中唐詩-296 岳陽樓別竇司直 #2 Ⅱ韓退之(韓愈) 紀頌之の漢詩ブログ 韓愈特集-36-#2

#2
軒然大波起,宇宙隘而妨。
声高らかに笑うように大浪が高く巻き起こり、そのために宇宙さえも狭くなって、つかえるかと思うほどだ。
巍峩拔嵩華,騰踔較健壯。
波はそびえて嵩山・華山をもしのぐほどであり、その飛び越える動きは健やかで勇壮なさまをきそっているようだ。
聲音一何宏,轟輵車萬兩。
流れ込む音、波の音が 一つに集まってなんと大きなことになるのだろう、ごうごうと一万両の兵車が走るほどの響きをたてるのである。
猶疑帝軒轅,張樂就空曠。
聖帝の軒轅皇帝がこの天空の広さのなかで天を弦にした音楽を演奏しているのかと疑われるほどのものだ。
蛟螭露筍簴,縞練吹組帳。

底に住むみずちが楽器の台を水面に現わし、湖をわたる風にあがった波しぶきが、楽団をかこむ白絹の帳を吹くかのよう。

#2
軒然として大波起こり、宇宙 隘まりて妨【さまた】ぐ。
巍峩として嵩・華を抜き、騰踔【とうたく】して健壮を較ぶ。
声音 一に何ぞ宏【おお】いなる、轟輵【ごうかつ】として車万両。
猶 疑う帝軒轅【けんえん】の、楽【がく】を張りて空曠【くうこう】に就くかと。
蛟螭【こうち】 筍簴【じゅんきょ】を露わし、縞練【こうれん】 組帳【そちょう】を吹く。



現代語訳と訳註
(本文) #2
軒然大波起,宇宙隘而妨。
巍峩拔嵩華,騰踔較健壯。
聲音一何宏,轟輵車萬兩。
猶疑帝軒轅,張樂就空曠。
蛟螭露筍簴,縞練吹組帳。


(下し文) #2
軒然として大波起こり、宇宙 隘まりて妨【さまた】ぐ。
巍峩として嵩・華を抜き、騰踔【とうたく】して健壮を較ぶ。
声音 一に何ぞ宏【おお】いなる、轟輵【ごうかつ】として車万両。
猶 疑う帝軒轅【けんえん】の、楽【がく】を張りて空曠【くうこう】に就くかと。
蛟螭【こうち】 筍簴【じゅんきょ】を露わし、縞練【こうれん】 組帳【そちょう】を吹く。


(現代語訳)
声高らかに笑うように大浪が高く巻き起こり、そのために宇宙さえも狭くなって、つかえるかと思うほどだ。
波はそびえて嵩山・華山をもしのぐほどであり、その飛び越える動きは健やかで勇壮なさまをきそっているようだ。
流れ込む音、波の音が 一つに集まってなんと大きなことになるのだろう、ごうごうと一万両の兵車が走るほどの響きをたてるのである。
聖帝の軒轅皇帝がこの天空の広さのなかで天を弦にした音楽を演奏しているのかと疑われるほどのものだ。
底に住むみずちが楽器の台を水面に現わし、湖をわたる風にあがった波しぶきが、楽団をかこむ白絹の帳を吹くかのよう。


(訳注)#2
軒然大波起,宇宙隘而妨。

声高らかに笑うように大浪が高く巻き起こり、そのために宇宙さえも狭くなって、つかえるかと思うほどだ。
軒然 声高らかに笑うこと。


巍峩拔嵩華,騰踔較健壯。
波はそびえて嵩山・華山をもしのぐほどであり、その飛び越える動きは健やかで勇壮なさまをきそっているようだ。
拔嵩華 嵩山、崋山を凌ぐ。五岳(ごがく)は中国の道教の聖地である5つの山の総称。五名山とも呼ばれる。陰陽五行説に基づき、木行=東、火行=南、土行=中、金行=西、水行=北 の各方位に位置する、5つの山が聖山とされる。 東岳 泰山(山東省泰安市泰山区) 南岳 衡山(湖南省衡陽市衡山県) 中岳 嵩山(河南省鄭州市登封市) 西岳 華山(陝西省渭南市華陰市) 北岳 恒山(山西省大同市渾源県)○騰踔 飛び上がる。飛び越える。


聲音一何宏,轟輵車萬兩。
流れ込む音、波の音が 一つに集まってなんと大きなことになるのだろう、ごうごうと一万両の兵車が走るほどの響きをたてるのである。
聲音 流れ込む音、波の音。○一何宏 一つに集まって何とおおきなことになる。

猶疑帝軒轅,張樂就空曠。
聖帝の軒轅皇帝がこの天空の広さのなかで天を弦にした音楽を演奏しているのかと疑われるほどのものだ。
帝軒轅 軒轅。姓は姫姓とも姒氏とも言われ、また帝鴻氏とも呼ばれる。 三皇の最後、または五帝の始めに必ず名前のあがる人物で、一般に中華民族の祖とされている。 特に道家思想では、道家の論者を「黄老の徒」と呼んだように、理想の君主とされる。
張樂 天を弦にした音楽を演奏している。○空曠 天空の隅々までの広大なこと。


蛟螭露筍簴,縞練吹組帳。
底に住むみずちが楽器の台を水面に現わし、湖をわたる風にあがった波しぶきが、楽団をかこむ白絹の帳を吹くかのよう
蛟螭 蛟と螭のどちらも種類の違うみずちである。蛟は蛟であるが大魚、角のない竜。 螭は山の中のみずち、猛獣の名。○筍簴 楽器の台を水面に現わす。