此日足可惜贈張籍 唐宋詩-213Ⅱ韓退之(韓愈) 紀頌之の漢詩ブログ 韓愈特集-14-#7

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此の日惜しむ可きに足る 張籍に贈る 韓愈
門人の張籍も無事で、訪ねて来てくれた。韓愈もようやく心の落ち着きを取りもどしたらしい。張籍の去るにあたって、彼は次の詩を贈った。
長い詩であるが、汴州の乱について韓愈の抱いた思いと彼の行動がよくみえる。またこのころには、愈の周囲に孟郊・張籍・李翺・ (賈島)などの人々が集まり、韓門が形成されていたようだ。

この頃の韓愈、孟郊、張籍の年譜。
796年 董晋の招きで宣武軍節度使の幕府に入る。
797年 病気のため一時求職。
    孟郊が来る。
798年 同所で進士科の予備試験員。
    張籍、この試験合格者の中に有る。
799年 董晋歿す。汴州の乱。
    徐州武寧軍節度使 張建封の幕府に入る。
    韓愈、命受けて長安へ。孟郊、呉、越を遊覧。


#6まで
葬送の行列に変事の知らせがとどいたのは、偃師(洛陽の東方)に到着したときであった。葬列には戦闘の準備はしないもので、攻撃をかけられる心配もないかもしれないが、葬列はパニック状態になったが、予定どおり、虞郷を目指して進むほかはなかった。誰もが家に残した家族が心配であった。韓愈は、このとき妻を迎えており、長女も生まれていた。まだ乳呑み子である。

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此日足可惜贈張籍#7
#6
人事安可恒,奄忽令我傷。聞子高第日,正從相公喪。
哀情逢吉語,惝恍難爲雙。暮宿偃師西,徒展轉在床。
夜聞汴州亂,繞壁行彷徨。」6

#7
我時留妻子,倉卒不及將。
私はその時、汴州に妻子を残したままにしていた。そもそも突然におこったことなので、つれてくることが間にあわなかったのである。
相見不複期,零落甘所丁。
私が、妻子の姿を見るのがいつの日になることか予想も立ちはしない、そのままだと、妻子が落ちぶれて運命のままになることにまかせるほかはないのである。
驕兒未絕乳,念之不能忘。
甘や かして育てた娘はまだ乳離れしておらず、それが気がかりで忘れることができない。
忽如在我所,耳若聞啼聲。
ふと私のそばにいるような気がして、耳に泣き声が聞こえたような気がした。
中途安得返,一日不可更。」7
しかし、途中からどうして引き返すことができよう、予定は一日たりとも変更はできないのだ。

#8
俄有東來說,我家免罹殃。乘船下汴水,東去趨彭城。
從喪朝至洛,還走不及停。假道經盟津,出入行澗岡。
日西入軍門,羸馬顛且僵。」8


#6
人事安くんぞ恒とす可き、奄忽 我をして傷ましむ。
子の高第を聞きし日は、正に相公の喪に従う。
哀情 吉語に逢う、惝恍として双と為し難し。
暮に偃師の西に宿るも、徒らに展転して床に在るのみ。
夜汴州の乱を聞き、壁を繞って行いて彷徨す。

#7
我 時に妻子を留むるも、倉卒 将(ひき)いるに及ばず。
相見んこと復た期せず、零落 丁(あた)る所に甘んぜん。
驕兒(きょうじ) 未だ乳を絶たず、之を念うて忘るる能わず。
忽として我が所に在るが如く、耳に啼く声を聞くが若く。
中途にして安くんぞ返るを得ん、一日も更(あらた)む可からず。

8
俄(にわ)かに東來の説有り、我が家は殃(おう)に罹(かか)るを免る。
船に乗って汴水を下り東に去って彭城に趨(はし)ると。
喪(そう)に従って朝に洛に至り、還走(かんそう)して停(とど)まるに及ばず。 道を仮りて盟津(もうしん)を経(へ)、 出入して澗岡(かんこう)を行く。
日西にして軍門を入れば、羸馬(るいば)顛(つまづ)きて且つ僵(たお)る


韓愈の地図00

此日足可惜贈張籍 現代語訳と訳註
(本文)

我時留妻子,倉卒不及將。
相見不複期,零落甘所丁。
驕兒未絕乳,念之不能忘。
忽如在我所,耳若聞啼聲。
中途安得返,一日不可更。


(下し文) #7
我 時に妻子を留むるも、倉卒(そうそつ) 将(ひき)いるに及ばず。
相見んこと復た期せず、零落(れいらく) 丁(あた)る所に甘んぜん。
驕兒(きょうじ) 未だ乳を絶たず、之を念(おも)うて忘るる能わず。
忽(こつ)として我が所に在るが如く、耳に啼く声を聞くが若く。
中途にして安(いず)くんぞ返るを得ん、一日も更(あらた)む可からず。

(現代語訳)
私はその時、汴州に妻子を残したままにしていた。そもそも突然におこったことなので、つれてくることが間にあわなかったのである。
私が、妻子の姿を見るのがいつの日になることか予想も立ちはしない、そのままだと、妻子が落ちぶれて運命のままになることにまかせるほかはないのである。
甘や かして育てた娘はまだ乳離れしておらず、それが気がかりで忘れることができない。
ふと私のそばにいるような気がして、耳に泣き声が聞こえたような気がした。
しかし、途中からどうして引き返すことができよう、予定は一日たりとも変更はできないのだ。


(訳注) 7
我時留妻子,倉卒不及將。

私はその時、汴州に妻子を残したままにしていた。そもそも突然におこったことなので、つれてくることが間にあわなかったのである。
 汴集に残したまま。○倉卒 突然におこったこと。 ○ 率いると同じ。連れ戻すという意味。


相見不複期,零落甘所丁。
私が、妻子の姿を見るのがいつの日になることか予想も立ちはしない、そのままだと、妻子が落ちぶれて運命のままになることにまかせるほかはないのである。
○相 互いに。妻子の姿を見て互いに確認する意味。○ 遭う約束。○零落 落ちぶれて○ まかせるほかはない○所丁 運命のままになる。
  
驕兒未絕乳,念之不能忘。
甘や かして育てた娘はまだ乳離れしておらず、それが気がかりで忘れることができない。
驕兒 韓愈の子供は女の子であったことから、驕女とするテキストもあるが、驕女という場合乳飲み子には使わない別の意味もあるので、兒の方が正しい。  
  
忽如在我所,耳若聞啼聲。
ふと私のそばにいるような気がして、耳に泣き声が聞こえたような気がした。
  
中途安得返,一日不可更。」7
しかし、途中からどうして引き返すことができよう、予定は一日たりとも変更はできないのだ。

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