杏花 #3 Ⅱ韓退之(韓愈) 紀頌之の漢詩ブログ995中唐306 韓愈特集-37-#3


韓愈 杏花 #1
居鄰北郭古寺空,杏花兩株能白紅。
曲江滿園不可到,看此寧避雨與風 ?
二年流竄出嶺外,所見草木多異同。』

冬寒不嚴地恆泄,陽氣發亂無全功。
浮花浪蘂鎮長有,纔開還落瘴霧中。
山榴躑躅少意思,照耀黃紫徒為叢。』

鷓鴣鈎輈猿叫歇,杳杳深谷攢青楓。
鷓鴣が鳴き、猿の叫びがやむとき、底も知れぬ深い谷の奥に青々とした楓がいっぱいに茂っている。
豈如此樹一來翫,若在京國情何窮。
このような杏の木は一度来て見て楽しむだけですまされようか。もし都にあったならば無限の物思いを催させるものとなったであろうものを。
今旦胡為忽惆悵,萬片飄泊隨西東。
今朝はふと悲しみの心が湧いたが、なぜだろう。それは杏の花が一万片の花びらとなって空中にただよい、風の吹くまま西へ東へと飛んでいってしまったからだ。
明年更發應更好,道人莫忘鄰家翁。』

来年また花が咲いたらおそらくもっときれいになるだろう。修行僧侶さま、杏の花を見たがっている隣りの歳よりを忘れないでほしい。
 
 
杏花
居隣【きょりん】の北郭 古寺空しく、杏花両株 能【よ】く白紅。
曲江満園 到る可からず、此を看て 寧【いず】くんぞ雨と風とを避けん。 
二年流竄【りゅうざん】して嶺外【れいがい】に出で、見し所の草木 異同多し。』
#2
冬寒【とうかん】厳【げん】ならず 地恒に泄【も】らし、陽気 発乱して全功無し。
浮花 浪蘂【ろうずい】 鎮長【ちんちょう】に有り、纔かに開いて 還た落つ 瘴霧【しょうむ】の中。
山榴【さんりゅう】躑躅【てきちょく】 意思少なく、   黄紫を照耀【しょうよう】して徒【いたず】らに叢【そう】を為す。』
#3
鷓鴣【しゃこ】鈎輈【こうちゅう】として猿の叫び歇【や】み、杳杳【ようよう】たる深谷 青楓【せいふう】を攢【あつ】む。
壹如【あにし】かんや此の樹の一たび来翫【らいがん】するに、若し京国【けいこく】に在らば 情何ぞ窮まらん。
今且【こんたん】胡為【なんす】れぞ忽【たちま】ち惆悵【ちょうちょう】する、万片飄泊【ひょうはく】して西東に随う。
明年更に発【ひら】けば応【まさ】に更に奸かるべし、道人【どうじん】忘るる莫かれ隣家の翁【おう】。


現代語訳と訳註
(本文)

鷓鴣鈎輈猿叫歇,杳杳深谷攢青楓。
豈如此樹一來翫,若在京國情何窮。
今旦胡為忽惆悵,萬片飄泊隨西東。
明年更發應更好,道人莫忘鄰家翁。』

(下し文) #3
鷓鴣【しゃこ】鈎輈【こうちゅう】として猿の叫び歇【や】み、杳杳【ようよう】たる深谷 青楓【せいふう】を攢【あつ】む。
壹如【あにし】かんや此の樹の一たび来翫【らいがん】するに、若し京国【けいこく】に在らば 情何ぞ窮まらん。
今且【こんたん】胡為【なんす】れぞ忽【たちま】ち惆悵【ちょうちょう】する、万片飄泊【ひょうはく】して西東に随う。
明年更に発【ひら】けば応【まさ】に更に奸かるべし、道人【どうじん】忘るる莫かれ隣家の翁【おう】。

(現代語訳)
麟鵠が鳴き、猿の叫びがやむとき、底も知れぬ深い谷の奥に青々とした楓がいっぱいに茂っている。
このような杏の木は一度来て見て楽しむだけですまされようか。もし都にあったならば無限の物思いを催させるものとなったであろうものを。
今朝はふと悲しみの心が湧いたが、なぜだろう。それは杏の花が一万片の花びらとなって空中にただよい、風の吹くまま西へ東へと飛んでいってしまったからだ。
来年また花が咲いたらおそらくもっときれいになるだろう。修行僧侶さま、杏の花を見たがっている隣りの歳よりを忘れないでほしい。


(訳注)
鷓鴣鈎輈猿叫歇,杳杳深谷攢青楓。

麟鵠が鳴き、猿の叫びがやむとき、底も知れぬ深い谷の奥に青々とした楓がいっぱいに茂っている。
鈎輈【こうちゅう】 力強く鳴く鷓鴣のなきごえ。『本草鷓鴣』「集解、孔志約曰、鷓鴣生江南、形似る母鷄、鳴けば云う鈎輈格磔亅。」(集解、孔志約曰く、鷓鴣は江南に生ず、形母鷄に似る、鳴けば鈎輈格磔【かくたく】と云う)


豈如此樹一來翫,若在京國情何窮。
このような杏の木は一度来て見て楽しむだけですまされようか。もし都にあったならば無限の物思いを催させるものとなったであろうものを。


今旦胡為忽惆悵,萬片飄泊隨西東。
今朝はふと悲しみの心が湧いたが、なぜだろう。それは杏の花が一万片の花びらとなって空中にただよい、風の吹くまま西へ東へと飛んでいってしまったからだ。


明年更發應更好,道人莫忘鄰家翁。』
来年また花が咲いたらおそらくもっときれいになるだろう。修行僧侶さま、杏の花を見たがっている隣りの歳よりを忘れないでほしい。

 この詩は江陵に着いて初めての歳をむかえ、元和元年の春の作である。ここに見える「古寺」は、金鑾寺である。また、