秋懐詩十一首(10) 韓退之(韓愈)詩<110>

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秋懷詩十一首
1   
窗前兩好樹,眾葉光薿薿。秋風一拂披,策策鳴不已。
微燈照空床,夜半偏入耳。愁憂無端來,感歎成坐起。
天明視顏色,與故不相似。羲和驅日月,疾急不可恃。
浮生雖多塗,趨死惟一軌。胡為浪自苦,得酒且歡喜。
2   
白露下百草,蕭蘭共雕悴。青青四牆下,已複生滿地。
寒蟬暫寂寞,蟋蟀鳴自恣。運行無窮期,稟受氣苦異。
適時各得所,松柏不必貴。
3   
彼時何卒卒,我志何曼曼。犀首空好飲,廉頗尚能飯。
學堂日無事,驅馬適所願。茫茫出門路,欲去聊自勸。
歸還閱書史,文字浩千萬。陳跡竟誰尋,賤嗜非貴獻。
丈夫意有在,女子乃多怨。
4   
秋氣日惻惻,秋空日淩淩。上無枝上蜩,下無盤中蠅。
豈不感時節,耳目去所憎。清曉卷書坐,南山見高棱。
其下澄湫水,有蛟寒可罾。惜哉不得往,豈謂吾無能。
5   
離離掛空悲,戚戚抱虛警。露泫秋樹高,蟲吊寒夜永。
斂退就新懦,趨營悼前猛。歸愚識夷塗,汲古得修綆。
名浮猶有恥,味薄真自幸。庶幾遺悔尤,即此是幽屏。
6   
今晨不成起,端坐盡日景。蟲鳴室幽幽,月吐窗冏冏。
喪懷若迷方,浮念劇含梗。塵埃慵伺候,文字浪馳騁。
尚須勉其頑,王事有朝請。
7   
秋夜不可晨,秋日苦易暗。我無汲汲志,何以有此憾。
寒雞空在棲,缺月煩屢瞰。有琴具徽弦,再鼓聽愈淡。
古聲久埋滅,無由見真濫。低心逐時趨,苦勉祗能暫。
有如乘風船,一縱不可纜。不如覷文字,丹鉛事點勘。
豈必求贏餘,所要石與甔。
8    
卷卷落地葉,隨風走前軒。鳴聲若有意,顛倒相追奔。
空堂黃昏暮,我坐默不言。童子自外至,吹燈當我前。
問我我不應,饋我我不餐。退坐西壁下,讀詩盡數編。
作者非今士,相去時已千。其言有感觸,使我複淒酸。
顧謂汝童子,置書且安眠。丈夫屬有念,事業無窮年。
9   
霜風侵梧桐,眾葉著樹乾。空階一片下,琤若摧琅玕。
謂是夜氣滅,望舒霣其團。青冥無依倚,飛轍危難安。
驚起出戶視,倚楹久汍瀾。憂愁費晷景,日月如跳丸。
迷複不計遠,為君駐塵鞍。
10   
暮暗來客去,群囂各收聲。悠悠偃宵寂,亹亹抱秋明。
世累忽進慮,外憂遂侵誠。強懷張不滿,弱念缺已盈。
詰屈避語阱,冥茫觸心兵。敗虞千金棄,得比寸草榮。
知恥足為勇,晏然誰汝令。
11   
鮮鮮霜中菊,既晚何用好。揚揚弄芳蝶,爾生還不早。
運窮兩值遇,婉孌死相保。西風蟄龍蛇,眾木日凋槁。
由來命分爾,泯滅豈足道。

(十)   
暮暗來客去,群囂各收聲。
日が暮れて暗くなって来客は去って行く、そうして、さまざまのさわがしさはそれぞれの者たちが声をひそめることで収まっていく。
悠悠偃宵寂,亹亹抱秋明。
ゆったりとした夜るのしじまの中で横になるのであるが、そうしてみると道理の微妙なところによく通じている秋の澄明・聡明さを心に抱いているのである。
世累忽進慮,外憂遂侵誠。
世のわずらいがふと思いのうちに入りこんでくるし、外部的な憂れいがかくて心のおく底を侵して来るのである。
強懷張不滿,弱念缺已盈。
強く思う気持ちになっても緊張感は満ちて来ず、弱い思いがなくなったと思うともういっぱいになっている。
詰屈避語阱,冥茫觸心兵。
ごたごたしたことをいって言葉の落とし穴におちることを避け、とりとめのないうちにも心の中の兵隊の武器にさわってはっとするのである。
敗虞千金棄,得比寸草榮。
失敗には千金の宝もすてることになるのがつきものだと気にかかり、成功したとしても一寸の短い草の花がさきほこったとしても目立たないのである。
知恥足為勇,晏然誰汝令。

しかし、恥じを知ることはそれこそが十分に勇者というものなのだ、だからおちついていることがいい、そうすれば、誰もその人に命令するものはないというものだ。
(十)   
暮暗に來客去り,群囂【ぐんがく】各の聲を收む。
悠悠として宵の寂けきに偃し,亹亹【びび】として秋明を抱く。
世累【せるい】忽として慮に進み,外憂【がいゆう】遂に誠を侵す。
懷を強くして張れど滿たされず,念を弱くして缺けれど已に盈ちたり。
詰屈【きつくつ】として語阱【ごせい】を避け,冥茫【めいぼう】として心兵に觸【ふ】る。
敗れて虞う 千金を棄てむことを,比れを得るは寸草の榮。
恥を知るは勇を為すに足れり,晏然たり 誰か汝を令せん。

