城南聯句 韓退之(韓愈)詩<64-#3>Ⅱ中唐詩399 紀頌之の漢詩ブログ1276


城南聯句第一部#1
孟郊) 竹影金瑣碎,
韓愈) 泉音玉淙琤。琉璃翦木葉,
孟郊) 翡翠開園英。流滑隨仄步,
韓愈) 搜尋得深行。遙岑出寸碧,
孟郊) 遠目增雙明。乾穟紛拄地,
韓愈) 化蟲枯挶莖。

かわいた稲の穂が垂れて地について大地を支えているようである、虫の殻は枯れている茎にすがりついている。
竹影【ちくえい】は金墳砕【きんささい】、泉音【せんおん】は玉淙琤【ぎょくそうそう】。
琉璃【るり】木葉【ぼくよう】を翦【きざ】み,翡翠【ひすい】は園英【えんえい】を開く。
流滑【りゅうかつ】仄步【そくほ】に隨い,搜尋【そうじん】深行【しんこう】を得たり。
遙岑【ようしん】寸碧【すんぺき】を出し,遠目【えんもく】は雙明【そうめい】を增す。
乾穟【かんすい】紛として地を拄【さき】へ,化蟲【かちゅう】枯れて莖【こう】を挶【と】る。

*上記聯句を韻により変更して読む

竹影金瑣碎,泉音玉淙琤。
竹林が影をおとし、金のこまかくくだけた細片をちらしたようである。泉源から湧きいずる水の音は玉のふれあうようなさわやかなものである。
琉璃翦木葉,翡翠開園英。
瑠璃懸巣が繁った林の枝に止まり、木の葉をつついてきざんでいる。赤羽、青羽のかわせみは庭園に咲く花と一緒になって咲いている。
流滑隨仄步,搜尋得深行。
流れがあり、ぬめりのある川をななめになって歩いている。何かを探すのか、尋ねるのかおくのほうにいこうとしている。
遙岑出寸碧,遠目增雙明。
はるかかなたに山が鋭く聳え、それはひとひらの碧であり、遠くより両目でみるとはっきりみえる。
乾穟紛拄地,化蟲枯挶莖。

#2
韓愈) 木腐或垂耳,
孟郊) 草珠競駢睛。浮虛有新劚,
韓愈) 摧扤饒孤撐。囚飛黏網動,
孟郊) 盜啅接彈驚。脫實自開坼,
韓愈) 牽柔誰繞縈。禮鼠拱而立,
孟郊) 駭牛躅且鳴。

*上記聯句を韻により変更して読む

木腐或垂耳,草珠競駢睛。
腐れかけた木材があり、それにキノコが耳をたれた様に生えている、草の実がなっているのはまるで、瞳が並んでいるようだ。
浮虛有新劚,摧扤饒孤撐。
空洞になった虚木を新ためて切ったものがある、さらに細かにくじくことで薪にしてたくさん積み上げている。
囚飛黏網動,盜啅接彈驚。
くもの巣にかかった辺虫が取り糯の粘りでもがいている、ぬすみぐいする鳥が弾丸にあたり驚いている。
脫實自開坼,牽柔誰繞縈。
熟れた果実はもう自分からはじけだし、しなやかな蔓草をたれかこんなにも纏わせ、這わせているのか
禮鼠拱而立,駭牛躅且鳴。

木腐【ぼくふ】或いは耳を垂れ,草珠【そうじゅ】競って睛【ひとみ】を駢【なら】ぶ。
浮虛【ふきょ】新たに劚【き】られる有り,摧扤【さいごつ】饒【ゆた】かに孤り撐【さそ】う。
囚飛【しゅうひ】して網に黏【てん】して動き,盜啅【とうたく】は接彈【せつだん】して驚く。
脫實【だつじつ】自ら開坼【かいたく】し,牽柔【けんじゅう】誰か繞縈【じゅうえい】する。
禮鼠【れいそ】拱【きょう】而て立てり,駭牛【がいぎゅう】躅【あが】き且つ鳴く。

