城南聯句 韓退之(韓愈)詩<64-#5>Ⅱ中唐詩401 紀頌之の漢詩ブログ1282



第二部
#5
孟郊) 窯煙冪疏島,
韓愈) 沙篆印回平。ラ肌遭蠔刺,
孟郊) 啾耳聞雞生。奇慮恣回轉,
韓愈) 遐睎縱逢迎。巔林戢遠睫,
孟郊) 縹氣夷空情。歸跡歸不得,
韓愈) 舍心舍還爭。

*上記聯句を韻により変更して読む

窯煙冪疏島,沙篆印回平。
瓦を焼く煙がはなれた島に立ち込めている、鳥の歩いた跡がまがりくねって平らかな渚抄に篆字の文字かいている。
痒肌遭蠔刺,啾耳聞雞生。
渚に立っていると肌かゆくなり、毛虫などに刺されてしまうし、耳に生れたての雛が騒がしく啼いているのが聞えてくる。
奇慮恣回轉,遐睎縱逢迎。
素晴らしくほかにない慮りはかって気ままにめまぐるしく回る。遠き眺めは突然であったり、むかえにでるのもほしいままに見るのである。
巔林戢遠睫,縹氣夷空情。
山頂までの林があり、遠くをみるまなざしを看守っている、山の気は世間離れした隠遁の心なごませている。
歸跡歸不得,舍心舍還爭。

窯煙【ゆうえん】は疏島【そとう】を冪【おお】い,沙篆【さてん】は回平【かいへい】に印す。
肌に痒きは蠔【し】の刺すに遭【あ】いしや,耳に啾【さわか】しきは雞【ひな】の生るるを聞けばなり。
奇慮【きりょ】恣【ほしいまま】に回轉し,遐睎【かき】縱【こころゆく】まで逢迎【ほうげい】す。
巔林【てんりん】遠睫【えんしょう】を戢【おさ】め,縹氣【ひょうき】空情【くじょうう】を夷【たいらか】にす。
歸跡【きせき】あれど歸り得ず,心を舍てんとして舍て還た爭う。

#6
韓愈) 靈麻撮狗虱,
孟郊) 村稚啼禽猩。紅皺曬檐瓦,
韓愈) 黃團系門衡。得雋蠅虎健,
孟郊) 相殘雀豹趟。束枯樵指禿,
韓愈) 刈熟擔肩赪。澀旋皮卷臠,
孟郊) 苦開腹彭亨。
#7
孟郊) 機舂潺湲力,
韓愈) 吹簸飄飖精。賽饌木盤簇,
孟郊) 靸妖藤索絣。荒學五六卷,
韓愈) 古藏四三塋。裏儒拳足拜,
孟郊) 土怪閃眸偵。蹄道補復破,
韓愈) 絲窠掃還成。
#8
韓愈) 暮堂蝙蝠沸,
孟郊) 破竈伊威盈。追此迅前主,
韓愈) 答雲皆冢卿。敗壁剝寒月,
孟郊) 折篁嘯遺笙。袿熏霏霏在,
韓愈) 綦跡微微呈。劍石猶竦檻,
孟郊) 獸材尚挐楹。

元和元年は、韓愈のグループを開花し結実させるために、などを、長安にひきよせた聯句芸術の秋といってもよいものであった。
孟郊(東野)もうこう(とうや) 751年 - 814年
張籍(文昌) ちょうせき  768~830年
賈島(浪仙・無本) かとう  779~843年
皇甫湜(持正) こうほしょく777~835年
李 翺(習之)り こう772年 – 841年

韓愈グループの聯句作品をしらべてみると、いずれの場合にも、韓愈の名がみえる。聯句興行の首唱者が韓愈だったことを有力に物語る事実である。連衆は、韓愈にあおられて聯句にまきこまれ、詩句と詩句の闘いの渦中で技を錬磨し、それぞれの特色を際だたせていったのである。


