忽忽 中唐詩-221 Ⅱ韓退之(韓愈) 紀頌之の漢詩ブログ 韓愈特集-22


796年 董晋の招きで宣武軍節度使の幕府に入る。
797年 病気のため一時求職。
    孟郊が来る。
798年 同所で進士科の予備試験員。
    張籍、この試験合格者の中に有る。
799年 汴州の乱汴州亂二首其一 韓愈特集-6
        汴州亂二首其二 韓愈特集-7
    此日足可惜贈張籍 韓愈-7-#1 ~14
    徐州武寧軍節度使 張建封の幕府に入る。
    韓愈、命受けて長安へ。孟郊、呉、越を遊覧。
    忽忽
800年 春長安より徐州へ帰る。幕府を退く。
    彭城に帰る
    山石    ・孟郊常州に行く。


「此日足可惜贈張籍」の詩に出た幕府の張建封は、汴州から避難して来た韓愈とその家族に援助の手をさしのべて、住宅の世話をしてくれ、生計のめんどうまで見てくれた。韓愈は当然感謝したのだが、その年799年(貞元十五年)の秋、家族を連れて徐州を去ろうとした。それを建封が引き止めて、自分の幕府の幕僚に任命してくれた。なぜか、韓愈の意にそうものではなかった。
ひとつには建封の設けた服務規定がきびしすぎたのだ。建封の武寧軍の幕府につとめはじめてからまもなく、愈は建封に手紙を送っている。「あなたの幕府の勤務時間は長すぎるし、拘束もきびしすぎるので、自分には特例を設け、もっと余裕のある勤務ができるようにはからって欲しい」と要求し ているのだ。

韓愈特集-22


忽忽
つかみどころのない気持ち。
忽忽乎余未知生之爲樂也,願脱去而無因。
わたしはいままでおもいをそのままにしていて、人生の生きること、仁徳の満足感を未だに知らないでいた。そのつかみどころのない状態から脱け出そうと願うのであるが、その方法がわからないのだ。 
安得長翮大翼如雲生我身。
どうにかして、荘子の鵬のように長く大きな翼を手に入れて、わたしの身に生(は)やすことができて雲の中に飛ぶことができるのだろうか。
乘風振奮出六合,絶浮塵。
風に乗って、力強く羽ばたき、天地と東西南北の六方世界の果てから飛び出すのだ。そしてこの浮き世の俗塵との繋がりを絶ちたいのだ。
死生哀樂兩相棄,是非得失付閒人。

人には生き死は、哀しみと楽しみがあり、この両者を棄ててしまうのである。善悪や損得については、暇な人に任せるのだ。 


忽忽こつこつ      
忽忽乎(こ) として 余 未だ生の樂みと爲なすところを知らざる也り,脱去せんと願ふに  因(よ)し 無し。
安(いづく)んぞ 長翮(ちょうかく)大翼を得て  雲の如く 我が身に生(は)やさん。
風に乘り 振奮して  六合(りくがふ)を出いで,
浮塵(ふじん)を絶(た)たん。
死生 哀樂(あいらく) 兩(ふたつ)ながら 相 棄(す)て,是非 得失は 閒人(かんじん)に付す。



現代語訳と訳註
(本文) 忽忽
忽忽乎余未知生之爲樂也,願脱去而無因。
安得長翮大翼如雲生我身。
乘風振奮出六合,絶浮塵。
死生哀樂兩相棄,是非得失付閒人。


(下し文) 忽忽こつこつ      
忽忽乎(こ) として 余 未だ生の樂みと爲なすところを知らざる也り,脱去せんと願ふに  因(よ)し 無し。
安(いづく)んぞ 長翮(ちょうかく)大翼を得て  雲の如く 我が身に生(は)やさん。
風に乘り 振奮して  六合(りくごう)を出いで,
浮塵(ふじん)を絶(た)たん。
死生 哀樂(あいらく) 兩(ふたつ)ながら 相 棄(す)て,是非 得失は 閒人(かんじん)に付す。


(現代語訳)
つかみどころのない気持ち。
わたしはいままでおもいをそのままにしていて、人生の生きること、仁徳の満足感を未だに知らないでいた。そのつかみどころのない状態から脱け出そうと願うのであるが、その方法がわからないのだ。 
どうにかして、荘子の鵬のように長く大きな翼を手に入れて、わたしの身に生(は)やすことができて雲の中に飛ぶことができるのだろうか。
風に乗って、力強く羽ばたき、天地と東西南北の六方世界の果てから飛び出すのだ。そしてこの浮き世の俗塵との繋がりを絶ちたいのだ。 
人には生き死は、哀しみと楽しみがあり、この両者を棄ててしまうのである。善悪や損得については、暇な人に任せるのだ。


(訳注)
忽忽こつこつ
つかみどころのない気持ち。
○思いまようさま。かりそめ。ゆるがせにするさま。物事をかえりみないさま。失意のさま。うっとりするさま。忘れるさま。すみやかに過ぎ去るさま。たちまち。幕府の張建封の設けた服務規定がきびしすぎたのだ。 この詩、散文調で、独特の重苦しさがある。


