城南聯句 韓退之(韓愈)詩<64-#14>Ⅱ中唐詩410 紀頌之の漢詩ブログ1309


第四部(#12~#16)
#13
孟郊) 藂巧競采笑,
韓愈) 駢鮮互探嬰。桑變忽蕪蔓,
孟郊) 樟裁浪登丁。霞鬥詎能極,
韓愈) 風期誰復賡。臯區扶帝壤,
孟郊) 瑰蘊郁天京。祥色被文彥,
韓愈) 良才插杉檉。

*上記聯句を韻により変更して読む

藂巧競采笑,駢鮮互探嬰。
芸達者な連中をあつめ、きそって笑ひをとる、新鮮な肉をならべ、互いにわかどりの肉をさぐるのである。
桑變忽蕪蔓,樟裁浪登丁。
施政者が変わるとたちまち桑畑も変わって雑草が生いしげった荒れ地となり、楠を植えてみだりに木を切る音がする。
霞鬥詎能極,風期誰復賡。
その家門の栄華を他の霞のようなものとの闘争をしていることをどうして極められようか、そして、この風流の時期をだれかつぐべきというのであろうか。
臯區扶帝壤,瑰蘊郁天京。
すぐれた地域があり、皇帝が治めるこの国土を扶育している。そのうつくしい国土には天子のみやこがある。
祥色被文彥,良才插杉檉。

#14
韓愈) 隱伏饒氣象,
孟郊) 興潛示堆坑。擘華露神物,
韓愈) 擁終儲地禎。訏謨壯締始,
孟郊) 輔弼登階清。坌秀恣填塞,
韓愈) 呀靈滀渟澄。益大聯漢魏,
孟郊) 肇初邁周嬴。

*上記聯句を韻により変更して読む

隱伏饒氣象,興潛示堆坑。
隠遁して誰とも接することなく住んでいるものの  生まれつきもっている性格は有り余るほど多い。隠遁して興のある生活でひそんでいる中で積重ねたり穴を探したりするのである。
擘華露神物,擁終儲地禎。
華山を切り開いて黄河を通した神が現れたし、終南山を抱え込んでこの土地でめでたいことが起こるという前兆をもよおしている。
訏謨壯締始,輔弼登階清。
国の大きなはかりごとは終始壮大なものなのだ。天子の政治をたすける大臣たちは階を登り朝廷の清々しい所に整列する、
坌秀恣填塞,呀靈滀渟澄。
秀いでた気の堆積がひたすら満たしてふさぐことになり、はき出された霊気はたたえて澄んだ水があつまる。
益大聯漢魏,肇初邁周嬴。

隱伏【いんぷく】すれども氣象 饒【ゆた】かに,興潛【こうせん】堆坑【たいこう】を示す。
華【か】を擘【ひら】いて神物【しんぶつ】を露【あらわ】し,終【しゅう】を擁【よう】して地禎【ちてい】を儲【たくえ】る。
訏謨【たぼ】締始【ていし】を壯にし,輔弼【ほひつ】階清【かいせい】に登る。
坌秀【ふんしゅう】恣【ほしいまま】に填塞【てんそく】し,呀靈【がれい】滀【あつま】って渟澄【ていちょう】。
益大【えきだ】漢魏【かんぎ】を聯ね,肇初【ちょうしょ】周嬴【しゅうえい】を邁えたり。

#15
孟郊) 積照涵德鏡,
韓愈) 傳經儷金籝。食家行鼎鼐,
孟郊) 寵族飫弓旌。弈制盡從賜,
韓愈) 殊私得逾程。飛橋上架漢,
孟郊) 繚岸俯規瀛。瀟碧遠輸委,
韓愈) 湖嵌費攜擎。
#16
萄苜從大漠,
孟郊) 楓櫧至南荊。嘉植鮮危朽,
韓愈) 膏理易滋榮。懸長巧紐翠,
孟郊) 象曲善攢珩。魚口星浮沒,
韓愈) 馬毛錦斑骍。五方亂風土,
孟郊) 百種分鉏耕。


現代語訳と訳註
(本文)
#14
隱伏饒氣象,
孟郊) 興潛示堆坑。擘華露神物,
韓愈) 擁終儲地禎。訏謨壯締始,
孟郊) 輔弼登階清。坌秀恣填塞,
韓愈) 呀靈滀渟澄。益大聯漢魏,
孟郊) 肇初邁周嬴

