中唐詩 Ⅶ孟郊(孟東野) 贈鄭夫子魴 <23> kanbun-iinkai紀頌之の漢詩ブログ247

そもそも、孟郊にとって、詩を作るということは、どういうことを意味したのだろうか。孟郊に「贈鄭夫子魴」(巻六)と題する詩があり、詩歌の創作に対する見解を述べている。鄭魴という人物に贈った詩。
kairo10680

贈鄭夫子魴
 天地入胸臆,籲嗟生風雷。
天地、自然万物が詩人の胸に入る、ため息を吐き出し、それは風を生み、雷を鳴らせるのである。
 文章得其微,物象由我裁。
詩人が作り出す文章は細やかなる描写表現を得ているものだ、万物の事象をも作り出すことさえも詩人自身の裁量でもってするのである。
 宋玉逞大句,李白飛狂才。
宋玉は雄々しい句でたくましい。李白は集中しこだわりを持ち常人では考えられないほどの才能を迸せている。
 苟非聖賢心,孰與造化該。
いやしくも詩歌を作る才能だけでなく聖人と賢人の心であらねばならない。そして、詩歌の創作が造物主の働きに匹敵することをいう。
 勉矣鄭夫子,驪珠今始胎。

鄭魴・先生はこのまま勉められるよいとおもう。黒竜の顎下の驪珠を手に入れたような宿されたばかりの若い才能に期待している。


天地 胸臆【きょうおく】に入り、吁嗟【ああ】風雷を生ず。
文章其の微を得て、物象我に由りて裁つ。
宋玉大句を逞しくし、李白狂才を飛ばす。
苟【いやし】くも聖賢の心に非ざれば、孰【いずれ】か造化と該たらん。
勉めよ鄭夫子、驪珠【りしゅ】今始めて胎す。

600moon880

現代語訳と訳註
(本文)
贈鄭夫子魴
 天地入胸臆,籲嗟生風雷。
 文章得其微,物象由我裁。
 宋玉逞大句,李白飛狂才。
 苟非聖賢心,孰與造化該。
 勉矣鄭夫子,驪珠今始胎。


(下し文)
天地 胸臆【きょうおく】に入り、吁嗟【ああ】風雷を生ず。
文章其の微を得て、物象我に由りて裁つ。
宋玉大句を逞しくし、李白狂才を飛ばす。
苟【いやし】くも聖賢の心に非ざれば、孰【いずれ】か造化と該たらん。
勉めよ鄭夫子、驪珠【りしゅ】今始めて胎す。


(現代語訳)
天地、自然万物が詩人の胸に入る、ため息を吐き出し、それは風を生み、雷を鳴らせるのである。
詩人が作り出す文章は細やかなる描写表現を得ているものだ、万物の事象をも作り出すことさえも詩人自身の裁量でもってするのである。
宋玉は雄々しい句でたくましい。李白は集中しこだわりを持ち常人では考えられないほどの才能を迸せている。
いやしくも詩歌を作る才能だけでなく聖人と賢人の心であらねばならない。そして、詩歌の創作が造物主の働きに匹敵することをいう。
鄭魴・先生はこのまま勉められるよいとおもう。黒竜の顎下の驪珠を手に入れたような宿されたばかりの若い才能に期待している。

80022008

(訳注)
天地入胸臆,籲嗟生風雷。

天地、自然万物が詩人の胸に入る、ため息を吐き出し、それは風を生み、雷を鳴らせるのである。
胸臆  むね。胸部。心。心の中。胸のうち。肉体を自然現象になぞらえている。○ 籲嗟 ああ、の辞。籲は呼ぶ。杜甫『奉贈鮮於京兆二十韻』 
この句は、詩を作ることは、天地の自然を自由に操ることなのである。言い換えれば、詩歌の創作は造物主の働きに等しいことになる。


文章得其微,物象由我裁。
詩人が作り出す文章は細やかなる描写表現を得ているものだ、万物の事象をも作り出すことさえも詩人自身の裁量でもってするのである。
○詩人が感じたものを創作の描写表現の神髄について述べる。主観的に描く対象を造型しうることこそが、創作の神髄なのだという。


宋玉逞大句,李白飛狂才。
宋玉は雄々しい句でたくましい。李白は集中しこだわりを持ち常人では考えられないほどの才能を迸せている。
宋玉 屈原の弟子で、『文選』巻十九に「高唐賦」「神女賦」などの作品が載っている。○逞 たくましいい。創作の神髄をきわめた詩人の例を挙げる。○大句  スケールの大きい句、雄々しい句であること。○李白 奔放で変幻自在な詩風。○狂才 集中しこだわりを持ち常人では考えられないほどの才能。狂は狂人というのではない。
○すぐれた詩句であること、孟郊は宋玉と李白を讃えている。


苟非聖賢心,孰與造化該。
いやしくも詩歌を作る才能だけでなく聖人と賢人の心であらねばならない。そして、詩歌の創作が造物主の働きに匹敵することをいう。
○苟 いやしくも。○ いずれ。


勉矣鄭夫子,驪珠今始胎。
鄭魴先生はこのまま勉められるよいとおもう。黒竜の顎下の驪珠を手に入れたような宿されたばかりの若い才能に期待している。
○夫子  1 昔、中国で、大夫(たいふ)以上の人に用いた敬称。また、長者・賢者・先生などを敬っていう語。2 その当人を指す語。あなた・あの人の意。 3 孔子の敬称。 ○驪珠 『荘子』《列禦寇》から黒色の竜のあごの下にある珠をいう。危険を冒さなくては手に入れることのできない貴重なもの。つまり黒竜のあごの下にある玉とは、鄭魴のすぐれた文才のたとえ。鄭魴を激励することばである。


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