中唐詩 Ⅶ孟郊(孟東野) 答盧仝#1 <24> kanbun-iinkai紀頌之の漢詩ブログ248

(盧仝に答える)

盧仝に贈った詩で、詩について、楚の屈原は世をはかなんで死んだが、自分は悪戦苦闘し、良い語、良い句がなかなかできないことによって死ぬのであろうと詠じたものである。便宜上3分割して掲載する。

盧仝【ろどう】(生年不詳-835年)中唐の詩人。出世の志なく、若いときから少室山(河南省)に隠棲して学問を究めた。宦官を揶揄する詩、『月蝕詩』を作った。この詩により、甘露の変のとき王涯の邸で会食していたところを逮捕された。盧仝は宦官一掃の計画となんの関わりもなかったが殺された。茶を愛好し、玉川泉から水を汲んで茶を煮出したため、玉川子を号とした。『玉川子詩集』。

王涯【おうがい】(765?~835) 太原の人。唐の貞元八年(792)、進士及第。文宗(李昂)の時、太常卿として召され、吏部尚書総塩鉄をつとめ、司空・門下侍郎に上った。甘露の変(宦官勢力の打倒を企図した事件)に連座して殺された。

甘露の変については、李商隠の以下の詩を掲載している。

「行次西郊作一百韻」について李商隠の詩150 -147はじめに

李商隠 146 李商隠「井泥四十韻」について

燕臺詩四首 其三 秋#1 李商隠132 紀頌之の漢詩ブログ李商隠特集150- 131-1

鸞鳳 李商隠 紀頌之の漢詩ブログ李商隠特集150- 111

漫成五章 其四 李商隠 紀頌之の漢詩ブログ李商隠特集150- 107

重有感 李商隠 紀頌之の漢詩ブログ李商隠特集150- 103

有感二首 其二 李商隠 紀頌之の漢詩ブログ李商隠特集150- 102

有感二首 其一 李商隠 紀頌之の漢詩ブログ李商隠特集150- 101 *このブログで「甘露の変」の概要説明参照

北斉二首其二 李商隠 :kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ李商隠特集 45

哭劉司戸二首 其一 李商隠 :kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ李商隠特集 39 

李商隠 4 曲江

sangaku880


答盧仝(孟郊 唐詩)
#1楚屈入水死,詩孟踏雪僵。
楚の屈原は世をはかなみ湘水に入水して死んだ。詩人である孟郊は、作詩に雪道を歩いて倒れて死んでしまうほどの努力をしている。
   直氣苟有存,死亦何所妨。
詩にたいしてまっすぐな気持ちを持っており、それを大事にしていることに変わりはない。だからそれによって死という結果をどうして恐れることがあろうか。
   日劈高查牙,清棱含冰漿。
太陽を切り裂くほど高い牙のような山であっても、そこには清々しく筋を成しれ流れる凍りつくほど冷たい水を含んでいる。
   前古後古冰,與山氣勢強。
大昔の氷も昔の氷も氷で冷たいものである。作詩にたいする気持ちの勢いは山よりも強いものがある。
   閃怪千石形,異狀安可量。』

作詩のひらめきがあって書いてみるとどこにでもある千の石のように平凡なもので自分を責めてしまう。普通でないものを書くにはどうしていいのかわからない。

#2有時春鏡破,百道聲飛颺。
  潛仙不足言,朗客無隱腸。
  爲君傾海宇,日夕多文章。
  天下豈無緣,此山雪昂藏。
  煩君前致詞,哀我老更狂。
  狂歌不及狂,歌聲緣鳳凰。』
#3鳳兮何當來,消我孤直瘡。
  君文真鳳聲,宣隘滿鏗鏘。
  洛友零落盡,逮茲悲重傷。
  獨自奮異骨,將騎白角翔。
  再三勸莫行,寒氣有刀鎗。
  仰慚君子多,慎勿作芬芳。』

#1
楚の屈は 水に入りて死し、詩の孟は雪を踏んで僵【たおれ】る。
直気 筍【】くも存する有れば、死も亦た何ぞ妨ぐ所ならん。
日 劈【つんざ】き 高きこと查牙【さが】たり、清稜【せいりょう】 冰漿【ひょうしょう】を含む。
前古 後古の冰、山よりも気勢強し。
閃怪【せんかい】 千石の形、異状 安んぞ量るべけんや。』
#2