#3
孟郊) 蔬甲喜臨社,
韓愈) 田毛樂寬征。露螢不自暖,
孟郊) 凍蝶尚思輕。宿羽有先曉,
韓愈) 食鱗時半橫。菱翻紫角利,
孟郊) 荷折碧圓傾。楚膩鳣鮪亂,
韓愈) 獠羞螺蟹並。

*上記聯句を韻により変更して読む

蔬甲喜臨社,田毛樂寬征。
やさい菜が芽をだしてくるころ社に行って春の訪れを喜ぶお祭をする、田畑から生じるものには租税がかかるが良い田に恵まれて税負担が軽く楽しい思いだ。
露螢不自暖,凍蝶尚思輕。
秋になり夜にもなれば螢も夜露に濡れ、もう暖かくはならない。寒さにこごえる喋は何とか飛ぼうとしている。
宿羽有先曉,食鱗時半橫。
翅を留めていた巣の鳥は朝まだきの空に飛んでいる。水には餌を取ろうとしている魚がおり、時に半ば体を横にしているのが見える。
菱翻紫角利,荷折碧圓傾。
菱が実って風に翻りむらさき色のかど角を鋭くしている。蓮は途中で折れてみどり色の円い葉が傾いている。
楚膩鳣鮪亂,獠羞螺蟹並。


#4
韓愈) 桑蠖見虛指,
孟郊) 穴貍聞鬥獰。逗翳翅相築,
韓愈) 擺幽尾交搒。蔓涎角出縮,
孟郊) 樹啄頭敲鏗。修箭裊金餌,
韓愈) 群鮮沸池羹。岸殼坼玄兆,
孟郊) 野牟漸豐萌。


各時代に作者が出たが、初唐以前にはその数は微々たるものである。それが盛唐ごろから、にわかに流行する。唐代のすべての詩を集めた『全唐詩』の聯句の部は六巻、亘二十首をこえる。李白・杜甫にはじまり、韓愈らの聯句は第四巻全部をしめ、韓愈らについで多いのは、白居易のグループであった。中唐は、中国詩史上、たぐいまれな、聯句熱の盛んな時代であり、その流行をあおったのが、韓愈グループだったのだ。
聯句は、詩句を闘わすもので、かならず用語を奇異巧妙にすることを求める。用語の奇巧は、新しい語を造り、視聴覚の精微をともなう。聯句は微視的凝視の闘いでもある。相手の凝視の死角に強襲するのは当人たちの自己満足の問題であり、我々が鑑賞とする詩としては面白さは理解できるが、その範囲を超えるものではない。


現代語訳と訳註
(本文) #3
孟郊) 蔬甲喜臨社,
韓愈) 田毛樂寬征。露螢不自暖,
孟郊) 凍蝶尚思輕。宿羽有先曉,
韓愈) 食鱗時半橫。菱翻紫角利,
孟郊) 荷折碧圓傾。楚膩鳣鮪亂,
韓愈) 獠羞螺蟹並。

*上記聯句を韻により変更して読む

蔬甲喜臨社,田毛樂寬征。
露螢不自暖,凍蝶尚思輕。
宿羽有先曉,食鱗時半橫。
菱翻紫角利,荷折碧圓傾。
楚膩鳣鮪亂,獠羞螺蟹並。


(下し文) #3
蔬甲【そこう】は社に臨むを喜び,田毛【でんもう】征を寬【ゆる】うせらるるを樂む。
露螢【ろけい】不自ら暖かならず,凍蝶【とうちょう】の尚お輕きを思う。
宿羽【しゅくう】曉に先んずる有り,食鱗【しょくりん】時に半ば橫たう。
菱【ひし】翻【ひるがえ】って紫角【しかく】利【と】く,荷【はす】折れて碧圓【へきえん】傾く。
楚膩【そじ】鳣鮪【てんゆう】亂れ,獠羞【りょうしゅう】螺蟹【らかい】並ぶ。


