驕兒詩 #3 李商隠 紀頌之の漢詩ブログ李商隠特集150- 121

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驕兒詩 #2
安得此相謂,欲慰衰朽質。青春妍和月,朋戲渾甥侄。
繞堂複穿林,沸若金鼎溢。門有長者來,造次請先出。
客前問所須,含意下吐實。歸來學客面,闡敗秉爺笏。

#3
或謔張飛胡,或笑鄧艾吃。
ひげのある客は張飛(ちょうひ)みたいだとふざけたり、吃音の客は鄧艾(とうがい)みたいだと笑ったりするのだ。
豪鷹毛崱屴,猛馬氣佶傈。
猛々しい鷹が羽ばたいてを大空に舞いあがるような、鼻息の粗い馬が駆けめぐるような元気な子なのだ。
截得青筼簹,騎走恣唐突。
青い竹を切り取り、それを竹馬にして跨って、めちゃめちゃに走りまわるのだ。
忽複學參軍,按聲喚蒼鶻。
次には突然に、参軍をまねて、低い声色の狂言のものまねで脇役の蒼鶴(そうかく)を呼んだりする。
又複紗燈旁,稽首禮夜佛。
さらにまた紗を掛けたともし火に明かりを入れるとそのそばで、仏様に深々と頭を下げて坊様の夜の勤行のまねをする。
仰鞭罥蛛網,俯首飲花蜜。

鞭を振り上げて届く限りの蜘蛛の巣を絡め取ったかと思うと、庭にしゃがみこんで花の蜜を吸っている。
#4
欲爭蛺蝶輕,未謝柳絮疾。階前逢阿姊,六甲頗輸失。
凝走弄香奩,拔脫金屈戌。抱持多反側,威怒不可律。
曲躬牽窗網,衉唾拭琴漆。有時看臨書,挺立不動膝。

#2
安んぞ此(かく)相(あい) 謂(いう)を得ん、衰朽(すいきゅう)の質を慰めんと欲すればなり。
青春 妍和(けんわ)の月、朋戯(ほうぎ)は甥姪(せいてつ)に渾(まじ)る。
堂を繰り復(また) 林を穿(くぐ)り、沸として金鼎(きんてい)の溢(あふる)るが 若(ごとし)。
門に長者の来たる有れば、造次(ぞうじ)に請(こ)い 先に出る。
客前に須(ほしい)所(もの)を問えば、意を含(ふく)みて実(じつ)を吐かず。
帰り来たれは客の面(めん)を学(ま)ね、闡敗(ぜんはい)して爺(ちち)の笏(こつ)を秉(と)る。。

#3
或いは張飛(ちょうひ)の胡を語れ、或いは鄧艾(とうがい)の吃(きつ)を笑う。
豪鷹(ごうよう) 毛 崱屴(しょくりょく)たり、猛馬 気 佶傈(きつりつ)たり。
青き筼簹(うんとう)を截り得て、騎走 窓に唐突 す。
忽(たちまち)復(また)参軍を学ね、声を按(おさ)えて蒼鶻(そうこつ)を喚(よぶ)。
又復(またまた)紗燈(さとう)の旁(かたわら)に、稽首(けいしゅ)して夜仏に礼をする。
鞭を仰げて蛛(くも)の網を罥(か)け、首を俯(ふ)して花の蜜を飲む。
#4
蛺蝶の軽きを争わんと欲し、未だ柳架の疾きに謝らず。
階前 阿姉に逢い、六甲 頗る輸失す
凝め走りて香蔭を弄び、抜脱す 金の屈戊
抱持すれば反側すること多く、威怒するも律すべからず
窮を曲げて窓の網を牽き、略唾して琴の漆を拭う
時有りて臨書を看れば、挺立して膝を動かさず


