山石#1(全3回) 韓愈 中唐詩-226 Ⅱ韓退之(韓愈) 紀頌之の漢詩ブログ 韓愈特集-24



796年 董晋の招きで宣武軍節度使の幕府に入る。

797年 病気のため一時求職。

    孟郊が来る。

798年 同所で進士科の予備試験員。

    張籍、この試験合格者の中に有る。

799年 汴州の乱「汴州亂二首其一 韓愈特集-6

        「汴州亂二首其二 韓愈特集-7

    「此日足可惜贈張籍 韓愈-7-#1 ~14」

    徐州武寧軍節度使 張建封の幕府に入る。

    韓愈、命受けて長安へ。孟郊、呉、越を遊覧。

    「忽忽」忽忽 唐宋詩-218 Ⅱ韓退之(韓愈)  韓愈特集-22



800年 春長安より徐州へ帰る。幕府を退く。

    彭城に帰る

    「歸彭城」 #1(全4回) 韓愈 唐宋詩-219 Ⅱ韓退之(韓愈) 韓愈特集-23

801年貞元十七年

身言書判科を受験して、落第。三月、洛陽、冬、長安に戻る。孟郊、溧陽の尉となる。

「山石」

 ・孟郊常州に行く。

「将歸贈孟東野房蜀客」(將に帰らんとして孟東野・房蜀客に贈る。)

山石

山に転がって進む道を邪魔する石。(韓愈受験に落第し、再度チャレンジすることを決したことをこの山道にたとえてうたうものである。)
#1
山石犖确行徑微,黄昏到寺蝙蝠飛。
山に登る道は大きい石がごろごろとたくさんあり、小道は細くなってかすかな感じになっている。黄昏(たそがれ)になって寺にたどり着くと、蝙蝠(こうもり)が飛んでいる。 
升堂坐階新雨足,芭蕉葉大支子肥。
お堂に昇っていく階に坐れば新たに充分な雨が降っている。この雨で、芭蕉の葉は大きくなって、梔子(しし、くちなし)の実が大きくなっている。 
僧言古壁佛畫好,以火來照所見稀。」
坊さんは古い壁に措かれた仏の絵がすはらしいといい、明かりで照らしてくれたが、剥げているためいくらも見えなかった。
僧侶の方は「古い壁の仏画は好いものだ」とお説教をしてくれる。その仏画は、火で照らし出した部分、見えたのは、ごく一部である。

#2
鋪床拂席置羹飯,疏糲亦足飽我飢。
夜深靜臥百蟲絶,清月出嶺光入扉。
天明獨去無道路,出入高下窮煙霏。
山紅澗碧紛爛漫,時見松櫪皆十圍。」
#3
當流赤足蹋澗石,水聲激激風吹衣。
人生如此自可樂,豈必局束爲人鞿。
嗟哉吾黨二三子,安得至老不更歸。」

#1
山石 犖确(らくかく)として 行径(こうけい)微にして,黄昏 寺に到れば 蝙蝠(へんぷく)飛ぶ。
堂に昇り 階に坐ざすれば 新雨足り,芭蕉(ばしょう)の葉は大いにして 支子肥ゆ。
僧は言う「古壁の佛畫(ぶつガ)好し」と,火を以て 來り照らすに 見る所稀まれなり。

#2
床を鋪(し)き 席(むしろ)を拂いて羹飯(こうはん)を置き,疏糲(それい) 亦また我が飢を 飽(あ)かしむるに 足る。
夜深く靜かに臥すれば 百蟲(ひゃくちゅう) 絶え,清月 嶺を出て 光 扉(とびら)に入る。
天明 獨り去ゆくに道路 無く,高下に 出入して  煙霏(えんぴ) を窮(きわ)む。
山 紅(くれない)に澗(たに) 碧(みどり)に 紛まじりて 爛漫,時に見る 松櫪(しょうれき)の皆 十圍(じゅうい)なるを。
#3
流れに當りて赤足もて 澗石(かんせき)を 蹋(ふ)み,水聲 激激として 風 衣(ころも)を吹く。
人生 此かくの如く自から樂しむべく,豈 必ずしも 局束(きょくそく)として 人の爲ために鞿(つな)がれんや。
嗟哉(ああ) 吾わが黨の二、三の子し,安いづくんぞ 老おいに至りて 更に歸らざることを得ん。