(現代語訳)
やさい菜が芽をだしてくるころ社に行って春の訪れを喜ぶお祭をする、田畑から生じるものには租税がかかるが良い田に恵まれて税負担が軽く楽しい思いだ。
秋になり夜にもなれば螢も夜露に濡れ、もう暖かくはならない。寒さにこごえる喋は何とか飛ぼうとしている。
翅を留めていた巣の鳥は朝まだきの空に飛んでいる。水には餌を取ろうとしている魚がおり、時に半ば体を横にしているのが見える。
菱が実って風に翻りむらさき色のかど角を鋭くしている。蓮は途中で折れてみどり色の円い葉が傾いている。
南方楚地方の珍味があり、カジキやシビ盆の上においしそうに乱れおどっておる。生きた御馳走もあり、田にしとカニもならべてある。


(訳注) #3
蔬甲喜臨社,田毛樂寬征。
やさい菜が芽をだしてくるころ社に行って春の訪れを喜ぶお祭をする、田畑から生じるものには租税がかかるが良い田に恵まれて税負担が軽く楽しい思いだ。
税みつぎゆるきに 楽し 田つくり
・疏甲 やさいの芽。・社 やしろ。・田毛 田から生じるもの。
・征 税。税を取り立てる。『礼記、王制』「夫圭田無征。」(夫れ圭田征無し。)夫圭田無征. 用民之力. 歲不過三日. 田里不粥.
以九賦斂財賄:一曰邦中之賦,二曰四郊之賦,三曰邦甸之賦,四曰家削之賦,五曰邦縣之賦,六曰邦都之賦,七曰關市之賦,八曰山澤之賦,九曰幣餘之賦。


露螢不自暖,凍蝶尚思輕。
秋になり夜にもなれば螢も夜露に濡れ、もう暖かくはならない。寒さにこごえる喋は何とか飛ぼうとしている。
・露螢 露にぬれたほたる。・凍蝶 寒さにこごえる喋。


宿羽有先曉,食鱗時半橫。
翅を留めていた巣の鳥は朝まだきの空に飛んでいる。水には餌を取ろうとしている魚がおり、時に半ば体を横にしているのが見える。
・宿羽 寝息。・先曉 まだ夜があけぬうちから飛ぶ。・食鱗 えものをたべる魚。


菱翻紫角利,荷折碧圓傾。
菱が実って風に翻りむらさき色のかど角を鋭くしている。蓮は途中で折れてみどり色の円い葉が傾いている。
柴角 むらさき色のかど。・ はす。・碧門 みどり色の円い葉。


楚膩鳣鮪亂,獠羞螺蟹並。
南方楚地方の珍味があり、カジキやシビ盆の上においしそうに乱れおどっておる。生きた御馳走もあり、田にしとカニもならべてある。
楚膩 南方楚地方の珍味。・鳣鮪 カジキとシビ。・獠羞 生蛮のごちそう。・螺蟹 田にしとカニ。

南方楚地方の珍味があり、カジキやシビ盆の上においしそうに乱れおどっておる。生きた御馳走もあり、田にしとカニもならべてある。
蔬甲【そこう】は社に臨むを喜び,田毛【でんもう】征を寬【ゆる】うせらるるを樂む。
露螢【ろけい】不自ら暖かならず,凍蝶【とうちょう】の尚お輕きを思う。
宿羽【しゅくう】曉に先んずる有り,食鱗【しょくりん】時に半ば橫たう。
菱【ひし】翻【ひるがえ】って紫角【しかく】利【と】く,荷【はす】折れて碧圓【へきえん】傾く。
楚膩【そじ】鳣鮪【てんゆう】亂れ,獠羞【りょうしゅう】螺蟹【らかい】並ぶ。
礼儀正しい野ねずみが敬礼してたっているし、こちらでは驚いた牛があがきながら啼いている。