漢宮詞 李商隠 :紀頌之の漢詩ブログ李商隠特集 63
846年 鄭州と長安 李商隠35歳。



漢宮詞
青雀西飛竟未回、君王長在集霊臺。
仙女西王母の使者である青い鳥は、崑崙山のある西の彼方へ飛び去って、約束の訓戒を守らず奢侈にあけくれ、ついに二度とかえって来なかった。漢の武帝は西王母を迎え長命の術をさずかるべく、集霊宮、通天台などの高閣を建てて、長くそこで西王母をまっていた。
侍臣最有相如渇、不賜金茎露一杯。

その侍臣に文才秀れた司馬相如がいたが糖尿病を病んで苦しんでいた。帝は、それを知らぬはずのないのに、豪華に設えた承露盤の露、それは不老長寿の薬であり、盃に一杯だけでも賜ろうとしなかった。




仙女西王母の使者である青い鳥は、崑崙山のある西の彼方へ飛び去って、約束の訓戒を守らず奢侈にあけくれ、ついに二度とかえって来なかった。漢の武帝は西王母を迎え長命の術をさずかるべく、集霊宮、通天台などの高閣を建てて、長くそこで西王母をまっていた。
その侍臣に文才秀れた司馬相如がいたが糖尿病を病んで苦しんでいた。帝は、それを知らぬはずのないのに、豪華に設えた承露盤の露、それは不老長寿の薬であり、盃に一杯だけでも賜ろうとしなかった。



漢宮詞
青雀は西に飛んで竟に未だ回らず、君王は長えに在り 集霊台。
侍臣 最も相加の渇有れども、金茎の露一杯を賜らず




○漢宮 直接的には、漢の武帝劉徹(紀元前156-前87年)短気で独断的な性格、後半は、外征や不老長寿願望、神仙嗜好等から来る奢侈により財政の悪化をさせた。
漢の武帝がそうであったように、道教寺観を各地に立て、国教化させた唐朝では、第6代皇帝玄宗李経基(685-752年)や第11代皇帝憲宗(778―820年)を顕著な例とし、殆ど歴代の天子が、晩年、不老長寿の術に迷い、劇薬に却って健康をそこなったからである。第15代天子武宗(814-845年)も中毒死。○司馬相如 は「子虚・上林賦」」を武帝にたてまつった。武帝は大いに喜び、司馬相如を郞に復職させた。これらのことを題材にして、漢の武帝を詠いながら、それ以上にひどい唐王朝を批判している。


青雀西飛竟未回、君王長在集霊臺。
仙女西王母の使者である青い鳥は、崑崙山のある西の彼方へ飛び去って、約束の訓戒を守らず奢侈にあけくれ、ついに二度とかえって来なかった。漢の武帝は西王母を迎え長命の術をさずかるべく、集霊宮、通天台などの高閣を建てて、長くそこで西王母をまっていた。
青雀 仙界との通信を媒介するという鳥。この句は漢の武帝の故事をふまえる。六朝時代の小説「漢武故事」と「漢武帝内伝」の記事を折衷すると以下の如くである。漢の武帝が承華殿で禊をしていたところ、突然、青い鳥が西方から飛んで来た。武帝が侍従文人の東方朔に尋ねた所、仙女西王母の使者に相違ないとの答えだった。事実、間もなく聖母がやって来た。武帝は長命の術をたずね、西母は守るべき訓戒を与えた。三年後に再訪するという約束を得たので、その後、武帝は彼女を迎える楼閣は建てたが、訓戒の養生訓を守らなかったので、西王母は二度とやって来なかったという。なお「漢武帝内伝」では、使者は青衣の女子となっている。○集霊台 漢の武帝が道教に執心し、西王母を迎える為に建てた宮殿の一つ。集霊宮中の通天台のこと。陝西省華山の北の山麓にあったという。



侍臣最有相如渇、不賜金茎露一杯。
その侍臣に文才秀れた司馬相如がいたが糖尿病を病んで苦しんでいた。帝は、それを知らぬはずのないのに、豪華に設えた承露盤の露を、それは不老長寿の薬であり、盃に一杯だけでも賜ろうとしなかった。
相如渇 相如は漢代の文人司馬相如(紀元前179年 - 紀元前117年)字名長卿のこと。蜀群成都の人。初め孝景帝劉啓(紀元前188―141年)に仕えたが、その弟である梁の孝主が文人を優遇するのを知って、それに仕えた。梁主の死後、故郷に帰り、臨卭の富豪卓王孫の娘文君の心を、琴の調べでとらえてかけおちした。のちに彼の作品上林の賦が認められて武帝に仕えた。彼は若い頃から消渇(恐らく糖尿病のこと)を病んでいたが、晩年は故郷に蟄居した。消渇(しょうかち、しょうかつ)は、現在では糖尿病を指す言葉として用いられている。本来の伝統中国医学(東洋医学)の用語では、口渇がひどく多量の水を飲んでも、体内でその水が消えてなくなるすなわち尿量が少ないことで現在の脱水状態をいう。現代医学の病名に比較すれば糖尿病に匹敵するが、実際には腎機能障害、心臓血管不全、水分代謝中枢障害が原因となって起こる口渇と多尿の証候を意味している。
唐皇帝の多くは、強中症として色を好み、丹石を多く食べて真気が脱落し、熱邪が出て、痩せてきて、小便が膏油のようで、いつも勃起し、交合しなくても射精するといった症状である。三消の中ではでもっとも難治性である。漢方医学では牛車腎気丸、滋陰降火湯、四物湯、清心蓮子飲、調胃承気湯、麦味地黄丸、八味地黄丸、鹿茸大補湯、六味丸が用いられるが、万病回春によると天花粉を主薬にすべしとある。○金茎 承露盤を支える銅柱。承露盤は漢の武帝が建章宮に建てた銅盤。その上の霧を飲めば不死を求め得ると道教では説く。