城南聯句 韓愈・孟郊 聯句<64-#2>Ⅱ中唐詩398 紀頌之の漢詩ブログ1273


第一部#1
孟郊) 竹影金瑣碎,
韓愈) 泉音玉淙琤。琉璃翦木葉,
孟郊) 翡翠開園英。流滑隨仄步,
韓愈) 搜尋得深行。遙岑出寸碧,
孟郊) 遠目增雙明。乾穟紛拄地,
韓愈) 化蟲枯挶莖。

*上記聯句を韻により変更して読む


竹影金瑣碎,泉音玉淙琤。
竹林が影をおとし、金のこまかくくだけた細片をちらしたようである。泉源から湧きいずる水の音は玉のふれあうようなさわやかなものである。
琉璃翦木葉,翡翠開園英。
瑠璃懸巣が繁った林の枝に止まり、木の葉をつついてきざんでいる。赤羽、青羽のかわせみは庭園に咲く花と一緒になって咲いている。
流滑隨仄步,搜尋得深行。
流れがあり、ぬめりのある川をななめになって歩いている。何かを探すのか、尋ねるのかおくのほうにいこうとしている。
遙岑出寸碧,遠目增雙明。
はるかかなたに山が鋭く聳え、それはひとひらの碧であり、遠くより両目でみるとはっきりみえる。
乾穟紛拄地,化蟲枯挶莖。
かわいた稲の穂が垂れて地について大地を支えているようである、虫の殻は枯れている茎にすがりついている。
竹影【ちくえい】は金墳砕【きんささい】、泉音【せんおん】は玉淙琤【ぎょくそうそう】。
琉璃【るり】木葉【ぼくよう】を翦【きざ】み,翡翠【ひすい】は園英【えんえい】を開く。
流滑【りゅうかつ】仄步【そくほ】に隨い,搜尋【そうじん】深行【しんこう】を得たり。
遙岑【ようしん】寸碧【すんぺき】を出し,遠目【えんもく】は雙明【そうめい】を增す。
乾穟【かんすい】紛として地を拄【さき】へ,化蟲【かちゅう】枯れて莖【こう】を挶【と】る。

#2
韓愈) 木腐或垂耳,
孟郊) 草珠競駢睛。浮虛有新劚,
韓愈) 摧扤饒孤撐。囚飛黏網動,
孟郊) 盜啅接彈驚。脫實自開坼,
韓愈) 牽柔誰繞縈。禮鼠拱而立,
孟郊) 駭牛躅且鳴。

*上記聯句を韻により変更して読む


木腐或垂耳,草珠競駢睛。
腐れかけた木材があり、それにキノコが耳をたれた様に生えている、草の実がなっているのはまるで、瞳が並んでいるようだ。
浮虛有新劚,摧扤饒孤撐。
空洞になった虚木を新ためて切ったものがある、さらに細かにくじくことで薪にしてたくさん積み上げている。
囚飛黏網動,盜啅接彈驚。
くもの巣にかかった辺虫が取り糯の粘りでもがいている、ぬすみぐいする鳥が弾丸にあたり驚いている。
脫實自開坼,牽柔誰繞縈。
熟れた果実はもう自分からはじけだし、しなやかな蔓草をたれかこんなにも纏わせ、這わせているのか
禮鼠拱而立,駭牛躅且鳴。
礼儀正しい野ねずみが敬礼してたっているし、こちらでは驚いた牛があがきながら啼いている。

木腐【ぼくふ】或いは耳を垂れ,草珠【そうじゅ】競って睛【ひとみ】を駢【なら】ぶ。
浮虛【ふきょ】新たに劚【き】られる有り,摧扤【さいごつ】饒【ゆた】かに孤り撐【さそ】う。
囚飛【しゅうひ】して網に黏【てん】して動き,盜啅【とうたく】は接彈【せつだん】して驚く。
脫實【だつじつ】自ら開坼【かいたく】し,牽柔【けんじゅう】誰か繞縈【じゅうえい】する。
禮鼠【れいそ】拱【きょう】而て立てり,駭牛【がいぎゅう】躅【あが】き且つ鳴く。

#3
孟郊) 蔬甲喜臨社,
韓愈) 田毛樂寬征。露螢不自暖,
孟郊) 凍蝶尚思輕。宿羽有先曉,
韓愈) 食鱗時半橫。菱翻紫角利,
孟郊) 荷折碧圓傾。楚膩鳣鮪亂,
韓愈) 獠羞螺蟹並。
#4
韓愈) 桑蠖見虛指,
孟郊) 穴貍聞鬥獰。逗翳翅相築,
韓愈) 擺幽尾交搒。蔓涎角出縮,
孟郊) 樹啄頭敲鏗。修箭裊金餌,
韓愈) 群鮮沸池羹。岸殼坼玄兆,
孟郊) 野牟漸豐萌。


