細雨 李商隠 紀頌之の漢詩ブログ李商隠特集-75
詩型 五言絶句。

これまでの李商隠の雨を主題にした詩
7 無題(颯颯東風細雨來)
8 無題 (昨夜星辰昨夜風)
53 夜雨寄北
71 風雨
これから  

76 細雨(帷飄白玉堂) 李商隠特集
77 春雨 李商隠特集
78  細雨(瀟洒傍廻汀)
79 七月二十八日夜與王鄭二秀才聽雨後夢作
など
雨を主題とした詠物詩。この詩には「雨」の語を出さず、比喩を連ね、比喩から連想されるイメージを繰り広げる手法がとられている。


細 雨
帷飄白玉堂、簟巻碧牙牀。
やわらかに風に翻るとばりは、白い玉の輝く堂を包んでいる。あるいは竹の敷物は、冷やかに碧く光る象牙の牀に拡げられている。
楚女昔時意、蕭蕭髪彩涼。
巫山の神女はその身をささげたあの時の気持ちを秘めて今もいる、粛々と黒髪を一層色濃くし涼やかにしている。


やわらかに風に翻るとばりは、白い玉の輝く堂を包んでいる。あるいは竹の敷物は、冷やかに碧く光る象牙の牀に拡げられている。
巫山の神女はその身をささげたあの時の気持ちを秘めて今もいる、粛々と黒髪を一層色濃くし涼やかにしている。


細 雨
帷は飄る 白玉の堂、簟は巻く 碧牙の牀
楚女 当時の意、蕭蕭として髪彩涼し


 

細雨 李商隠に雨を詠じた詩は多い
 
帷飄白玉堂、簟巻碧牙牀。
やわらかに風に翻るとばりは、白い玉の輝く堂を包んでいる。あるいは竹の敷物は、冷やかに碧く光る象牙の牀に拡げられている。
 部屋の周囲に垂れ掛けるとばり。とばりの中で激しいいとなみ、その肌には白玉の汗がにじむ。○簟 涼を取るために竹を編んで作ったむしろ。○碧牙牀 碧色の象牙で彫琢したベッド。「碧牙」は青白くつやつやと光る。竹の網込みもつややかに光っている・



楚女昔時意、蕭蕭髪彩涼。
巫山の神女はその身をささげたあの時の気持ちを秘めて今もいる、粛々と黒髪を一層色濃くし涼やかにしている。
楚女 巫山の神女。雨は楚の王が夢のなかで交わった神女の化身。「重ねて聖女両を過ぎる」夢雨 楚の懐王の巫山神女を夢みるの故事にもとづき、男女の愛の喜びとその名残を夢雨という。晩唐の杜牧(803-852年)の潤州の詩に「柳は朱横に暗く夢雨多し。」と。○蕭蕭 雨の降る音。○髪彩 黒髪に降りかかり細雨の光沢。ここでは雨を神女の髪に比喩する。

○韻 堂・林・涼。 



一句目、二句目の「白玉堂」「碧牙牀」は白と碧という二つの色、また玉と牙(象牙)という二つの硬質な装飾物、いずれも末句の「涼」に連なり、「帷」と「簟」は細やかで柔らかなところから雨に繋がる。さらに天界の館、室から神女に連想が拡がり、細やかに降る雨が巫山神女の髪にたとえられるが、当然そこには女性との交歓にまつわる情感が伴っている。