中唐詩-297 岳陽樓別竇司直 #3 Ⅱ韓退之(韓愈) 紀頌之の漢詩ブログ 韓愈特集-36-#3


#3
鬼神非人世,節奏頗跌踼。
この天の神がなでる音楽のわざは人の世で聞けるものではなく、節章のリズムの取り方も奏でるメロディーも通常のものではないものだ。
陽施見誇麗,陰閉感悽愴。
管楽器を吹き鳴らすときは美しい声で聞こえているし、息を吸いこんで鳴らすときは凄惨、悲愴な感じになる。
朝過宜春口,極北缺隄障。
朝がた、宜春の入りロのあたりにさしかかったときは、北のはての方に何もさえぎるものがなかった。
夜纜巴陵洲,叢芮纔可傍。
夜になって巴陵の中洲に舟をつなごうとすると、草がむらがって生えている小さな芽がいっぱいでようやく舟が寄せられる程度であった。
星河盡涵泳,俯仰迷下上。
そして夜空に見える星はすべて天の川のなかに浮かんで輝き、下を向いたり上を向いたりすると、天と地を見ちがえるほどだった。

#3
鬼神 人世に非ず、節奏 頗【すこぶ】る跌踼【てっとう】。
陽施して誇麗を見【あら】わし、陰閉して悽愴【せいそう】に感ず。
朝【あした】に宜春【ぎしゅん】の口を過ぐれば、極北 堤障【ていしょう】を欠く。
夜 巴陵の洲に纜【つな】げば、叢芮 纔かに傍【そ】う可し。
星河 尽く涵泳し、俯仰【ふぎょう】下上【かじょう】に迷う。

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現代語訳と訳註
(本文)#3

鬼神非人世,節奏頗跌踼。
陽施見誇麗,陰閉感悽愴。
朝過宜春口,極北缺隄障。
夜纜巴陵洲,叢芮纔可傍。
星河盡涵泳,俯仰迷下上。


(下し文) #3
鬼神 人世に非ず、節奏 頗【すこぶ】る跌踼【てっとう】。
陽施して誇麗を見【あら】わし、陰閉して悽愴【せいそう】に感ず。
朝【あした】に宜春【ぎしゅん】の口を過ぐれば、極北 堤障【ていしょう】を欠く。
夜 巴陵の洲に纜【つな】げば、叢芮 纔かに傍【そ】う可し。
星河 尽く涵泳し、俯仰【ふぎょう】下上【かじょう】に迷う。


(現代語訳)
この天の神がなでる音楽のわざは人の世で聞けるものではなく、節章のリズムの取り方も奏でるメロディーも通常のものではないものだ。
管楽器を吹き鳴らすときは美しい声で聞こえているし、息を吸いこんで鳴らすときは凄惨、悲愴な感じになる。
朝がた、宜春の入りロのあたりにさしかかったときは、北のはての方に何もさえぎるものがなかった。
夜になって巴陵の中洲に舟をつなごうとすると、草がむらがって生えている小さな芽がいっぱいでようやく舟が寄せられる程度であった。
そして夜空に見える星はすべて天の川のなかに浮かんで輝き、下を向いたり上を向いたりすると、天と地を見ちがえるほどだった。


(訳注)#3
鬼神非人世,節奏頗跌踼。

この天の神がなでる音楽のわざは人の世で聞けるものではなく、節章のリズムの取り方も奏でるメロディーも通常のものではないものだ。
鬼神 天の神がなでる音楽のわざ。○節奏頗跌踼  節章のリズムの取り方も奏でるメロディーも通常のものではないものだ。


陽施見誇麗,陰閉感悽愴。
管楽器を吹き鳴らすときは美しい声で聞こえているし、息を吸いこんで鳴らすときは凄惨、悲愴な感じになる。
陽施 『淮南子・天文篇』「吐気者施、含気者化、是故陽施陰化。」(吐気は施、含気は化、是れ故に施は陽で化は陰。)施;ほどこす。手前の物を向こうへ押しやる。のびる(ノブ)。のばす。うつる。長くのびる。また、のびてうつっていく。「是れ故に施は陽で化は陰」とは、陰陽分類とは、どんなことについて陰と陽に分けたかというテーマ性が必要で、それによって陰と陽に分けたものの性質と、それ同士の関係性を明確化するわけである。この場合は天があって地があることで生じる環境変化を、反応のために作用を施す陽と、受けた施しから変化と言うかたちで反応する陰とに分類して、次の気象の発生で説明をしている。○誇麗 美しい。『荀子,富国』「非ず特以て為す淫泰誇麗之聲。」(特だに以て淫泰誇麗之聲を為すのみに非ず。)○陰閉 いきをふきこむこと。○悽愴 凄惨、悲愴。


朝過宜春口,極北缺隄障。
朝がた、宜春の入りロのあたりにさしかかったときは、北のはての方に何もさえぎるものがなかった。
朝過 朝がたさしかかったとき○宜春口 宜春の入りロのあたり。まだ洞庭湖には入っていない。○極北 洞庭湖の北には岳陽がある。○缺隄障 高い障害物がないこと。雨季にはほとんど水没する湿地帯であることをいうのであろう。


夜纜巴陵洲,叢芮纔可傍。
夜になって巴陵の中洲に舟をつなごうとすると、草がむらがって生えている小さな芽がいっぱいでようやく舟が寄せられる程度であった。
巴陵 現在の岳陽市の中心部になる。洲 中洲○叢芮 むらがって生えている小さな芽生えた芽。○纔可傍 ようやく舟が寄せられる程度であった。


星河盡涵泳,俯仰迷下上。
そして夜空に見える星はすべて天の川のなかに浮かんで輝き、下を向いたり上を向いたりすると、天と地を見ちがえるほどだった。
○星河 夜空に見える天の川○涵泳 天の川のなかに浮かんで輝き○俯仰 下を向いたり上を向いたりする○迷下上 天と地を見ちがえるほどである。
韓愈の地図01