聯句の起原については、さまざまの説がある。『書経』にみえる「麘歌」すなわち古代の帝王舜がうたいはじめた詩句に、大臣の皐陶が統いだものとするのが一つ。『詩経』の「式徴」の詩だとするのが一つ。漢の武帝の柏梁体だとするのが一つ。だがむしろ、古代の労働者たちが、労働の苦しさを忘れるために、かけ合いで歌ったもの、日本の「かがひうた」と相似した発生経路をたどり、やがて文人にとりあげられ、知的遊戯となったものである。
ことばとことばとの連繋が、心と心とを結ぶことに、心と心とが、さらに結束が強くなっていくスパイラルな関係になっていった。


現代語訳と訳註
(本文) #2

韓愈) 木腐或垂耳,
孟郊) 草珠競駢睛。浮虛有新劚,
韓愈) 摧扤饒孤撐。囚飛黏網動,
孟郊) 盜啅接彈驚。脫實自開坼,
韓愈) 牽柔誰繞縈。禮鼠拱而立,
孟郊) 駭牛躅且鳴。

*上記聯句を韻により変更して読む


木腐或垂耳,草珠競駢睛。
浮虛有新劚,摧扤饒孤撐。
囚飛黏網動,盜啅接彈驚。
脫實自開坼,牽柔誰繞縈。
禮鼠拱而立,駭牛躅且鳴。


(下し文)
木腐【ぼくふ】或いは耳を垂れ,草珠【そうじゅ】競って睛【ひとみ】を駢【なら】ぶ。
浮虛【ふきょ】新たに劚【き】られる有り,摧扤【さいごつ】饒【ゆた】かに孤り撐【さそ】う。
囚飛【しゅうひ】して網に黏【てん】して動き,盜啅【とうたく】は接彈【せつだん】して驚く。
脫實【だつじつ】自ら開坼【かいたく】し,牽柔【けんじゅう】誰か繞縈【じゅうえい】する。
禮鼠【れいそ】拱【きょう】而て立てり,駭牛【がいぎゅう】躅【あが】き且つ鳴く。


(現代語訳)
腐れかけた木材があり、それにキノコが耳をたれた様に生えている、草の実がなっているのはまるで、瞳が並んでいるようだ。
空洞になった虚木を新ためて切ったものがある、さらに細かにくじくことで薪にしてたくさん積み上げている。
くもの巣にかかった辺虫が取り糯の粘りでもがいている、ぬすみぐいする鳥が弾丸にあたり驚いている。
熟れた果実はもう自分からはじけだし、しなやかな蔓草をたれかこんなにも纏わせ、這わせているのか
礼儀正しい野ねずみが敬礼してたっているし、こちらでは驚いた牛があがきながら啼いている。


(訳注)
木腐或垂耳,草珠競駢睛。

腐れかけた木材があり、それにキノコが耳をたれた様に生えている、草の実がなっているのはまるで、瞳が並んでいるようだ
木腐 木がくさる。・垂耳 耳は木耳で、きくらげ。


浮虛有新劚,摧扤饒孤撐。
空洞になった虚木を新ためて切ったものがある、さらに細かにくじくことで薪にしてたくさん積み上げている。
浮虚 木の空洞。・推机 くじきうごかす。


囚飛黏網動,盜啅接彈驚。
くもの巣にかかった辺虫が取り糯の粘りでもがいている、ぬすみぐいする鳥が弾丸にあたり驚いている。
囚飛 とらわれた飛ぶもの。くもの巣にかかった蝿などをいう。・盜啅 ぬすみぐいするもの。・ 弾丸。


脫實自開坼,牽柔誰繞縈。
熟れた果実はもう自分からはじけだし、しなやかな蔓草をたれかこんなにも纏わせ、這わせているのか
脱実 うれてはじけ出た果実・開坼 はじける。・牽柔 しなやかなつる。・繞縈 盛んにまとわせる。


禮鼠拱而立,駭牛躅且鳴。
礼儀正しい野ねずみが敬礼してたっているし、こちらでは驚いた牛があがきながら啼いている。
礼鼠 礼儀正しいねずみ。・ 両手の指を組み令わせて敬礼する。・駭牛 おどろく牛。・ あがく。