驕兒詩 李商隠 紀頌之の漢詩ブログ李商隠特集150- 122


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#3
或謔張飛胡,或笑鄧艾吃。豪鷹毛崱屴,猛馬氣佶傈。
截得青筼簹,騎走恣唐突。忽複學參軍,按聲喚蒼鶻。
又複紗燈旁,稽首禮夜佛。仰鞭罥蛛網,俯首飲花蜜。
#4
欲爭蛺蝶輕,未謝柳絮疾。
蝶と身軽さ競おうと思っているのかじっとしていない、風に飛ぶ柳絮のすばやさにも劣っていない。
階前逢阿姊,六甲頗輸失。
庭の石の上がり框の前で姉さんにばったりでくわした、すごろくをしようとねだったが、すれば負けて点棒をとられてばかりなのだ。
凝走弄香奩,拔脫金屈戌。
こっそり抜き足で姉さんの化粧箱にいたずらをする。だいじな金の蝶番をはずしてしまうのだ。
抱持多反側,威怒不可律。
いたずらはいけないと抱きかかえれば体をそっくり返ししまう、叱りつけてもおとなしくならないのだ。
曲躬牽窗網,衉唾拭琴漆。
体を曲げて窓の網戸を引っ張ったりしている、つぎには琴の漆の上に唾をとはいてみがいている。
有時看臨書,挺立不動膝。

ある時、わたしが手本に従って習字をしているのを見ていることがあった、直立不動で、膝も動かさないでじっと立ってみている。
#5
古錦請裁衣,玉軸亦欲乞。請爺書春勝,春勝宜春日。
芭蕉斜卷箋,辛夷低過筆。爺昔好讀書,懇苦自著述。
憔悴欲四十,無肉畏蚤虱。兒慎勿學爺,讀書求甲乙。

#3
或いは張飛(ちょうひ)の胡を語れ、或いは鄧艾(とうがい)の吃(きつ)を笑う。
豪鷹(ごうよう) 毛 崱屴(しょくりょく)たり、猛馬 気 佶傈(きつりつ)たり。
青き筼簹(うんとう)を截り得て、騎走 窓に唐突 す。
忽(たちまち)復(また)参軍を学ね、声を按(おさ)えて蒼鶻(そうこつ)を喚(よぶ)。
又復(またまた)紗燈(さとう)の旁(かたわら)に、稽首(けいしゅ)して夜仏に礼をする。
鞭を仰げて蛛(くも)の網を罥(か)け、首を俯(ふ)して花の蜜を飲む。

4

蝶の軽きことを争わんと欲し、未だ柳絮の疾(はやき)に謝(ゆず)らず。

階前 阿姉(あし)に逢い、六甲 頗(すこぶる)輸失す

(ひそめ)走って 香奩(こうれん)を弄(もてあそ) ぶ、抜脱(ばつだつ)す 金の屈(くつじゅつ)

抱持(ほうじ)すれば反側すること多く、威怒(いど)するも律すべからず。

()を曲げて窓の網を牽()き、(かくだ)して琴の漆(うるし)を拭(ぬぐ)

時有りて 臨書を看れば、挺立(ていりつ)して膝を動かさず。

#5
古錦 衣を裁つこと請い、玉軸 亦 乞わんと欲す。
爺(ちち)に請いて春勝を書かしむ、春勝 宜春の日。
芭蕉のごとく斜めに倭を巻き、辛夷のごとく低く筆を過たす。
爺(ちち)は昔 読書を好み、懇苦(こんく)して自ら著述(ちょじつ)す。
憔悴(しょうすい) 四十ならんとするも、肉無く蚤風(のみしらみ)を畏れる。
児よ 慎みて 爺を学び、書を読みて甲乙を求むこと勿かれ。


驕兒詩 #4 現代語訳と訳註
(本文) #4
欲爭蛺蝶輕,未謝柳絮疾。階前逢阿姊,六甲頗輸失。
凝走弄香奩,拔脫金屈戌。抱持多反側,威怒不可律。
曲躬牽窗網,衉唾拭琴漆。有時看臨書,挺立不動膝。


(下し文)
蛺蝶の軽きことを争わんと欲し、未だ柳絮の疾(はやき)に謝(ゆず)らず。
階前 阿姉(あし)に逢い、六甲 頗(すこぶる)輸失す
凝(ひそめ)走って 香奩(こうれん)を弄(もてあそ) ぶ、抜脱(ばつだつ)す 金の屈戌(くつじゅつ)。
抱持(ほうじ)すれば反側すること多く、威怒(いど)するも律すべからず。
躬(み)を曲げて窓の網を牽(ひ)き、衉唾(かくだ)して琴の漆(うるし)を拭(ぬぐ)う
時有り て 臨書を看れば、挺立(ていりつ)して膝を動かさず。



(現代語訳)
蝶と身軽さ競おうと思っているのかじっとしていない、風に飛ぶ柳絮のすばやさにも劣っていない。
庭から家に入る石の上がり框の前で姉さんにばったりでくわした、すごろくをしようとねだったが、すれば負けて点棒をとられてばかりなのだ。
こっそり抜き足で姉さんの化粧箱にいたずらをする。だいじな金の蝶番をはずしてしまうのだ。
いたずらはいけないと抱きかかえれば体をそっくり返ししまう、叱りつけてもおとなしくならないのだ。
体を曲げて窓の網戸を引っ張ったりしている、つぎには琴の漆の上に唾をとはいてみがいている。
ある時、わたしが手本に従って習字をしているのを見ていることがあった、直立不動で、膝も動かさないでじっと立ってみている。


(訳注)#4
欲爭蛺蝶輕,未謝柳絮疾。

蝶と身軽さ競おうと思っているのかじっとしていない、風に飛ぶ柳絮のすばやさにも劣っていない。
柳架 柳の綿毛。春の風物。


階前逢阿姊,六甲頗輸失。
庭から家に入る石の上がり框の前で姉さんにばったりでくわした、すごろくをしようとねだったが、すれば負けて点棒をとられてばかりなのだ。
阿姉 姉さん。阿は人の名や呼称の前に付けて親しみをあらわす。〇六甲 すごろくの遊び。○輸失 ゲームに敗れる。初めに等分に分けて持つ点棒様なものをとられてしまう。


凝走弄香奩,拔脫金屈戌。
こっそり抜き足で姉さんの化粧箱にいたずらをする。だいじな金の蝶番をはずしてしまうのだ。
凝走 凝は注意深く何かをするという意味。足をひそめてすすむこと。○香奩 お化粧箱。○抜脱 はずす。○金屈戌 金のかけがね。ちょうつがい。


抱持多反側,威怒不可律。
いたずらはいけないと抱きかかえれば体をそっくり返ししまう、叱りつけてもおとなしくならないのだ。
反側 体を反転させる。○威怒 きびしくしかる。


曲躬牽窗網,衉唾拭琴漆。
体を曲げて窓の網戸を引っ張ったりしている、つぎには琴の漆の上に唾をとはいてみがいている。
窓網 網戸のような虫除けの網で上下にスライドするものという。○衉唾 つばを吐く。この句まで、いたずらな様子を描く。


有時看臨書,挺立不動膝。
ある時、わたしが手本に従って習字をしているのを見ていることがあった、直立不動で、膝も動かさないでじっと立ってみている。
臨書 手本に従って習字する。この句から一転、勉強に興味を示す子の姿を描く。○挺立 まっすぐにL江つ。父の習字しているのを見る時はきまじめな態度になる。