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2012年12月1日から連載開始
唐五代詞詩・宋詞詩

『菩薩蠻 一』温庭筠   花間集

 
 
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東都遭春 韓退之(韓愈)詩<95-#5>Ⅱ中唐詩507 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1600


東都遭春
#1
少年氣真狂,有意與春競。行逢二三月,九州花相映。
若いころの気質というものは真面目であり、一本気でほかのものが目に入らないで懸命にするというものである、心に持つ思いと万物成長の春とが勢いを競いあっているようなところがあるのだ。
清明節の春の季節に逢えば行楽へ出かけるし、世界じゅうの花が私と照りはえるのである。

川原曉服鮮,桃李晨妝靚。荒乘不知疲,醉死豈辭病。
川ぞいの平原は朝日でよそおいも鮮やかになり、桃や李の花にも日がさしてそこにいる女の人の朝の化粧の美しさが映えるのである。
郊外の野辺まで馬に乗って行っても疲れを知らず、たとい酔って死のうとも病気といって断わることはしないというものだ。

飲啖惟所便,文章倚豪橫。爾來曾幾時,白髮忽滿鏡。
飲食についてはただ気の向くままであるが、違うのはそこで作る詩文、文学は豪放を旨とするものである。
それからというものどれほどの時間がたったのだろうか、ふと鏡を見ると、そこには白髪いっぱいの老人のあたまがひろがっているのである。
#2
舊遊喜乖張,新輩足嘲評。心腸一變化,羞見時節盛。
古くからつきあっている連中は、自分との主張が食い違うことを喜び、新しい連中からは、あざけって批評する声はかりだ。
そこで、心の内の思い、腹の底から思っていることに変化が生じることがあり、今の世に隆盛を極めているものを見るのが恥ずかしくなるのだ。

得閒無所作,貴欲辭視聽。深居疑避仇,默臥如當暝。
そうすると何もすることがなくひまな時間ができるのだが、世俗の欲望を去って、見たり聞いたりする楽しみを断って、儒者として貴いことをしようとするのだ。
家の奥深くこもったきりで、まるで仇の眼を避けているのかと疑われそうだし、黙りこんで座った姿は眠っているようになる。

朝曦入牖來,鳥喚昏不醒。為生鄙計算,鹽米告屢罄。
そうなると朝の日が戸口からさしこんできて、鳥が呼んでもまず寝こんだまま覚めないのである。
生活をするのに計算にうとく、塩や米などもしばしば勤行のように「なくなってしまいました」といわれるのである。

#3
坐疲都忘起,冠側懶複正。幸蒙東都官,獲離機與阱。
ずっと座ったままでいるとかえって疲れてしまうおまけに立つのをすっかり忘れてしまい、かぶっている冠が傾いても直すのも面倒なくらい物憂さになるのだ。
そんな時に幸いなことに東都の官に任ずるご命令を受け、宦官が陰湿な仕掛けをしているワナと落とし穴とからのがれることができたのだ。

乖慵遭傲僻,漸染生弊性。既去焉能追,有來猶莫騁。
ものぐさな性格が人に頭を下げぬ性格といっしょにかさなって、それがいつしかそれが習慣となって人づきあいの悪い性分を形成してしまった。
過ぎ去ったことは今からは追っかけたって取りかえしがつかないのだ。かといって将来のことをこまごま予定を立ててもどうなるものでもないのだ。

有船魏王池,往往縱孤泳。水容與天色,此處皆綠淨。
洛陽の町なかにある魏王の大きな池に浮かべる船はあるので、先の事より、往々にして私一人で水遊びを楽しみまくっている。
池の水は空の色と一体化してつながり、ここではすべてが緑で清浄な場所なのだ。


#4
岸樹共紛披,渚牙相緯經。懷歸苦不果,即事取幽逬。
魏王池の岸辺の木々はそろって風に吹かれてざわめいている。なぎさの葦の芽は互いに縦横にからみあっている。
私は隠遁して田園に帰りたいと心に抱いてきているが、その望みはなかなか果たせるものではない、しかしすぐにでも、何事につけても、隠遁しての幽遠の生活を求めているのである。