驕兒詩 #3 現代語訳と訳註
(本文) #3

或謔張飛胡,或笑鄧艾吃。
豪鷹毛崱屴,猛馬氣佶傈。
截得青筼簹,騎走恣唐突。
忽複學參軍,按聲喚蒼鶻。
又複紗燈旁,稽首禮夜佛。
仰鞭罥蛛網,俯首飲花蜜。


(下し文)
或いは張飛(ちょうひ)の胡を語れ、或いは鄧艾(とうがい)の吃(きつ)を笑う。
豪鷹(ごうよう) 毛 崱屴(しょくりょく)たり、猛馬 気 佶傈(きつりつ)たり。
青き筼簹(うんとう)を截り得て、騎走 窓に唐突 す。
忽(たちまち)復(また)参軍を学ね、声を按(おさ)えて蒼鶻(そうこつ)を喚(よぶ)。
又復(またまた)紗燈(さとう)の旁(かたわら)に、稽首(けいしゅ)して夜仏に礼をする。
鞭を仰げて蛛(くも)の網を罥(か)け、首を俯(ふ)して花の蜜を飲む。


(現代語訳)
ひげのある客は張飛みたいだとふざけたり、吃音の客は鄧艾みたいだと笑ったりするのだ。
猛々しい鷹が羽ばたいてを大空に舞いあがるような、鼻息の粗い馬が駆けめぐるような元気な子なのだ。
青い竹を切り取り、それを竹馬にして跨って、めちゃめちゃに走りまわるのだ。
次には突然に、参軍をまねて、低い声色の狂言のものまねで脇役の蒼鶴を呼んだりする。
さらにまた紗を掛けたともし火に明かりを入れるとそのそばで、仏様に深々と頭を下げて坊様の夜の勤行のまねをする。
鞭を振り上げて届く限りの蜘蛛の巣を絡め取ったかと思うと、庭にしゃがみこんで花の蜜を吸っている。



(訳注)
或謔張飛胡,或笑鄧艾吃。
ひげのある客は張飛みたいだとふざけたり、吃音の客は鄧艾みたいだと笑ったりするのだ。
 ひやかす。○張飛胡 張飛(未詳-223年)は三国時代蜀の勇将。字は益徳。関羽(未詳-219年)と共に昭烈帝劉備(162-223年)に仕えたが、のち部下に殺され。胡はひげづら、その顔色が胡人ようであるのをいう。○鄧艾吃 三国時代の魏の武将鄧艾(197-264)あざな士載のこと。劉末の劉義慶の「世説新語」言語篇に、鄧艾がドモリでもの言う時に艾艾と言うのを、晋の文王司馬昭が戯って「卿は云う艾艾と、いったい幾艾なのか。」と言った時、鄧艾は答えて「楚の狂接輿が、鳳や鳳や、何ぞ徳の衰えたる、と孔子によびかけて歌った鳳ももと一匹の鳳でございます。」と答えたという。 


豪鷹毛崱屴,猛馬氣佶傈。
猛々しい鷹が羽ばたいてを大空に舞いあがるような、鼻息の粗い馬が駆けめぐるような元気な子なのだ。
毛崱屴 そそりたつさま。宮殿を形容する語としている。〇佶傈 勢い溢れるさまをいう畳韻の語。


截得青筼簹,騎走恣唐突。
青い竹を切り取り、それを竹馬にして跨って、めちゃめちゃに走りまわるのだ。
○載 切り取る ○筼簹 竹の表。○騎走 跨って走る。竹馬の遊びは中国では竹竿を両足の間に挟んで走る。○唐突 ぶつかる様子をいう双声の語。


忽複學參軍,按聲喚蒼鶻。
次には突然に、参軍をまねて、低い声色の狂言のものまねで脇役の蒼鶴を呼んだりする。
参軍 参軍戯という演芸の登場人物の一人。晩唐のころ民間に流行し、主役の「参軍」と脇役の「蒼髄」の二人が滑稽なやりとりをした。『太平御覧』巻五六九の引く『楽府雑録』などに見える。○按声 声を押し殺す。


又複紗燈旁,稽首禮夜佛。
さらにまた紗を掛けたともし火に明かりを入れるとそのそばで、仏様に深々と頭を下げて坊様の夜の勤行のまねをする。
紗燈 紗の覆いをかけてほの暗くしたともし火。○稽首 頭を床につける、最も丁寧な拝礼。○礼夜仏 夜に仏前に拝する。


仰鞭罥蛛網,俯首飲花蜜。
鞭を振り上げて届く限りの蜘蛛の巣を絡め取ったかと思うと、庭にしゃがみこんで花の蜜を吸っている。
 からみつける。


○押韻 吃。傈。突。鶻。佛。蜜