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當句有對 李商隠 紀頌之の漢詩ブログ李商隠特集150- 109

この詩は、王朝を傾けた様々な出来事を詠う、いわば李商隠王朝批判INDEXともいえる。語、句それぞれ李商隠の詩に基づいている。この詩については、最終回にもう一度詳しく取り上げる予定である。聯ごとに要約をつけた。


句有對
密邇平陽接上蘭、秦樓鴛瓦漢宮盤。
西王母を待つために秦の平陽宮は密接し、漢の上蘭観は隣接してけんせつした。不老長寿のため秦の楼閣には鴛駕の模様を施した甍が並び、漢の宮殿には薬を集める承露盤までつくられた。
池光不定花光亂、日気初涵露気乾。
池に映る光はゆらめき、池の光を受けて花の光も入り乱れる。日の昇る気配があたりでは浸すことを続けている、朝露が消えてゆくまでである。
但覚遊蜂饒舞蝶、豈知孤鳳憶離鸞。
池に映る光はゆらめき、池の光を受けて花の光も入り乱れる。日の昇る気配があたりでは浸すことを続けている、朝露が消えてゆくまでである。
三星自轉三山遠、紫府程遙碧落寛。

夜空の三つ星は自らも招いた行いのために逢うことすらできないことになってしまった。地に沈み、仙界の三山は遠く行き着けない。仙女の遊ぶ天界の紫府、そこへの道のりは遥けく、青い虚空が果てしなく拡がる。



句に当たりて対有り

平陽に密適し上蘭に接す、秦楼の鴛瓦 漢宮の盤。

池光定まらずして花光乱る、日気初めて涵し露気乾く。

但だ覚ゆ 遊蜂に舞蝶饒きを、豈に知らんや 孤鳳の離鸞を憶うを。

三星自ら転じて三山は遠し、紫府 程遥かにして碧落寛し。






當句有對 現代語訳と訳註 解説
(本文)

密邇平陽接上蘭、秦樓鴛瓦漢宮盤。
池光不定花光亂、日気初涵露気乾。
但覚遊蜂饒舞蝶、豈知孤鳳憶離鸞。
三星自轉三山遠、紫府程遙碧落寛。


(下し文)
平陽に密適し上蘭に接す、秦楼の鴛瓦 漢宮の盤。
池光定まらずして花光乱る、日気初めて涵し露気乾く。
但だ覚ゆ 遊蜂に舞蝶饒きを、豈に知らんや 孤鳳の離鸞を憶うを。
三星自ら転じて三山は遠し、紫府 程遥かにして碧落寛し。


(現代語訳)
西王母を待つために秦の平陽宮は密接し、漢の上蘭観は隣接してけんせつした。不老長寿のため秦の楼閣には鴛駕の模様を施した甍が並び、漢の宮殿には薬を集める承露盤までつくられた。
池に映る光はゆらめき、池の光を受けて花の光も入り乱れる。日の昇る気配があたりでは浸すことを続けている、朝露が消えてゆくまでである。
池に映る光はゆらめき、池の光を受けて花の光も入り乱れる。日の昇る気配があたりでは浸すことを続けている、朝露が消えてゆくまでである。
夜空の三つ星は自らも招いた行いのために逢うことすらできないことになってしまった。地に沈み、仙界の三山は遠く行き着けない。仙女の遊ぶ天界の紫府、そこへの道のりは遥けく、青い虚空が果てしなく拡がる。


(訳註)

○当句有対 いわゆる当句対。「密邇:接、平陽:上蘭」、「秦楼:漢宮、鴛瓦:盤」のように、一句のなかに対を持つ句作。一首のすべての句を当句対で仕立てるのはこれのみ。
 