忽忽乎余未知生之爲樂也、願脱去而無因。
わたしはいままでおもいをそのままにしていて、人生の生きること、仁徳の満足感を未だに知らないでいた。そのつかみどころのない状態から脱け出そうと願うのであるが、その方法がわからないのだ。 
忽忽乎 ・~乎 ~として。接尾辞として語尾に用いられ、強く状態を示す。○ わたし。○未知 まだ分からない。まだ知らない。○ 自分の持っている性(さが)で生きること。 ○ ~の。また、実質上語調を整えるもので、散文で使われる語。○爲樂 楽(たのしみ)となす。快楽ではなく、仁徳の満足感をいう。 ○ 散文でより多く使われる語。○ ~なり。散文で使われる語で、文末に用い、決断、注意、感慨、疑問、語気などをととのえる。○ ねがはくは。願望。・脱去 脱け出す。○ ~が。順接、逆接のどちらにも使う接続語。ここでは逆接で散文で使われる語である。・無因 きっかけがない。よし無し。


安得長翮大翼如雲生我身。
どうにかして、荘子の鵬のように長く大きな翼を手に入れて、わたしの身に生(は)やすことができて雲の中に飛ぶことができるのだろうか。
安得 〔あんとく〕どこに求められよう。どうして~だろうか。いづくんぞ~なるを得んや。○至老 老齢になっても。年をとっても。 ○長翮 〔ちょうかく〕長い羽根の根元。 ○大翼 大きな翼(つばさ)。荘子のいう、鵬の翼のこと。文末に参考。


乘風振奮出六合、絶浮塵。
風に乗って、力強く羽ばたき、天地と東西南北の六方世界の果てから飛び出すのだ。そしてこの浮き世の俗塵との繋がりを絶ちたいのだ。 
乘風 勢いよいさま。 ○振奮 奮い立つ。奮い立たせる。元気を出す。力強く羽ばたく。 ○六合 〔りくごう〕天地(上下)と東西南北。六方。世界。・絶 たちきる。きりはなす。 ○浮塵 空中に舞い上がっているほこり。世塵。俗世間のわずらわしさ。


死生哀樂兩相棄、是非得失付閒人。
人には生き死は、哀しみと楽しみがあり、この両者を棄ててしまうのである。善悪や損得については、暇な人に任せるのだ。
死生 死ぬことと生きること。 ○哀樂 悲しみと楽しみ。 ○ ふたつ。双方。「死生」と「哀樂」を指す。 ○相棄 (俗世のあらゆる価値あるものを)すてさる。○是非 善悪。 ○得失 損得。 ○ まかせる。 ○閒人 ひまじん。


(参考)荘子:「逍遥遊篇」
北冥有魚 ,其名為鯤。鯤之大,不知其幾千里也。化而為鳥,其名為鵬。鵬之背,不知其幾千里也。怒而飛, 其翼若垂天之雲。是鳥也,海運則將徙於南冥。南冥者, 天池也 。

 北 冥 に 魚あり、其の名を鯤(コン)と為す。鯤の大いさ其の幾千里なるかを知らず。化して鳥と為るや、其の名を鵬(ホウ)と為す。鵬の背(そびら)、其の幾千里なるかを知らず。怒(ド)して飛べば其の翼(つばさ)は垂天(スイテン) の雲の若(ごと)し。是(こ)の鳥や、海の運(うご)くとき則(すなわ)ち将(まさ)に南冥(ナンメイ)に徙(うつ)らんとす。南冥とは天池(テンチ)なり。

 荘子が語る「逍遥遊」(ショウヨウユウ)の世界。開巻劈頭、「鵬鯤」の物語で、一気に彼の物語へと誘い込まれる。
 この世界の北の果て、波も冥(くら)い海に魚がいて、その名は鯤という。その鯤の大きさは、いったい何千里あるのか見当もつかないほどの、とてつもない大きさだ。
 この巨大な鯤が(時節が到来し)転身の時を迎えると、姿を変えて鳥となる。その名は鵬という。その背(せな)の広さは幾千里あるのか見当もつかない。
 この鵬という巨大な鳥が、一たび満身の力を奮って大空に飛びたてば、その翼の大きいこと、まるで青空を掩(おお)う雲のようだ。
 この鳥は、(季節風が吹き)海の荒れ狂うときになると、(その大風に乗って飛び上がり)、南の果ての海へと天翔(あまがけ)る。「南の果ての海」とは天の池である。

○逍遥遊(ショウヨウユウ) 何ものにも束縛されることのない自由な境地に心を遊ばせること。○鯤(コン) はららご。魚のまるい卵。魚子。『爾雅』(釈魚)。 最も微小なものである鯤(はららご)を、北の果ての冥い海に棲(す)む巨大な魚の名に用いたところ、荘子の面目躍如たるところである。しかも、この鯤が、天空をさえぎって飛翔する巨大な鳥に変身するというのである。我々の常識の世界を超越している。○海の運くとき  嵐で海の荒れること。


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