南山詩 韓退之(韓愈)詩<63-#17>Ⅱ中唐詩393 紀頌之の漢詩ブログ1258


南山詩 第五部 (韓愈 唐詩)
南山詩(韓愈 唐詩)(全20回)#1~#20
第一部 終南山連峰の概要・四季
第二部 終南山朝夕・周辺の事項
第三部 以前左遷の際、冬に終南山を抜けた時の事
第四部 以前左遷の際、冬に終南山を抜けた時の事
第五部 (#17~#20―十句五聯を四章分)終南山の特徴

#17  
或屹若戰陣,或圍若蒐狩。
あるものは戦陣のとりでのようにそば立ち、あるものは巻き狩りのようにとり囲んでいる。
或靡然東注,或偃然北首。
あるものはなだらかに東に流れこみ、あるものはながながと北向きに寝そべっている。
或如火熹焰,或若氣饙餾。
あるものは御飯をたく火のように、あるものは蒸し上げるゆげのようである。
或行而不輟,或遺而不收。
あるものはどこまでも歩いて行き止まることはない、あるものは片付けられずおいてきぼりになっている。
或斜而不倚,或弛而不彀。
あるものは斜面ではあるがかたむくほどではなく、あるものはぴんと張らずにだらりとゆるんでいる。
或るいは屹【きつ】として戦陣【せんじん】の若く、或るいは囲んで蒐狩【しゅうしゅ】の若し。
或るいは靡然【びぜん】として東に注ぎ、或るいは偃然【えんぜん】として北に首【む】こう。
或るいは火の熹焰【きえん】するが如く、或るいは気の饙餾【ふんりゅう】するが若し。
或るいは行って輟【とど】まらず、或るいは遺【のこ】して収【おさ】めず。
或るいは斜【ななめ】にして倚【かたよ】らず、或るいは弛【ゆる】うして彀【は】らず。

#18
或赤若禿鬝,或熏若柴槱。或如龜拆兆,或若卦分繇。
或前横若剝,或後斷若姤。延延離又屬,夬夬叛還遘。
喁喁魚闖萍,落落月經宿。
#19
誾誾樹牆垣,巘巘駕庫廄。參參削劍戟,煥煥銜瑩琇。
敷敷花披萼,闟闟屋摧霤。悠悠舒而安,兀兀狂以狃。
超超出猶奔,蠢蠢駭不懋。大哉立天地,經紀肖營腠。
#20 
厥初孰開張,黽勉誰勸侑。創茲樸而巧,戮力忍勞疚。
得非施斧斤,無乃假詛咒。鴻荒竟無傳,功大莫酬僦。
嚐聞於祠官,芬苾降歆嗅。斐然作歌詩,惟用讚報酭。


終南山03
現代語訳と訳註
(本文)#17
  
或屹若戰陣,或圍若蒐狩。
或靡然東注,或偃然北首。
或如火熹焰,或若氣饙餾。
或行而不輟,或遺而不收。
或斜而不倚,或弛而不彀。


(下し文)
或るいは屹【きつ】として戦陣【せんじん】の若く、或るいは囲んで蒐狩【しゅうしゅ】の若し。
或るいは靡然【びぜん】として東に注ぎ、或るいは偃然【えんぜん】として北に首【む】こう。
或るいは火の熹焰【きえん】するが如く、或るいは気の饙餾【ふんりゅう】するが若し。
或るいは行って輟【とど】まらず、或るいは遺【のこ】して収【おさ】めず。
或るいは斜【ななめ】にして倚【かたよ】らず、或るいは弛【ゆる】うして彀【は】らず。


(現代語訳)
あるものは戦陣のとりでのようにそば立ち、あるものは巻き狩りのようにとり囲んでいる。
あるものはなだらかに東に流れこみ、あるものはながながと北向きに寝そべっている。
あるものは御飯をたく火のように、あるものは蒸し上げるゆげのようである。
あるものはどこまでも歩いて行き止まることはない、あるものは片付けられずおいてきぼりになっている。
あるものは斜面ではあるがかたむくほどではなく、あるものはぴんと張らずにだらりとゆるんでいる。

Ta唐 長安近郊圖  新02

(訳注) #17
或屹若戰陣,或圍若蒐狩。
あるものは戦陣のとりでのようにそば立ち、あるものは巻き狩りのようにとり囲んでいる。
 高くそびえるさま・○戦陣 おそらく陣の塞がそびえていること。○蒐狩 狩猟。春の狩りを蒐といい、冬のかりを狩というと、中国古代の辞書「爾雅」の釈天にある。


或靡然東注,或偃然北首。
あるものは東に流れこんでいきそして靡くようになだらかにくだる、あるものはながながと北向きに寝そべっている。
靡然 なびきふすさま。○東 東に流れこむ。ここは、山勢が東に次第に低くなっている形容であるが、中国の地形は西高東低で、三大河川は東流しているので、古典的意識では、川の流れは「東注」するものとされる。その反映が、ここに東注ということばとして便用されている。○偃然 よこたわるさま。○北首 北を向いている。死んだとき、北向きに葬むるのが、礼であったことをふまえている。北首とは、北枕のことであるともいう。


或如火熹焰,或若氣饙餾。
あるものは御飯をたく火のように、あるものは蒸し上げるゆげのようである。
熹焰 堪は、火のさかんにもえている形容であるとも、また、御飯をたくこと。熹焔は、めしをたくべくほのおをあげている。○饙餾 御飯を蒸すこと。半むしが娘で、むし上がったのが鱗だという。 


行而不輟,或遺而不收。
あるものはどこまでも歩いて行き止まることはない、あるものは片付けられずおいてきぼりになっている。
 止める。


或斜而不倚,或弛而不彀。
あるものは斜面ではあるがかたむくほどではなく、あるものはぴんと張らずにだらりとゆるんでいる。
斜而不倚 ななめにはなっているが、かたむいていない。この場合、倚は、斜の程度のひどいのをいうのである。○ だらりとゆるんでいる。○ 弓をいっぱいひきしぼること。