(自己の不老長寿のための贅をつくし国を傾けた。)
密邇平陽接上蘭、秦樓鴛瓦漢宮盤。
西王母を待つために秦の平陽宮は密接し、漢の上蘭観は隣接してけんせつした。不老長寿のため秦の楼閣には鴛駕の模様を施した甍が並び、漢の宮殿には薬を集める承露盤までつくられた。
密邇平陽接上蘭
密邁 ぴったりつく。「遡」 は近い、近づく。『左氏伝』文公十七年に 「陳・祭の楚に密遡するを以てして、敢えて弐かざるは、則ち敵邑(我が国)の故なり」。杜預の注に 「密適は比近なり」。○平陽 平陽宮。秦の宮殿の名。次の句の 「秦楼」 に対応する。○上蘭 上蘭観。漢の上林園のなかにあった楼観の名。次の句の「漢宮」 に対応する。
秦樓鴛瓦漢宮盤
窯瓦 鴛駕の姿をかたどった瓦。○漢宮盤 漢の武帝が宮中に作った承露盤。仙人の銅像が捧げ持つ盤に不老長生のための玉露を受けるもの。

藥轉 李商隠 紀頌之の漢詩ブログ李商隠特集-85

漢宮詞 李商隠:紀頌之の漢詩ブログ李商隠特集 63



(ここは、宮女におぼれているさまを詠う。)
池光不定花光亂、日気初涵露気乾。
池に映る光はゆらめき、池の光を受けて花の光も入り乱れる。日の昇る気配があたりでは浸すことを続けている、朝露が消えてゆくまでである
池光不定花光亂 
池、光、花、乱、はすべて男女の交わりを示唆する語である。
〇日気初涵露気乾
日気 日が昇ろうとする時の気配。〇涵 液体や気体がじんわり拡がる。夜の情交を過ごして朝になること。乱れた風紀はずっと続いているのである。

宮詞 李商隠:紀頌之の漢詩ブログ李商隠特集 62


(王朝、宮殿の頽廃なさまを詠う)
但覚遊蜂饒舞蝶、豈知孤鳳憶離鸞。
蜂や蝶があちこちであまた番い、集い戯れるのは目に映ってくる、理不尽に切り裂かれ孤独な鳳が別離した鸞を慕い続けていることなど、気づかれもしない
但覚遊蜂饒舞蝶
遊蜂・舞蝶 男女を蜂と蝶に比喩する。○饒 多いの意。群れ集う蜂や蝶のように、楽しげにむつみ合う男女があまたいる。王朝末期の頽廃の有様を言う。 

蝿蝶鶏麝鸞鳳等 成篇 李商隠 -84

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○豈知孤鳳憶離鸞
孤鳳・離鷲 理不尽にも鳳と鸞も引き裂かれた男女の比喩。陽気につどう蜂・蝶と対比され、互いに思いながらも理不尽なことで一緒になれない男女。この意味の詩は李商隠にたくさんある。

漢宮詞 李商隠:紀頌之の漢詩ブログ李商隠特集 63



(こんな有様では仙界にはいけるものではない)
三星自轉三山遠、紫府程遙碧落寛。
夜空の三つ星は自らもまねいた行いのために逢うことすらできないことになってしまった。仙界の三山は遠く行き着けない。仙女の遊ぶ天界の紫府、そこへの道のりは遠のいてしまい、ぬけるような青い空が果てしなく拡がる。
〇三星日輪三山遠
三星
 オリオンの三つ星。中国での名は参(毛伝)。『詩経』唐風・綱膠に「三星 天に在り」。この句のあとに「今夕は何の夕ぞ、此の良人を見る」と続き、男女の出会いを予兆する星。それが「転」じたことは会う機会が失われたこと。〇三山 東海に浮かぶ蓬莱、方丈、濠洲の三つの神仙が住む山。「牡丹(圧径)」詩に「鸞鳳 三島に戯る」。
紫府 仙女のいる場所。無 題(紫府仙人號寶鐙) 紀頌之の漢詩ブログ李商隠特集-93
碧落 道教で天空を指す語。

辛未七夕 李商隠


○詩型 七言律詩。
○押韻 蘭・盤・鸞・寛。