*上記聯句を韻により変更して読む

隱伏饒氣象,興潛示堆坑。
擘華露神物,擁終儲地禎。
訏謨壯締始,輔弼登階清。
坌秀恣填塞,呀靈滀渟澄。
益大聯漢魏,肇初邁周嬴。

(下し文)
隱伏【いんぷく】すれども氣象 饒【ゆた】かに,興潛【こうせん】堆坑【たいこう】を示す。
華【か】を擘【ひら】いて神物【しんぶつ】を露【あらわ】し,終【しゅう】を擁【よう】して地禎【ちてい】を儲【たくえ】る。
訏謨【たぼ】締始【ていし】を壯にし,輔弼【ほひつ】階清【かいせい】に登る。
坌秀【ふんしゅう】恣【ほしいまま】に填塞【てんそく】し,呀靈【がれい】滀【あつま】って渟澄【ていちょう】。
益大【えきだ】漢魏【かんぎ】を聯ね,肇初【ちょうしょ】周嬴【しゅうえい】を邁えたり。


(訳注)
隱伏饒氣象,興潛示堆坑。

隠遁して誰とも接することなく住んでいるものの  生まれつきもっている性格は有り余るほど多い。隠遁して興のある生活でひそんでいる中で積重ねたり穴を探したりするのである。
隱伏 (1)隠れひそむこと。 (2)見えないように隠すこと。・【じょう】有り余るほど多い。ゆたか。
氣象 生まれつきもっている性格。気だて。・興潛 隠遁して興のある生活でひそむこと。・【たい】 1か所にうず高く積もっていること。海底で、平らな頂をもつ隆起部。プランクトンが多く好漁場となる。坑【こう】地中に掘った穴。鉱山の穴。


擘華露神物,擁終儲地禎。
華山を切り開いて黄河を通した神が現れたし、終南山を抱え込んでこの土地でめでたいことが起こるという前兆をもよおしている。
擘華 華山はもと黄河対岸の首陽山と一つの山で、黄河かそれを迂廻していたが、河の神が、山を二つにさいて、その間を黄河が通れるようにした、という伝説がある。韓愈『南山詩』「巨靈與誇蛾,遠賈期必售。」参照。・神物 華山をさす。・擁終 終南山をかかえこむ。・地禎 土地の瑞祥。めでたいことが起こるという前兆。吉兆。


訏謨壯締始,輔弼登階清。
国の大きなはかりごとは終始壮大なものなのだ。天子の政治をたすける大臣たちは階を登り朝廷の清々しい所に整列する、
訏謨 大きなはかりごと。・締始 終始。・輔弼 天子の政治をたすけること。また、その人。朝廷の大臣。


坌秀恣填塞,呀靈滀渟澄。
秀いでた気の堆積がひたすら満たしてふさぐことになり、はき出された霊気はたたえて澄んだ水があつまる。
坌秀 坌はわき上がること、またつもること。秀気の堆積というほどの意。・填塞 満たしてふさぐこと。また、満ちふさがること。・呀靈 はき出された霊気。・渟澄 水がたたえて澄むこと。


益大聯漢魏,肇初邁周嬴。
だんだん大きくなってゆく国が漢と魏を兼ねている。国家をつくり始めるわざは周の国と嬴の国を合わせたようなものである。
益大 だんだん大きくなってゆくこと。・肇初 国家をつくり始めるわざ。・周嬴 周と泰。豪の始皇帝の名は嬴。

だんだん大きくなってゆく国が漢と魏を兼ねている。国家をつくり始めるわざは周の国と嬴の国を合わせたようなものである。
幸せな色を文才あるひとが発している、優良な才能は杉や檉の木が他の木よりもぬきんでるようにあらわすのだ。
巧を藂【あつ】めて競って笑いを采る,鮮を駢【なら】べて互いに嬰【わか】きを探る。
桑變して忽ち蕪蔓し,樟裁して浪【みだ】りに登丁【とうちょう】。
霞鬥【かとう】詎【なん】ぞ能く極めん,風期【ふうき】誰か復た賡【つ】がん。
臯區【こうく】帝壤【ていじょう】を扶【たす】け,瑰蘊【かいうん】天京【てんきょう】を郁【かんば】しくす。
祥色【しょうしょく】文彥【ぶんげん】に被【こうむ】らしめ,良才【りょうさい】杉檉【さんてい】を插【さしはさ】む。