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『秋懷詩十一首』(十) 現代語訳と訳註
(本文)
10   
暮暗來客去,群囂各收聲。悠悠偃宵寂,亹亹抱秋明。
世累忽進慮,外憂遂侵誠。強懷張不滿,弱念缺已盈。
詰屈避語阱,冥茫觸心兵。敗虞千金棄,得比寸草榮。
知恥足為勇,晏然誰汝令。


(下し文)
(十)
   
暮暗に來客去り,群囂【ぐんがく】各の聲を收む。
悠悠として宵の寂けきに偃し,亹亹【びび】として秋明を抱く。
世累【せるい】忽として慮に進み,外憂【がいゆう】遂に誠を侵す。
懷を強くして張れど滿たされず,念を弱くして缺けれど已に盈ちたり。
詰屈【きつくつ】として語阱【ごせい】を避け,冥茫【めいぼう】として心兵に觸【ふ】る。
敗れて虞う 千金を棄てむことを,比れを得るは寸草の榮。
恥を知るは勇を為すに足れり,晏然たり 誰か汝を令せん。


(現代語訳)
日が暮れて暗くなって来客は去って行く、そうして、さまざまのさわがしさはそれぞれの者たちが声をひそめることで収まっていく。
ゆったりとした夜るのしじまの中で横になるのであるが、そうしてみると道理の微妙なところによく通じている秋の澄明・聡明さを心に抱いているのである。
世のわずらいがふと思いのうちに入りこんでくるし、外部的な憂れいがかくて心のおく底を侵して来るのである。
強く思う気持ちになっても緊張感は満ちて来ず、弱い思いがなくなったと思うともういっぱいになっている。
ごたごたしたことをいって言葉の落とし穴におちることを避け、とりとめのないうちにも心の中の兵隊の武器にさわってはっとするのである。
失敗には千金の宝もすてることになるのがつきものだと気にかかり、成功したとしても一寸の短い草の花がさきほこったとしても目立たないのである。
しかし、恥じを知ることはそれこそが十分に勇者というものなのだ、だからおちついていることがいい、そうすれば、誰もその人に命令するものはないというものだ。


(訳注) 10   
暮暗來客去,群囂各收聲。

日が暮れて暗くなって来客は去って行く、そうして、さまざまのさわがしさはそれぞれの者たちが声をひそめることで収まっていく。
・群囂 もろもろのさわがしいもの音。


悠悠偃宵寂,亹亹抱秋明。
ゆったりとした夜るのしじまの中で横になるのであるが、そうしてみると道理の微妙なところによく通じている秋の澄明・聡明さを心に抱いているのである。
・偃 よこになる。
・宵寂 宵は夜る。夜の静けさ。
・亹亹 道理の微妙なところによく通じているさま。
・秋明 秋の性質として清々しさと澄み切った空気澄明・聡明の明である。秋の澄明・聡明さ。


世累忽進慮,外憂遂侵誠。
世のわずらいがふと思いのうちに入りこんでくるし、外部的な憂れいがかくて心のおく底を侵して来るのである。
・世累 世間のわずらいこと。
・進慮 心の中に侵入する。
・外憂 外部的な愁い。
・侵誠 素直な心に侵入してくること。


強懷張不滿,弱念缺已盈。
強く思う気持ちになっても緊張感は満ちて来ず、弱い思いがなくなったと思うともういっぱいになっている。
・強懷 強く思う気持ち。
・張 緊張させようとする。


詰屈避語阱,冥茫觸心兵。
ごたごたしたことをいって言葉の落とし穴におちることを避け、とりとめのないうちにも心の中の兵隊の武器にさわってはっとするのである
・詰屈 ぎくしゃくとまがりくねっているさま。
・語阱 言葉の落とし穴。
・冥茫 ぼんやりとりとめなく広いさま。
心兵 兵は、武器。心の刃。


敗虞千金棄,得比寸草榮。
失敗には千金の宝もすてることになるのがつきものだと気にかかり、成功したとしても一寸の短い草の花がさきほこったとしても目立たないのである。
・敗虞千金弄 危険にぶつかれば、本質的でないものは、一見貴重に見えるものでも棄てさらねはならぬ。『荘子』山木篇、「林回棄千金之璧,負赤子而趨。或曰:‘為其布與?赤子之布寡矣;為其累與?赤子之累多矣。棄千金之璧,負赤子而趨,何也?’林回曰:‘彼以利合,此以天屬也。’夫以利合者,迫窮齷己.君子之交淡若水,小人之交甘若醴。君子淡以親,小人甘以絕。彼無故以合者,則無故以離。」
「林回、千金の壁を棄て、赤子を負ひて趨る。或人目く「……何ぞや」林回目く「彼は利を以て合ふ。此は天を以て属せり。夫れ利を以て合ふ者は窮禍患害に迫って相乗つ。天を以て属する者は窮禍患害に迫って相収む。……且つ君子の交は淡くして水の若し、小人の交は甘くして酸の若し。君子は淡くして以て親し。小人は甘くして以て絶ゆ。彼の故無くして以て合ふ者は則ち故無くして以て離る」と見える。
・寸草栄 栄は、草のはなが咲き誇る。


知恥足為勇,晏然誰汝令。
しかし、恥じを知ることはそれこそが十分に勇者というものなのだ、だからおちついていることがいい、そうすれば、誰もその人に命令するものはないというものだ。
・知恥 『礼記』の中庸に、「恥を知るは勇に近し」 の語がみえる。
・晏然 やすらぐさま。