の殆どが対句で構成されている見事なものである。

天津橋下陽春水、天津橋上繁華子。
洛陽の都の天津橋の下を流れる、暖かな季節春の水が流れている。洛陽の都の天津橋の上を行き交う、世間知らずな若さで青春を謳歌している貴公子たちがいる。
 ・天津橋 洛陽の都の南にあった橋。隋・煬帝が洛陽に都を遷した時、架した橋で、洛水を天の川に比して「天津」(天の川の渡し場)と名づけた。旧洛陽は洛水を挟んでおり、宮城の南に皇城があり、その正門が「端門」で、更にその真南にあるのが「天津橋」になる。この橋の道というのが、街路中央に御道(天子行幸路)が備えられた御成道であるという洛陽の代表的な道であり、この天津橋は、洛陽を代表的する橋になる ・陽春 陽気の満ちた暖かな春の時節。 ・ ここでは、洛水川の流れのことになる。 ・繁華子 世間知らずな若さで青春を謳歌している貴公子たち。

馬聲廻合青雲外、人影搖動綠波裡。
馬の嘶きが交わり合って青空の向こうまで伝わっていく。人の姿が澄んだきよらかな水の波のうえで揺れ動いている。
 ・馬聲 馬の嘶き。 ・廻合 かいごう 交わり合う。 ・青雲 青みがかった雲。春霞の空。 ・ …の向こうまで。 ・人影 人の姿。 ・搖動 ようどう 揺れ動く。 ・綠波 緑色の波。「 波」とみれば、澄んだきよらかな水の波。 ・ …の内。ここでは、人影が川面に映っているさまをいう。

綠波蕩漾玉爲砂、青雲離披錦作霞。
澄んだきよらかな波は、揺れ動き漂って、宝石の玉のようである。青空のくもは離れ拡がり、恰も雲の筋が錦のようである。
蕩漾 とうよう 水、波などが揺れ動く。漂う。 ・玉爲砂 恰も玉(ぎょく)を砂にしたようである。宝石の玉のようである。 ・離披 りひ 分離するさま。 ・錦作霞 くもがが分かれて、筋状になった久野のある夕やけ。 ・作 なす。なる。 ・ 夕やけや朝やけ。

可憐楊柳傷心樹、可憐桃李斷腸花。
憐れんでしまう、楊柳の緑は別れ、傷心の樹。憐れんでしまう、桃李は斷腸の花。
可憐 強く心に感じたさまを表す。普通では、いじらしく、かわいらしいこと。 ・楊柳 ようりゅう ヤナギの総称。 ・傷心 柳は別れ、心を傷(いた)めること。悲しく思うこと。・桃李 モモの花とスモモの花。 ・斷腸 だんちょう 腸(はらわた)を断ち切られるほどの悲しさ、辛さなどを謂う。嫉妬と焦燥感を示す花のこと。男女を詠うん場合、ほかのもとにいる男性を待っていも来ない状況女性の心境をあらわす。


此日遨遊邀美女、此時歌舞入娼家。
この陽春の一日の遊びは美女を迎えるのだ、此の時、歌舞遊興をもとめて妓楼に入り込んだのだ。
此日 この日。この陽春の一日。 ・遨遊 ごうゆう あそぶ。 ・ よう 迎える。求める。濫(みだり)に受ける。遇(あ)う。待ち受ける。 ・美女 容姿の美しい妓女のこと。・歌舞 歌うことと舞うこと。遊興。 ・娼家 しょうか 遊女を置いて客をとる家。妓楼。青楼。

娼家美女鬱金香、飛去飛來公子傍。
妓楼の美女は、鬱金香の香りがしている、貴公子の側を、いったりきたりしている。
鬱金香 うっこんこう チューリップ。キゾメグサ(鬱金)の香。香草、ハーブの名。西域にあるウッコン草から採った香。女性の性をしめす語。 ・飛去飛來 飛び交う。いったりきたり。 ・公子 諸侯や貴族の子息。・ かたわら。そば。

