城南聯句 韓愈・孟郊 聯句<64-#1>Ⅱ中唐詩397 紀頌之の漢詩ブログ1270


第一部#1
孟郊) 竹影金瑣碎,
韓愈) 泉音玉淙琤。琉璃翦木葉,
孟郊) 翡翠開園英。流滑隨仄步,
韓愈) 搜尋得深行。遙岑出寸碧,
孟郊) 遠目增雙明。乾穟紛拄地,
韓愈) 化蟲枯挶莖。

*上記聯句を韻により変更して読む


竹影金瑣碎,泉音玉淙琤。
竹林が影をおとし、金のこまかくくだけた細片をちらしたようである。泉源から湧きいずる水の音は玉のふれあうようなさわやかなものである。
琉璃翦木葉,翡翠開園英。
瑠璃懸巣が繁った林の枝に止まり、木の葉をつついてきざんでいる。赤羽、青羽のかわせみは庭園に咲く花と一緒になって咲いている。
流滑隨仄步,搜尋得深行。
流れがあり、ぬめりのある川をななめになって歩いている。何かを探すのか、尋ねるのかおくのほうにいこうとしている。
遙岑出寸碧,遠目增雙明。
はるかかなたに山が鋭く聳え、それはひとひらの碧であり、遠くより両目でみるとはっきりみえる。
乾穟紛拄地,化蟲枯挶莖。
かわいた稲の穂が垂れて地について大地を支えているようである、虫の殻は枯れている茎にすがりついている。


#2
韓愈) 木腐或垂耳,
孟郊) 草珠競駢睛。浮虛有新劚,
韓愈) 摧扤饒孤撐。囚飛黏網動,
孟郊) 盜啅接彈驚。脫實自開坼,
韓愈) 牽柔誰繞縈。禮鼠拱而立,
孟郊) 駭牛躅且鳴。
#3
孟郊) 蔬甲喜臨社,
韓愈) 田毛樂寬征。露螢不自暖,
孟郊) 凍蝶尚思輕。宿羽有先曉,
韓愈) 食鱗時半橫。菱翻紫角利,
孟郊) 荷折碧圓傾。楚膩鳣鮪亂,
韓愈) 獠羞螺蟹並。
#4
韓愈) 桑蠖見虛指,
孟郊) 穴貍聞鬥獰。逗翳翅相築,
韓愈) 擺幽尾交搒。蔓涎角出縮,
孟郊) 樹啄頭敲鏗。修箭裊金餌,
韓愈) 群鮮沸池羹。岸殼坼玄兆,
孟郊) 野牟漸豐萌。


中央の官界は、顔ぶれががらりとかわっていた。この春、進土に及第したばかりの友皇甫湜がえらい元気で迎えに来た。
国子監の下僚で、かれの弟子である張籍や侯喜も、飛んで来た。張徹・李翺はいうまでもない。それに、あの孟郊が、長安に出て来ていた。汴州で別れて以来のことだ。
孟郊は、貞元十五年七九九春、汴州をはなれて蘇州各地をめぐり、十六年、五十歳で、はじめて溧陽県の尉に任命され赴任した。溧陽は、いまの江蘇省の南京から約百キロメートル東南のまちで、尉は、警察部長にあたる。県令の季操は官僚肌の男で、孟邦の学問や詩業など眼中になかった。孟邦は、老いた母親まで呼びよせて、しばらく落ちつくつもりだったが、805年永貞元年ついに母を常州の属邑義興にうつし、元和元年、職をもとめて、単身、長安に上って来た。韓愈が帰って来たときには、ほぼ新しい職のめどもついていたのである。
かれらにとっては、三、四年ないし四、五年ぶりの再会であった。話題が豊富であった。ほとんど毎晩のように寄り合い、酒をくみ、別れていた間の出来事を語りあい、詩をたたかわす。ただの詩ではおもしろくない、聯句をやろう、ということになる。孟邦と韓愈とは、汴州時代に、二、三度やったことがあった。一つの題で、おたがいに、何句かずつ連ねていって、一つの詩とするのである。