貪求匪名利,所得亦已並。悠悠度朝昏,落落捐季孟。
こころから手に入れたいと願っているのは名声や利益ではないのであるが、これまでに得たものはそれら普通にならべたてたものをあわせたようなものだ。
かくてゆうゆうとのんびりと俗耳に無関心な態度で朝晩を過ごし、無頓着にして故事に言う孔子でさえ「季氏と孟氏」の間程度の職位であったのだからそれでらくらくと平然としている。
群公一何賢,上戴天子聖。謀謨收禹績,四面出雄勁。
諸公たちはいま世に時めいているまったく賢者ぞろいである、そしてその上に天子の聖徳を戴いているのである。
国家のための謀というものは三皇五帝の舜禹の禹皇帝の功績をも収めようとするものだし、四面国境を守るために出た軍隊は勇ましくあるものだ。


#5
轉輸非不勤,稽逋有軍令。
国境への輸送に努力しないということではいけないのであり、徴兵逃れや、軍律破りにたいしては期限を定めた軍令によっては処罰されるのである。
在庭百執事,奉職各祗敬。
その政治をするのはその役所につとめる官僚たちであり、それぞれを役目大切にと励まないといけない。
我獨胡為哉,坐與億兆慶。
私はただ一人で何が為せるというのだろうか。それはこうしていつも座ったままで億兆の民草の喜びを与えられているということだ。
譬如籠中鳥,仰給活性命。
たとえてみれば、寵のなかの鳥なのであり、やっと餌をもらって命をのばしているようなものなのだ。
為詩告友生,負愧終究竟。
まず、わたしは詩を作って友人たちに申しあげるが、このように恥ずかしい気持を抱いたままでは、とても最後まではいられるものでない。

転輸【てんゆ】勤めざるに非ず、稽逋【けいほ】軍令有り。
在庭の百執事、職を奉ずること各【おのお】の祗【つつし】み敬【つつし】む。
我独り胡【なに】をか為す、坐【い】ながらにして億兆の慶びに与【あず】かる。
譬【たと】えば籠中【ろうちゅう】の鳥の、給を仰いで性命を活かすが如し。
詩を為って友生に告ぐ、愧【はじ】を負うて終【つい】に究竟【きゅうきょう】せんやと


『東都遇春』 現代語訳と訳註 #5
(本文)
#5
轉輸非不勤,稽逋有軍令。在庭百執事,奉職各祗敬。
我獨胡為哉,坐與億兆慶。譬如籠中鳥,仰給活性命。
為詩告友生,負愧終究竟。


(下し文)
転輸【てんゆ】勤めざるに非ず、稽逋【けいほ】軍令有り。
在庭の百執事、職を奉ずること各【おのお】の祗【つつし】み敬【つつし】む。
我独り胡【なに】をか為す、坐【い】ながらにして億兆の慶びに与【あず】かる。
譬【たと】えば籠中【ろうちゅう】の鳥の、給を仰いで性命を活かすが如し。
詩を為って友生に告ぐ、愧【はじ】を負うて終【つい】に究竟【きゅうきょう】せんやと


(現代語訳)
国境への輸送に努力しないということではいけないのであり、徴兵逃れや、軍律破りにたいしては期限を定めた軍令によっては処罰されるのである。
その政治をするのはその役所につとめる官僚たちであり、それぞれを役目大切にと励まないといけない。
私はただ一人で何が為せるというのだろうか。それはこうしていつも座ったままで億兆の民草の喜びを与えられているということだ。
たとえてみれば、寵のなかの鳥なのであり、やっと餌をもらって命をのばしているようなものなのだ。
まず、わたしは詩を作って友人たちに申しあげるが、このように恥ずかしい気持を抱いたままでは、とても最後まではいられるものでない。


(訳注) #5
轉輸非不勤,稽逋有軍令。
国境への輸送に努力しないということではいけないのであり、徴兵逃れや、軍律破りにたいしては期限を定めた軍令によっては処罰されるのである。
・稽逋 徴兵逃れや、軍律破りの意味。稽【かんがえる】:物事を突き詰めて考え合わす。寄せ集めて引き比べる。逋:1 追及などを逃れること。 2 租税を逃れること。脱税。


在庭百執事,奉職各祗敬。
その政治をするのはその役所につとめる官僚たちであり、それぞれを役目大切にと励まないといけない。
・庭 朝廷。幕府、役所、官僚の政治の場。


我獨胡為哉,坐與億兆慶
私はただ一人で何が為せるというのだろうか。それはこうしていつも座ったままで億兆の民草の喜びを与えられているということだ。


譬如籠中鳥,仰給活性命。
たとえてみれば、寵のなかの鳥なのであり、やっと餌をもらって命をのばしているようなものなのだ。


為詩告友生,負愧終究竟。
まず、わたしは詩を作って友人たちに申しあげるが、このように恥ずかしい気持を抱いたままでは、とても最後まではいられるものでない。