的的珠簾白日映、娥娥玉顏紅粉妝。
きらきらと輝く宝玉製のスダレが、昼間の太陽に照り映えている。きれいなきらきらした顔をした女性が、紅(べに)と白粉(おしろい)で、粧(よそお)っている。
 ・的的 てきてき 明るく輝くさま。 ・珠簾 玉スダレ。宝玉製のスダレ。 ・白日 照り輝く太陽。昼間の太陽。 ・映 照り映える。映じる。反射する。・娥娥 嫦娥 神話中の女性。神話の英雄、羿(がい)が西方極遠の地に存在する理想国西王母の国の仙女にお願いしてもらった不死の霊薬を、その妻の嫦娥がぬすみ飲み、急に身軽くなって月世界まで飛びあがり月姫となった。漢の劉安の「淮南子」覧冥訓に登場する。なお、魯迅(1881-l936)にこの神話を小説化した「羿月」がいげつと題する小説がある。 ・玉顏 きれいな顔。 ・紅粉 (女性の化粧品の)紅(べに)と白粉(おしろい)。化粧品。 ・ しょう 化粧する。粧(よそお)う。

花際裴徊雙蛺蝶、池邊顧歩兩鴛鴦。
花の周りをアゲハチョウが行ったり来たりしており、池の畔(ほとり)では、二羽の対(つがい)となったオシドリが左右をふり返りながら歩いている。
花際 花の咲いている周り。 ・裴徊 はいかい うろうろするさま。また、うろつく。行ったり来たりする。たちもとおる。孔雀が長い尾を曳きずるさま。衣服の長い裾を曳きずってうろうろするさま。
 つがいの。二匹の。 ・ 蛺蝶 きょうちょう ヒオドシチョウ。アゲハチョウ。 ・池邊 池の畔(ほとり)。池の傍(そば)。 ・顧歩 こほ 左右をふり返りながら歩く。 ・兩:ここでは、二羽の。つがいの。 ・鴛鴦 えんおう オシドリ。オシドリの雌雄が常に離れることがないので、仲のよい夫婦に喩えられる。「鴛」は雄で「鴦」は雌ともする。

傾國傾城漢武帝、爲雲爲雨楚襄王。
国を傾け、城を傾けさせると謂われるほどの絶世の美女(李夫人)を愛した漢の武帝、雲となり、雨となる(神女との契りを結んだ)楚の襄王(の情愛)。 
 ・傾國傾城 国を傾け、城を傾けさせるほどの絶世の美女。漢代、歌手の李延年が武帝に自分の妹を絶讃して薦めた「歌」に基づく。  ・傾國 国を傾けさせるほどの絶世の美女。 ・傾城 城を傾けさせるほどの絶世の美女。 ・漢武帝 漢の武帝。(前156年~前87年)前漢第七代皇帝。劉徹のこと。漢帝国の基礎を確立させ、匈奴勢力を漠北から駆逐した。
 ・爲雲爲雨 男女の交情をいう。楚の襄王が巫山で夢に神女と契ったことをいう。神女は朝は巫山の雲となり、夕べには雨になるという故事からきている。婉約の詩詞によく使われるが、千載不磨の契りという風ではなく、もう少し気楽な交わりを謂う。 ・爲雲 (神女は、朝は巫山の)雲となる。 ・爲雨 (神女は、夕べには巫山の)雨になる ・楚襄王 そじょうおう 楚の襄王。宋玉の『高唐賦』によると、楚の襄王と宋玉が雲夢の台に遊び、高唐の観を望んだところ、雲気(雲というよりも濃い水蒸気のガスに近いもの)があったので、宋玉は「朝雲」と言った。襄王がそのわけを尋ねると、宋玉は「昔者先王嘗游高唐,怠而晝寢,夢見一婦人…去而辭曰:妾在巫山之陽,高丘之阻,旦爲朝雲,暮爲行雨,朝朝暮暮,陽臺之下。」と答えた。婉約の詩歌でよく使われる。「巫山之夢」。李白の『清平調』三首之二に「一枝紅艷露凝香,雲雨巫山枉斷腸。借問漢宮誰得似,可憐飛燕倚新粧。」 と詠っている。