現代語訳と訳註
(本文) 第一部#1
孟郊) 竹影金瑣碎,
韓愈) 泉音玉淙琤。琉璃翦木葉,
孟郊) 翡翠開園英。流滑隨仄步,
韓愈) 搜尋得深行。遙岑出寸碧,
孟郊) 遠目增雙明。乾穟紛拄地,
韓愈) 化蟲枯挶莖。

*上記聯句を韻により変更して読む


竹影金瑣碎,泉音玉淙琤。
琉璃翦木葉,翡翠開園英。
流滑隨仄步,搜尋得深行。
遙岑出寸碧,遠目增雙明。
乾穟紛拄地,化蟲枯挶莖。



(下し文)
竹影【ちくえい】は金墳砕【きんささい】、泉音【せんおん】は玉淙琤【ぎょくそうそう】。
琉璃【るり】木葉【ぼくよう】を翦【きざ】み,翡翠【ひすい】は園英【えんえい】を開く。
流滑【りゅうかつ】仄步【そくほ】に隨い,搜尋【そうじん】深行【しんこう】を得たり。
遙岑【ようしん】寸碧【すんぺき】を出し,遠目【えんもく】は雙明【そうめい】を增す。
乾穟【かんすい】紛として地を拄【さき】へ,化蟲【かちゅう】枯れて莖【こう】を挶【と】る。


(現代語訳)
竹林が影をおとし、金のこまかくくだけた細片をちらしたようである。泉源から湧きいずる水の音は玉のふれあうようなさわやかなものである。
瑠璃懸巣が繁った林の枝に止まり、木の葉をつついてきざんでいる。赤羽、青羽のかわせみは庭園に咲く花と一緒になって咲いている。
流れがあり、ぬめりのある川をななめになって歩いている。何かを探すのか、尋ねるのかおくのほうにいこうとしている。
はるかかなたに山が鋭く聳え、それはひとひらの碧であり、遠くより両目でみるとはっきりみえる。
かわいた稲の穂が垂れて地について大地を支えているようである、虫の殻は枯れている茎にすがりついている。


(訳注)
城南聯句

底本巻八。
この聯句は、第一句が孟邦、第二、第三句が韓愈で、以下二句ずつ付け、最後の一句を韓愈が結んでいる。


竹影金瑣碎,泉音玉淙琤。
竹林が影をおとし、金のこまかくくだけた細片をちらしたようである。泉源から湧きいずる水の音は玉のふれあうようなさわやかなものである。
金墳砕 金のこまかくくだけた細片。梢は瑞の俗字。
玉浣柑 玉のふれあうようなさわやかな水音。


琉璃翦木葉,翡翠開園英。
瑠璃懸巣が繁った林の枝に止まり、木の葉をつついてきざんでいる。赤羽、青羽のかわせみは庭園に咲く花と一緒になって咲いている。
瑠璃 瑠璃/琉璃1青玉。【るり】2るりかけす【瑠璃懸巣】カラス科の鳥。全長38センチくらい。頭・翼・尾が瑠璃色の鳥。3るりがわら【瑠璃瓦】4瑠璃色の釉
翳翠 かわせみ。雄が毅で赤羽、雌が翠で青羽。・園英 園のはな。


流滑隨仄步,搜尋得深行。
流れがあり、ぬめりのある川をななめになって歩いている。何かを探すのか、尋ねるのかおくのほうにいこうとしている。
流滑 ぬるぬるした道。・灰歩 ななめになって渉く。


遙岑出寸碧,遠目增雙明。
はるかかなたに山が鋭く聳え、それはひとひらの碧であり、遠くより両目でみるとはっきりみえる。
追考 はるかなみね。・遠目 遠い見はらし。・雙明 両眼のさやけさ。


乾穟紛拄地,化蟲枯挶莖。
かわいた稲の穂が垂れて地について大地を支えているようである、虫の殻は枯れている茎にすがりついている。
乾穟 かわいた稲の穂。・柱地 大地を支える。・化虫 虫のから。・ かかえる。