#1
楚の屈は 水に入りて死し、詩の孟は雪を踏んで僵【たおれ】る。
直気 筍【】くも存する有れば、死も亦た何ぞ妨ぐ所ならん。
日 劈【つんざ】き 高きこと查牙【さが】たり、清稜【せいりょう】 冰漿【ひょうしょう】を含む。
前古 後古の冰、山よりも気勢強し。
閃怪【せんかい】 千石の形、異状 安んぞ量るべけんや。』
#2
時有り 春鏡破れ、百道 声 飛颺【ひき】す。
潜仙【せんせん】 言ひ足らず、朗客【ろうかく】 腸を隠す無し。
君が為に海宇を傾く、日夕 文章多し。
天下 豈 縁なからんや、此の山 雪昂【せつこう】 蔵たり。
君を煩【わずら】はし 前みて詞を致す、我が老いて更に狂なるを哀しむ。
狂歌 狂なるに及ばず、歌声 鳳凰に縁る。』
#3
鳳や 何か当に来たりて、我が孤直【こちょく】の瘡を消すべけんや。
君が文 真に鳳声なり、宣隘【せんあい】 鏗鏘【けんしょう】満つ。
洛友 零落【れいらく】尽し、茲【ここ】に逮【およ】んで重傷を悲しむ。
独自り 異骨を奮【ふる】い、将に白角に騎【の】りて翔【と】ばんとす。
再三 勧めて行ふ莫かれ、寒気 刀鎗【とうそう】有り。
仰ぎ慚ず 君子多し、慎んで芬芳【ふんほう】を作す勿かれ。』

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現代語訳と訳註
(本文)
答盧仝
(孟郊 唐詩)
#1 楚屈入水死,詩孟踏雪僵。
   直氣苟有存,死亦何所妨。
   日劈高查牙,清棱含冰漿。
   前古後古冰,與山氣勢強。
   閃怪千石形,異狀安可量。』  

(下し文) #1
楚の屈は 水に入りて死し、詩の孟は雪を踏んで僵【たおれ】る。
直気 筍くも存する有れば、死も亦た何ぞ妨ぐ所ならん。
日劈き 高きこと查牙たり、清稜 冰漿を含む。
前古 後古の冰、山よりも気勢強し。
閃怪 千石の形、異状 安んぞ量るべけんや。』


(現代語訳)
楚の屈原は世をはかなみ湘水に入水して死んだ。詩人である孟郊は、作詩に雪道を歩いて倒れて死んでしまうほどの努力をしている。
詩にたいしてまっすぐな気持ちを持っており、それを大事にしていることに変わりはない。だからそれによって死という結果をどうして恐れることがあろうか。
太陽を切り裂くほど高い牙のような山であっても、そこには清々しく筋を成しれ流れる凍りつくほど冷たい水を含んでいる。
大昔の氷も昔の氷も氷で冷たいものである。作詩にたいする気持ちの勢いは山よりも強いものがある。
作詩のひらめきがあって書いてみるとどこにでもある千の石のように平凡なもので自分を責めてしまう。普通でないものを書くにはどうしていいのかわからない。


(訳注)#1
楚屈入水死,詩孟踏雪僵。

楚の屈原は世をはかなみ湘水に入水して死んだ。詩人である孟郊は、作詩に雪道を歩いて倒れて死んでしまうほどの努力をしている。
楚屈 戦国時代の楚の政治家、詩人。氏は屈。諱は平または正則。字が原。春秋戦国時代を代表する詩人であり、政治家としては秦の張儀の謀略を見抜き踊らされようとする懐王を必死で諫めたが受け入れられず、楚の将来に絶望して入水自殺した○詩孟 前句の楚屈に対して、詩の孟郊ということ。別のテキストでは、孟を「死」と作るものがある。その場合詩によって死に至るということになる。どちらでも詩の大意には変化はない。○ 面(おもて)を改める,表情をひきしめる.


直氣苟有存,死亦何所妨。
詩にたいしてまっすぐな気持ちを持っており、それを大事にしていることに変わりはない。だからそれによって死という結果をどうして恐れることがあろうか。
直気 詩にたいするまっすぐな気持ちをいう。


日劈高查牙,清棱含冰漿
太陽を切り裂くほど高い牙のような山であっても、そこには清々しく筋を成しれ流れる凍りつくほど冷たい水を含んでいる。
日劈 擘く/劈く【つんざく】 勢いよく突き破る。つよく裂き破る。太陽をつんざくほどの破壊力持った詩句。○查牙 とがった牙のような鋭い詩句。○清稜 清らかな筋を持った文章。棱(稜) 物のかど. いきおい。 (幾すじも並んだ)線状の突起.農地の単位。○冰漿 氷の底にある冷たく存在力のある水をいう。これも詩句のこと。


前古後古冰,與山氣勢強。
大昔の氷も昔の氷も氷で冷たいものである。作詩にたいする気持ちの勢いは山よりも強いものがある。
前古 大昔の氷。詩としての表現をいう。○後古 昔の冰、詩の表現、語、句の使い方をいう。○気勢 詩の表現、語、句の勢いのこと。


閃怪千石形,異狀安可量。』
作詩のひらめきがあって書いてみるとどこにでもある千の石のように平凡なもので自分を責めてしまう。普通でないものを書くにはどうしていいのかわからない。
 ひらめく.のぞく。身をかわす。稲妻。○ あやしい。普通でない。責める。恨む○千石の形、○異状 普通でない詩句、自分でしかできないと思われるような詩句。


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