中唐詩-300 岳陽樓別竇司直 #6 Ⅱ韓退之(韓愈) 紀頌之の漢詩ブログ 韓愈特集-36-#6


#6
開筵交履舃,爛漫倒家釀。
そこで酒宴をもよおしてくれて靴を交わし合う無礼講となった、その家に蓄えてあった酒樽を傾け、心ゆくまで酔いみだれた。
杯行無留停,高柱送清唱。
杯が何度もやりとりされて留まることがない、高貴なすばらしい演奏に清らかな歌声で、宴席の興が添えられた。
中盤進橙栗,投擲傾脯醬。
食卓の中央にはだいだいや栗などを盛り、それにつける味噌漬の肉をありったけ並べてある。
歡窮悲心生,婉孌不能忘。
楽しさが極まるにつれて悲しみの心が生じ、胸のなかにいつまでもまつわりついて忘れることができない。
念昔始讀書,志欲干霸王。
いま思えぱその昔、学問をしはじめたころ、王者に認められて片腕となって働こうという理想を抱いた。

筵を開きて履舃【りせき】を交え、爛漫【らんまん】として家醸【かじょう】を倒す。
盃行【はいめぐ】りて留停する無く、高柱 清唱を送る。
中盤 橙栗【とうりつ】を進め、投擲【とうてき】脯醬【ほしょう】を傾く。
歓 窮まって 悲心生じ、婉孌【えんらん】として忘るる能わず。
念う昔 始めて読書せしとき、志 覇王に干【もと】めんと欲す

岳陽樓003


現代語訳と訳註
(本文)#6
開筵交履舃,爛漫倒家釀。
杯行無留停,高柱送清唱。
中盤進橙栗,投擲傾脯醬。
歡窮悲心生,婉孌不能忘。
念昔始讀書,志欲干霸王。

(下し文)#6
筵を開きて履舃【りせき】を交え、爛漫【らんまん】として家醸【かじょう】を倒す。
盃行【はいめぐ】りて留停する無く、高柱 清唱を送る。
中盤 橙栗【とうりつ】を進め、投擲【とうてき】脯醬【ほしょう】を傾く。
歓 窮まって 悲心生じ、婉孌【えんらん】として忘るる能わず。
念う昔 始めて読書せしとき、志 覇王に干【もと】めんと欲す。

(現代語訳)#6
そこで酒宴をもよおしてくれて靴を交わし合う無礼講となった、その家に蓄えてあった酒樽を傾け、心ゆくまで酔いみだれた。
杯が何度もやりとりされて留まることがない、高貴なすばらしい演奏に清らかな歌声で、宴席の興が添えられた。
食卓の中央にはだいだいや栗などを盛り、それにつける味噌漬の肉をありったけ並べてある。
楽しさが極まるにつれて悲しみの心が生じ、胸のなかにいつまでもまつわりついて忘れることができない。
いま思えぱその昔、学問をしはじめたころ、王者に認められて片腕となって働こうという理想を抱いた。

(訳注)
開筵交履舃,爛漫倒家釀。
そこで酒宴をもよおしてくれて靴を交わし合う無礼講となった、その家に蓄えてあった酒樽を傾け、心ゆくまで酔いみだれた
開筵 宴席を設ける。晉書『車胤傳』「謝安游之日、輒開筵待之。」○履舃 くつ。履は一枚底。舃は二枚底。○爛漫 花が咲き乱れるさま。水があふれているさま。


杯行無留停,高柱送清唱。
杯が何度もやりとりされて留まることがない、高貴なすばらしい演奏に清らかな歌声で、宴席の興が添えられた。
○高柱 高貴なすばらしい演奏。


中盤進橙栗,投擲傾脯醬。
食卓の中央にはだいだいや栗などを盛り、それにつける味噌漬の肉をありったけ並べてある。
橙栗 だいだいと栗。○脯醬 味噌漬の肉


歡窮悲心生,婉孌不能忘。
楽しさが極まるにつれて悲しみの心が生じ、胸のなかにいつまでもまつわりついて忘れることができない。
婉孌 年が若く美しい。親しみ愛する。


念昔始讀書,志欲干霸王。
いま思えぱその昔、学問をしはじめたころ、王者に認められて片腕となって働こうという理想を抱いた。
霸王 1 覇者と王者。覇道と王道。2 武力で諸侯を統御して天下を治める者。『礼記』「義與信,和與仁,霸王之器也。」(義と信、和と仁は覇王の器である)