南山詩 韓退之(韓愈)詩<63-#13>Ⅱ中唐詩389 紀頌之の漢詩ブログ1246


南山詩 第四部 (韓愈 唐詩)
南山詩(韓愈 唐詩)(全20回)#1~#20
第一部 終南山連峰の概要・四季
第二部 終南山朝夕・周辺の事項
第三部 以前左遷の際、冬に終南山を抜けた時の事

第四部 (#13~#16―十句五聯を四章分)
             終南山の特徴


#13 
或散若瓦解,或赴若輻湊。
あるものは瓦がばらばらになったように散らばった小山があり、あるものは車の矢があつまるようにひと所をめざしている谷と尾根がある。
或翩若船游,或決若馬驟。
あるものは船がうかぶようにかろやかな稜線であり、あるものは馬が走るようにぶつりときれて崖を成している。
或背若相惡,或向若相佑。
あるものは憎みあうように背中あわせになっているし、あるものは助けあうように向かいあっている。
或亂若抽筍,或嵲若注灸。
あるものはたけのこがふいに頭を出したばかりのように乱れた小山があり、あるものは灸をすえるときの百草のようにけわしくもりあがっている小山がある。
或錯若繪畫,或繚若篆籀。
あるものは絵画のように濃い薄い、淡い深いなど複錐にまじわりあう山々があり、あるものは篆文のようにまがりくねっている。
或るいは散じて瓦の解く若し,或るいは赴いて輻【くるまや】の湊【あつま】るが若し。
或るいは翩【へん】として船游若し,或るいは決【けつ】として馬の驟【はし】るが若し。
或るいは背【そむ】いて相い惡【にく】むが若し,或るいは向いて相い佑【たす】くるが若し。
或るいは亂れて筍の抽【お】うるが若し,或るいは嵲【あや】うくして灸を注【す】えたるが若し。
或るいは錯【まじ】わりて繪畫の若し,或るいは繚【まと】わりて篆籀【てんちゅう】の若し。

#14
或羅若星離,或蓊若雲逗。或浮若波濤,或碎若鋤耨。
或如賁育倫,賭勝勇前購。先強勢已出,後鈍嗔餖譳。
或如帝王尊,叢集朝賤幼。
#15
雖親不褻狎,雖遠不悖謬。或如臨食案,餚核紛饤饾。
又如游九原,墳墓包槨柩。或累若盆罌,或揭若覴梪。
或覆若曝鱉,或頹若寢獸。
#16 
或蜿若藏龍,或翼若搏鷲。或齊若友朋,或隨若先後。
或迸若流落,或顧若宿留。或戾若仇讎,或密若婚媾。
或儼若峨冠,或翻若舞袖。
#17  
或屹若戰陣,或圍若蒐狩。或靡然東注,或偃然北首。
或如火熹焰,或若氣饙餾。或行而不輟,或遺而不收。
或斜而不倚,或弛而不彀。
#18
或赤若禿鬝,或熏若柴槱。或如龜拆兆,或若卦分繇。
或前横若剝,或後斷若姤。延延離又屬,夬夬叛還遘。
喁喁魚闖萍,落落月經宿。
#19
誾誾樹牆垣,巘巘駕庫廄。參參削劍戟,煥煥銜瑩琇。
敷敷花披萼,闟闟屋摧霤。悠悠舒而安,兀兀狂以狃。
超超出猶奔,蠢蠢駭不懋。大哉立天地,經紀肖營腠。
#20 
厥初孰開張,黽勉誰勸侑。創茲樸而巧,戮力忍勞疚。
得非施斧斤,無乃假詛咒。鴻荒竟無傳,功大莫酬僦。
嚐聞於祠官,芬苾降歆嗅。斐然作歌詩,惟用讚報酭。


現代語訳と訳註
(本文)
#13 
或るいは散じて瓦の解く若し,或るいは赴いて輻【くるまや】の湊【あつま】るが若し。
或るいは翩【へん】として船游若し,或るいは決【けつ】として馬の驟【はし】るが若し。
或るいは背【そむ】いて相い惡【にく】むが若し,或るいは向いて相い佑【たす】くるが若し。
或るいは亂れて筍の抽【お】うるが若し,或るいは嵲【あや】うくして灸を注【す】えたるが若し。
或るいは錯【まじ】わりて繪畫の若し,或るいは繚【まと】わりて篆籀【てんちゅう】の若し。


(下し文)
或散若瓦解,或赴若輻湊。
或翩若船游,或決若馬驟。
或背若相惡,或向若相佑。
或亂若抽筍,或嵲若注灸。
或錯若繪畫,或繚若篆籀。


(現代語訳)
あるものは瓦がばらばらになったように散らばった小山があり、あるものは車の矢があつまるようにひと所をめざしている谷と尾根がある。
あるものは船がうかぶようにかろやかな稜線であり、あるものは馬が走るようにぶつりときれて崖を成している。
あるものは憎みあうように背中あわせになっているし、あるものは助けあうように向かいあっている。
あるものはたけのこがふいに頭を出したばかりのように乱れた小山があり、あるものは灸をすえるときの百草のようにけわしくもりあがっている小山がある。
あるものは絵画のように濃い薄い、淡い深いなど複錐にまじわりあう山々があり、あるものは篆文のようにまがりくねっている。


(訳注)
或散若瓦解,或赴若輻湊。

あるものは瓦がばらばらになったように散らばった小山があり、あるものは車の矢があつまるようにひと所をめざしている谷と尾根がある。
瓦解 瓦のように粘蕭力なくばらばらにな。てしまうこと。○ 一定の方向に行くこと。○輻湊 輻は、車の矢。車の矢は、車輸の中心にある、まん中に軸をとおすあなのあいているまるい木にあつまる。それを輻湊という。湊は、あつまる、輳とも書く。


或翩若船游,或決若馬驟。
あるものは船がうかぶようにかろやかな稜線であり、あるものは馬が走るようにぶつりときれて崖を成している。
 ひらひらと軽やかにただよ。ているさま。○ 断ち切れる。山の端、稜線が堤防の決潰というときの決である。


或背若相惡,或向若相佑。
あるものは憎みあうように背中あわせになっているし、あるものは助けあうように向かいあっている。
 助ける。


或亂若抽筍,或嵲若注灸。
あるものはたけのこがふいに頭を出したばかりのように乱れた小山があり、あるものは灸をすえるときの百草のようにけわしくもりあがっている小山がある。
抽笥 抽は、芽が出ること。筍は、たけのこ。○ 山の高くけわしく安定していないさま。○注灸 灸をすえる。ここは、灸をすえたとき、もぐさがもりあがっているのに似ているというもの。


或錯若繪畫,或繚若篆籀。
あるものは絵画のように濃い薄い、淡い深いなど複錐にまじわりあう山々があり、あるものは篆文のようにまがりくねっている。
 いりまじる。交鈎、錯綜の錯である。○ まといつく。〇篆籀 篆文【てんぶん】と籀文【ちゅうぶん】。中国の古代の文字の書体の一つ。篆文、籀文、古文は、漢字の成り立ちを知る補助となる。印の文字に使用されるものもある。