貞元十七年の冬、韓愈は結新たに再度単身で長安に上京した。口では世捨て人へのあこがれを言っていても、それは強がり、現実的には、高級官僚への夢を容易に絶ち切ることはできないのである。吏部試をもう一度受験しのである。彼はめでたく合格し、念願を果たすのである。この詩は、韓愈が決意を新たにした時の詩である。


 現代語訳と訳註
(本文) #1

山石犖确行徑微,黄昏到寺蝙蝠飛。
升堂坐階新雨足,芭蕉葉大支子肥。
僧言古壁佛畫好,以火來照所見稀。」


(下し文) #1
山石 犖确(らくかく)として 行径(こうけい)微にして,黄昏 寺に到れば 蝙蝠(へんぷく)飛ぶ。
堂に昇り 階に坐ざすれば 新雨足り,芭蕉(ばしょう)の葉は大いにして 支子肥ゆ。
僧は言う「古壁の佛畫(ぶつガ)好し」と,火を以て 來り照らすに 見る所稀まれなり。


(現代語訳)
山に転がって進む道を邪魔する石。(韓愈受験に落第し、再度チャレンジすることを決したことをこの山道にたとえてうたうものである。)
山に登る道は大きい石がごろごろとたくさんあり、小道は細くなってかすかな感じになっている。黄昏(たそがれ)になって寺にたどり着くと、蝙蝠(こうもり)が飛んでいる。 
お堂に昇っていく階に坐れば新たに充分な雨が降っている。この雨で、芭蕉の葉は大きくなって、梔子(しし、くちなし)の実が大きくなっている。 
坊さんは古い壁に措かれた仏の絵がすはらしいといい、明かりで照らしてくれたが、剥げているためいくらも見えなかった。
僧侶の方は「古い壁の仏画は好いものだ」とお説教をしてくれる。その仏画は、火で照らし出した部分、見えたのは、ごく一部である。


(訳注)
山石

山に転がって進む道を邪魔する石。(韓愈受験に落第し、再度チャレンジすることを決したことをこの山道にたとえてうたうものである。)
○韓愈の「以文爲詩」(散文的な手法の詩=散文的な語彙や句法、段落で作った詩)の代表的なもの。六朝詩や唐詩の華麗さがなく、夕暮れから夜、更に早朝の光景が、淡々と語られている。これらを詠いつつ、受験に落第し、再度チャレンジすることを決したことをこの山道にたとえてうたうものである。


山石犖确行徑微、黄昏到寺蝙蝠飛。
山に登る道は大きい石がごろごろとたくさんあり、小道は細くなってかすかな感じになっている。黄昏(たそがれ)になって寺にたどり着くと、蝙蝠(こうもり)が飛んでいる。 
○犖确 〔らくかく〕山に大きい石が多くあるさま。ごろごろと。でこぼことしている。 ○行徑微 山道がだんだんと細くなるさまを謂う。 ○行徑 こみち。○黄昏 〔くゎうこん〕。たそがれ。夕方の薄暗い時刻。 ○蝙蝠 〔へんぷく〕コウモリ。


升堂坐階新雨足、芭蕉葉大支子肥。
お堂に昇っていく階に坐れば新たに充分な雨が降っている。この雨で、芭蕉の葉は大きくなって、梔子(しし、くちなし)の実が大きくなっている。 
升堂 お堂に入る。「昇堂」。屋敷の場合は奥座敷に使われるが、寺で僧侶に会う場合はお堂の方が良い。 ○坐階 階(きざはし)に坐(すわ)る。 ○ 充分である。足(た)る。○芭蕉 〔ばせう〕バショウ科の多年草。高さ4メートルくらい。葉身は、長さ約1.5メートルの長楕円形。 ○ 大きくなる。後出の「肥」と句中の対を構成する。 ○支子 〔しし〕=梔子(くちなし)の実。「梔」:〔し〕クチナシ。夢は実現するものということをくちなしの実の大きくなることで悟ってくることを示唆している。


僧言古壁佛畫好、以火來照所見稀。
僧侶の方は「古い壁の仏画は好いものだ」とお説教をしてくれる。その仏画は、火で照らし出した部分、見えたのは、ごく一部である。
○「古壁佛畫好」 「古い壁に画かれている仏画は素晴らしい。」古きものを大切にしなさいというお説教と考える。僧侶が作者・韓愈に言った言葉。○以火 火で。 ○來照 照らし出す。 ○所見 見えるところ。見える事柄。 ○ わずかである。
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