現代語訳と訳註
(本文)
#5
孟郊) 窯煙冪疏島,
韓愈) 沙篆印回平。痒肌遭蠔刺,
孟郊) 啾耳聞雞生。奇慮恣回轉,
韓愈) 遐睎縱逢迎。巔林戢遠睫,
孟郊) 縹氣夷空情。歸跡歸不得,
韓愈) 舍心舍還爭。

#5

*上記聯句を韻により変更して読む


窯煙冪疏島,沙篆印回平。
痒肌遭蠔刺,啾耳聞雞生。
奇慮恣回轉,遐睎縱逢迎。
巔林戢遠睫,縹氣夷空情。
歸跡歸不得,舍心舍還爭。


(下し文) #5
窯煙【ゆうえん】は疏島【そとう】を冪【おお】い,沙篆【さてん】は回平【かいへい】に印す。
肌に痒きは蠔【し】の刺すに遭【あ】いしや,耳に啾【さわか】しきは雞【ひな】の生るるを聞けばなり。
奇慮【きりょ】恣【ほしいまま】に回轉し,遐睎【かき】縱【こころゆく】まで逢迎【ほうげい】す。
巔林【てんりん】遠睫【えんしょう】を戢【おさ】め,縹氣【ひょうき】空情【くじょうう】を夷【たいらか】にす。
歸跡【きせき】あれど歸り得ず,心を舍てんとして舍て還た爭う。


(現代語訳)
瓦を焼く煙がはなれた島に立ち込めている、鳥の歩いた跡がまがりくねって平らかな渚抄に篆字の文字かいている。
渚に立っていると肌かゆくなり、毛虫などに刺されてしまうし、耳に生れたての雛が騒がしく啼いているのが聞えてくる。
素晴らしくほかにない慮りはかって気ままにめまぐるしく回る。遠き眺めは突然であったり、むかえにでるのもほしいままに見るのである。
山頂までの林があり、遠くをみるまなざしを看守っている、山の気は世間離れした隠遁の心なごませている。
帰途に付こうとするが帰ることはできないし、俗心を棄てたいと思うけれどいったん捨ててもまた戻りたい気持ちがいつも爭うのである。


(訳注) #5
窯煙冪疏島,沙篆印回平。
瓦を焼く煙がはなれた島に立ち込めている、鳥の歩いた跡がまがりくねって平らかな渚抄に篆字の文字かいている。
窯煙 瓦がまの煙。・冪 おおいかくす。・ 1 水路を分けて通す。「疏水・疏通」 2 関係が分け離れる。うとくなる。「疏遠」 3 粗末な。「疏食(そし)」 4 事柄の筋を分けていちいち説明する。・沙篆 沙の上の篆字。・廻平 まがりくねって平らかな渚。


痒肌遭蠔刺,啾耳聞雞生。
渚に立っていると肌かゆくなり、毛虫などに刺されてしまうし、耳に生れたての雛が騒がしく啼いているのが聞えてくる。
 けむし。毛虫。・ 【生まれたての雛が】騒がしく啼く。


奇慮恣回轉,遐睎縱逢迎。
素晴らしくほかにない慮りはかって気ままにめまぐるしく回る。遠き眺めは突然であったり、むかえにでるのもほしいままに見るのである。
・奇慮 素晴らしい、奇抜な着想。・ ほしいまま。かって気まま。・廻転 くるくるめぐる。・遐睎 遠いながめ。


巔林戢遠睫,縹氣夷空情。
山頂までの林があり、遠くをみるまなざしを看守っている、山の気は世間離れした隠遁の心なごませている。
巔林 山頂の林。・遠睦 遠くをみるまなざし。・戢 吸いこまれる。・縹気 育白色の山気。・空情 世間をほなれた感情。・夷 平坦にする。よろこばせる。


歸跡歸不得,舍心舍還爭。
帰途に付こうとするが帰ることはできないし、俗心を棄てたいと思うけれどいったん捨ててもまた戻りたい気持ちがいつも爭うのである。

帰途に付こうとするが帰ることはできないし、俗心を棄てたいと思うけれどいったん捨ててもまた戻りたい気持ちがいつも爭うのである。