屏風 李商隠 紀頌之の漢詩ブログ李商隠特集-88



屏 風
六曲連環接翠帷、高樓半夜酒醒時。
六曲扇でつくられた屏風が奥座敷をぐるりと囲んでいて、翡翠で飾られたとばりが上から垂れ屏風の中ほどで触れるので中のことが分からない。そんな座敷のある高楼、酔いも醒める深夜になる頃のことだ。
掩燈遮霧密如此、雨落月明倶不知。
部屋のともしびを包み、香の煙霧さえこはむこの細緻さはなんとしたことか、大雨が降る音も月があかるく照らそうが、この部屋でおこることは、わかりはしない。



屏 風

六曲連環して翠帳に接す

高楼 半夜 酒醒むるの時

燈を掩い霧を遮りて密なること此くの如ければ

雨落つるも月明らかなるも供に知らず



屏 風 訳註と解説

(本文)
屏 風
六曲連環接翠帷、高樓半夜酒醒時。
掩燈遮霧密如此、雨落月明倶不知。


(下し文)
六曲連環して翠帳に接す
高楼 半夜 酒醒むるの時
燈を掩い霧を遮りて密なること此くの如ければ
雨落つるも月明らかなるも供に知らず


(現代語訳)

六曲扇でつくられた屏風が奥座敷をぐるりと囲んでいて、翡翠で飾られたとばりが上から垂れ屏風の中ほどで触れるので中のことが分からない。そんな座敷のある高楼、酔いも醒める深夜になる頃のことだ。
部屋のともしびを包み、香の煙霧さえこはむこの細緻さはなんとしたことか、大雨が降る音も月があかるく照らそうが、この部屋でおこることは、わかりはしない。



六曲連環接翠帷、高樓半夜酒醒時。
六曲扇でつくられた屏風が奥座敷をぐるりと囲んでいて、翡翠で飾られたとばりが上から垂れ屏風の中ほどで触れるので中のことが分からない。そんな座敷のある高楼、酔いも醒める深夜になる頃のことだ。
六曲 六枚をつなげた屏風。○翠帷 劣翠の羽を飾りにした、あるいは薪翠色のとばり。司馬相如「子虚賦」 に「翠帷を張り、羽蓋を建つ」。




掩燈遮霧密如此、雨落月明倶不知。
部屋のともしびを包み、香の煙霧さえこはむこの細緻さはなんとしたことか、大雨が降る音も月があかるく照らそうが、この部屋でおこることは、わかりはしない。


○詩型 七言絶句。
○押韻 知、椎、時。


絢爛豪華な部屋の飾りは、実はその中に、様々な涙を生む座敷なのである。力あるものが、力のないものの自由を奪い、身体を貪る、家臣の妻であっても、この部屋に入れば、それから後は、かこわれ者になってしまうのである。
 官僚、富豪たちは自分の欲望を遂げるための装置、座敷に屏風と帷を設置したのである。

室内外の物を取り上げてうたう詠物詩は南朝の宮廷で盛んに作られたが、晩唐に至って再び流行する。詠物詩ゆえに詩題に表示した「屏風」は本文中には出てこないが、すべて屏風にまつわることをうたう。屏風によって閉ざされた濃密な空間、そこには濃い香りがたちこめているかのようだ。


屏風の歴史は古く、中国の漢時代には、すでに風よけの道具として存在していた。魏、晋、南北朝時代には、王族の贅沢な装飾品へと変化していった。
献納品のうち、最高のものであった。
基本的な構造は、一隻六扇(六曲)が一般的で、矩形の木枠の骨格に用紙または用布を貼ったもので、この細長いパネルを一扇といい、向かって右から第一扇(曲)、第二扇と数える。これを接続したものが屏風の一単位、一隻(一畳、一帖)である。向かって右側の屏風を右隻、左側の屏風を左隻と呼ぶ。画面周囲には縁(ふち)がめぐらされる。