古來容光人所羨、況復今日遙相見。
昔よりずっと、顔や姿の美しいことは、人々が羨(うらや)ましいと思うところだ、人々は、昔から、美女を羨望の的として思ってきたが、今日はこうやって遙々(はるばる)と会いに来たのだ。 
古來 昔から今に至るまで。昔より。 ・容光 〔ようくゎう〕顔や姿の美しいこと。風采。ようす。俤。 ・人所羨 人々の羨(うらや)むところである。 ・ …するところ(のこと)。・況復 きょうふく その上。それに加えて。 ・ まして。いわんや。いはんや…をや。 ・今日 男性と女性が出会った日。 ・ 遙々(はるばる)と。 ・相見 会う。

願作輕羅著細腰、願爲明鏡分嬌面。
願うことならば軽やかな薄絹となって、か細い腰にまとわりつきたいものだ。願うことならば、澄んだ鏡となって、可愛い顔を写し取りたいものだ。
願作 …になりたい。願望を表し「願爲」と同じ。

漢の烏孫公主・劉細君の『悲愁歌』
吾家嫁我兮天一方,遠託異國兮烏孫王。
穹盧爲室兮氈爲牆,以肉爲食兮酪爲漿。
居常土思兮心内傷,願爲黄鵠兮歸故鄕。
輕羅 軽やかなうすぎぬ。 ・ つく。 ・細腰 さいよう 女性のか細い腰。楚の霊王が細い腰を好んだという。 ・願爲 …になりたい。前出「願作」と同じ。 ・明鏡 澄んだ鏡。  ・嬌面 可愛い顔。愛くるしい顔。艶やかな顔。

與君相向轉相親、與君雙棲共一身。
あなたと向かい合っていると、一層親しさが濃くなってくる、あなたと二人で、一緒になって住むのです
與君 あなたと。 ・相向:向かい合って。 ・ てん ま。一層…となってくる。かえって…となってくる。何となく。うたた。 ・相親 親しくしていき。 ・雙棲 夫婦や、つがいのように両者が一緒になって住む。 ・共一身 我が身と貴男の身を共にして。夫婦として。

願作貞松千歳古、誰論芳槿一朝新。
願うことならば、貞操を守っていつも葉の色を変えない松のようになって千年も経たいのです、ムクゲのように、毎朝、新たに咲いて、夕方には凋んでしまうようなこと一体誰が考えましょうか。
貞松 ていしょう 操の堅い松。節義を守って冬にも葉の色を変えない、常青の松。 ・千歳古 千載不磨の契りを交わす。 ・千歳 千年。 ・誰論 一体誰があげつらおうか。 ・槿 芳(かぐわ)しいムクゲ。花は、アサガオのように朝に開いて、夜には凋(しぼ)む。一朝だけの儚(はかな)い花。色には淡紅・白・淡紫色などがある。木槿。

百年同謝西山日、千秋萬古北邙塵。
百年、人生も同様に太陽のように西方の山に沈んでいくのだ。永遠の時の後は、北山の陵墓の塵土になっている。
百年 人の生の最大値である。 ・同 同じく。同様に。 ・ 辞去する。世を去る。死ぬ。衰える。散る。凋む。 ・西山日 西方の山に沈んでいく太陽。 ・千秋萬古 永遠に。とわに。永久に。 ・北邙塵:北邙山の陵墓の塵土。洛陽の北にある陵墓が集まってある山。墓所をいい表す語である。洛陽の北20キロメートルの所を東西に広がっている。その北側を黄河が流れている。 ・ ぢん 塵土。土に帰ること。