北青蘿 李商隠  :紀頌之の漢詩ブログ李商隠特集 60
853年梓州李商隠43歳。

李商隠晩年の作。唐王朝は王朝として存在はするものの各地の潘鎮、節度使が小王国を形成し始めており、官僚による国家の正常な政治は期待できない状態であった。李商隠の詩に変化が現れ、「獺祭魚」的な部分は影を潜め、隠遁者、禅宗の修行者の雰囲気の抒情詩になっている。

北青蘿
残陽西入崦、茅屋訪孤僧。
夕日が迄か西の彼方崦峨山に入るころ、茅ぶきの庵に独り住う僧を訪ねてきた。
落葉人何在、寒雲路幾層。
枯葉が庭に敷き詰められている、ここには人の気配というものがどうしあるといえよう。冬の寒々した雲はが、幾層にも道のように積み重ってあたりをおおっでいる
濁敲初夜磬、閒倚一枝藤。
ただ、僧のたたく磬の音だけが宵の時刻にあたりに響き渡っている。私はものしずかに一本の藤の杖によりかかって見ているだけである。
世界微塵裏、吾寧愛與憎。
この世界、万物とりわけ人間は、徴かい塵のようであり、どうしようもない仕組みの中にいるのである。私は、どうして、女性を愛すること宦官や党派の政争を憎しみというものを考えているのだろうか。



夕日が迄か西の彼方崦峨山に入るころ、茅ぶきの庵に独り住う僧を訪ねてきた。
枯葉が庭に敷き詰められている、ここには人の気配というものがどうしあるといえよう。冬の寒々した雲はが、幾層にも道のように積み重ってあたりをおおっでいる
ただ、僧のたたく磬の音だけが宵の時刻にあたりに響き渡っている。私はものしずかに一本の藤の杖によりかかって見ているだけである。
この世界、万物とりわけ人間は、徴かい塵のようでありどうしようもない仕組みの中にいるのである。私は、どうして、女性を愛すること宦官や党派の政争を憎しみというものを考えているのだろうか。




北青蘿
残陽は西のかた崦(えん)に入り、茅屋に孤僧を訪う。
落葉 人何くにか在る、寒雲 路幾層。
独り敲(たた)く初夜の磬(けい)、閒(しずか)に倚る一枝の藤。
世界 微塵(びじん)の裏、吾寧(な)んぞ愛と憎とをせんや。
 
 
残陽西入崦、茅屋訪孤僧。
夕日が迄か西の彼方崦峨山に入るころ、茅ぶきの庵に独り住う僧を訪ねてきた。
北青蘿 字義は山蔭のつた。ここは庵の名であろう。だが、場所設定はできないが晩年であり、○ 山の一角。日が沈んでいる部分のこと。雲南省崦峨山のこととする説もあるが、違う。隠者は場所の特定をしないもの。


落葉人何在、寒雲路幾層。
枯葉が庭に敷き詰められている、ここには人の気配というものがどうしあるといえよう。冬の寒々した雲はが、幾層にも道のように積み重ってあたりをおおっでいる。


濁敲初夜磬、閒倚一枝藤。
ただ、僧のたたく磬の音だけが宵の時刻にあたりに響き渡っている。私はものしずかに一本の藤の杖によりかかって見ているだけである。
初夜 初更すなわち午後八時。○ 玉石の楽器。キン。折れ曲った矩形に造り、軒にかけて鳴らす。鐘と共に時刻を知らすのに用いられる。○閒倚 閒は閑に同じ。〇一枝藤 藤の杖。生の蔦は木に巻きついているが、杖はそれを解き一枝にしている。隠者の雰囲気を醸し出している表現である。


世界微塵裏、吾寧愛與憎。
この世界、万物とりわけ人間は、徴かい塵のようでありどうしようもない仕組みの中にいるのである。私は、どうして、女性を愛すること宦官や党派の政争を憎しみというものを考えているのだろうか。
世界微塵裏 微塵はこまかいちり。裏は、ものの裏或いは内側、転じて広く仕組みの内、仕組みののもとでという意味。