陸游 麗わしの人、唐琬。(5)
 七言絶句 十二月二日夜夢沈氏遊園亭 二首 其一
  陸游75歳の作 
 
[結婚期間]  21-22歳
1. 釵頭鳳  33歳 偶然の再開
2. 絶句二首其一 63歳 菊採り枕嚢を縫い、
3. 絶句二首其二 63歳 「凄然」とした詩
4. 七言律詩 68歳 妄想はのぞき消しつくそう
5. 沈園 二首其一 75歳 春波綠
6. 沈園 二首其二 75歳 柳老不吹綿

(夢を見ての作)
7. 十二月二日夜夢沈氏遊園亭 二首 其一84歳
8. 十二月二日夜夢沈氏遊園亭 二首 其二84歳


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十二月二日夜夢沈氏遊園亭 二首 其一
路近城南己怕行、沈家園裏更傷情。
道をそぞろに歩くと城郭の南の方に来ていた青の場所に近づいてきたので行くのをためらってしまう。
そのため沈家の庭園の裏側回ってみたがますます痛みの気持ちになってしまった。

香穿客袖梅花在、緑蘸寺橋春水生。

香が袖から入ってきたので梅の花が開いているのに気が付いた、綠が寺への橋のなみなみと注がれ、いっぱいになるように春水がうまれていた。

道をそぞろに歩くと城郭の南の方に来ていた青の場所に近づいてきたので行くのをためらってしまう。
そのため沈家の庭園の裏側回ってみたがますます痛みの気持ちになってしまった。
香が袖から入ってきたので梅の花が開いているのに気が付いた、綠が寺への橋のなみなみと注がれ、いっぱいになるように春水がうまれていた。


(下し文)十二月二日夜、夢に沈氏の園亭に遊ぶ二首
路城南に近づけば 己に行くを怕る、沈家の園の裏に更に情を傷ましむ
香は客の袖を穿ちて 梅花在り、緑は寺の橋を帯して 春水生ず


路近城南己怕行、沈家園裏更傷情。
道をそぞろに歩くと城郭の南の方に来ていた青の場所に近づいてきたので行くのをためらってしまう。
そのため沈家の庭園の裏側回ってみたがますます痛みの気持ちになってしまった。
 おびえる。しんぱいだな。


香穿客袖梅花在、緑蘸寺橋春水生。
香が袖から入ってきたので梅の花が開いているのに気が付いた、綠が寺への橋のなみなみと注がれ、いっぱいになるように春水がうまれていた。
香穿 香が入り込む。 ○客袖 陸游自身の袖。○緑蘸 透きとった水がひたひたになる。 ○春水生 これから春の水になっていく。
香、綠、春水、蘸艶歌に使われる用語で構成されている。後漢・六朝からつづく玉台新詠の流れのもので、艶歌は上流社会で、何より喜ばれた時代である。



十二月二日夜夢沈氏遊園亭 二首 其二
城南小陌又逢春、只見梅花不見人。
城南へ向かう小陌(みち)に又、春のはなにで逢った、只 梅花を見ている人がいない。
玉骨久成泉下土、墨痕猶鎖壁閒塵
麗しの人は骨になっており泉の下の土になって久しい、壁に書き付けた詩の墨は今なお壁の間で塵とともにのこっている。

城南へ向かう小陌(みち)に又、春のはなにで逢った、只 梅花を見ている人がいない。
麗しの人は骨になっており泉の下の土になって久しい、壁に書き付けた詩の墨は今なお壁の間で塵とともにのこっている。


(下し文)其の二
城南の小陌に又た春に逢う、只だ梅花を見るのみにして人を見ず
玉骨 久しく泉下の土と成れり、墨痕は猶お壁間の塵に鎖さる


城南小陌又逢春、只見梅花不見人。
城南へ向かう小陌(みち)に又、春のはなにで逢った、只 梅花を見ている人がいない。
 街の中の通りの小道。


玉骨久成泉下土、墨痕猶鎖壁閒塵

麗しの人は骨になっており泉の下の土になって久しい、壁に書き付けた詩の墨は今なお壁の間で塵とともにのこっている。
玉骨 唐琬がすでに死んでいるそれを骨という表現をしている。○久成 そうなってから久しい。○泉下土 わざわざ泉という艶歌用語を使用し、下という用語を土で挟んでいる艶歌である。○墨痕 詩を書きつけた痕跡。○壁閒塵 柱と柱の間の壁と長い間の塵で薄汚れてきた様子をあらわしている。この聯の圧巻は「泉下土」である。骨となって埋葬されているとしながら、男女間のこと連想させて、麗しの人をぅおい徴している。


(「十二月二日夜、夢に沈氏の園亭に遊ぶ」二首)

(84歳春、絶句二首につづく。)