柳枝五首 其四 李商隠 紀頌之の漢詩ブログ李商隠特集150- 117



其四
柳枝井上蟠,蓮葉浦中乾。
柳の枝々は冬支度を始める井戸端の上で絡まり合って身を縮こまらせている、入り江の中ほどの蓮の葉は枯れている。
錦鱗與繡羽,水陸有傷殘。

錦鱗の鮮やかな魚と繍の模様きわだつ烏がいる。水のなかのものと陸上のもの、だれもみな傷を負ってそれを残したままでいるのだ。


其の四
柳枝井上に煉り、蓬莱酒中に乾く。
錦鱗と繍羽と、水陸 傷残有り。


柳枝五首 其四  現代語訳と訳註
(本文) 其四
柳枝井上蟠,蓮葉浦中乾。
錦鱗與繡羽,水陸有傷殘。

(下し文) 其の四
柳枝井上に煉り、蓬莱酒中に乾く。
錦鱗と繍羽と、水陸 傷残有り。

(現代語訳)
柳の枝々は冬支度を始める井戸端の上で絡まり合って身を縮こまらせている、入り江の中ほどの蓮の葉は枯れている。
錦鱗の鮮やかな魚と繍の模様きわだつ烏がいる。水のなかのものと陸上のもの、だれもみな傷を負ってそれを残したままでいるのだ。 


(語訳)
柳枝井上蟠,蓮葉浦中乾。
柳の枝々は冬支度を始める井戸端の上で絡まり合って身を縮こまらせている、入り江の中ほどの蓮の葉は枯れている。
柳枝 娘の名「柳枝」と柳の木の細枝。○井上 井戸端。冬支度のための砧をたたく場所であり、土手のような場所である。井は、晩秋から、初冬にかけての季語であることから、年齢の経過を連想させる。○ 砧の場所で柳が密集して植えられている情景が浮かんでくる。蛇がとぐろを巻くように太い枝が絡んでいる。細枝の柳の枝が女性を、太枝の柳が男性で絡んでいることを思わせる。○蓮葉・乾 蓮は女性、乾によって年齢の経過となる。○浦中 入り江の水辺の中ほど。


錦鱗與繡羽,水陸有傷殘
錦鱗の鮮やかな魚と繍の模様きわだつ烏がいる。水のなかのものと陸上のもの、だれもみな傷を負ってそれを残したままでいるのだ。 
錦鱗與繡羽 錦のような美しい鱗の魚と、刺繍を施したよぅにきれいな羽の鳥がいた。柳と烏、蓮と魚が関連付けられる。○有傷殘 傷を負ってそれを残したまま。柳の木に冬枯れし、棲む鳥は傷を残したまま、はすの葉は枯れ、遊ぶ鮮やかな魚も傷ついたまま。



○詩型 五言絶句。
○押韻 蟠,乾。殘。

水上の物、陸上の物、誰もみな傷めつけられている。
美しい娘も、いい詩文を作っても、身分が違えばどうしようもない。特に一度傷ついたら直すことはできないのだ。娘は年老いてくればもう相手もされないのである。