原道  韓愈 (韓退之) 




原道 韓退之(韓愈)詩10段目<115-17>Ⅱ中唐詩589 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1929


10段目
傳曰:「古之欲明明德於天下者,先治其國。
古人の言説を伝えた書『礼記』大学篇にいう、「古人の中で、人間の光輝ある徳性を天下に明らかに示して施政、教化しょうとする者は、先ずその諸侯としての国を治めるものでなくてはならない。
欲治其國者,先齊其家。
自分の国を治めようとする諸侯は、まずその家族を過不及なく整え治めるものでなければならない。
欲齊其家者,先修其身。
そして、自分の家族を整え治めようと思う者は、まず自分の身の行いを善くするのである。
欲修其身者,先正其心。
わが身の行いを善くしようと思うものは、まず自分の心の判断を正しく安定させることにある。
欲正其心者,先誠其意。」

自分の心を安定し正しくしようと思う者は、先ずその心の動きを誠実にすること、そのことが真実にてらすことで矛盾のないものであることである。」と。

#2
然則古之所謂正心而誠意者,將以有為也。今也欲 治其心,而外天下國家,滅其天常;子焉而不父其父,臣焉而不君其君,民焉而不事 其事。

#1
傳に日く、古の明徳を天下に明かにせんと欲する者は、先づ其の國を治む。
其の國を治めんと欲する者は、先づ其の家を齊ふ。
其の家を斉へんと欲する者は、先づ其の身を修む。
其の身を修めんと欲する者は、先づ其の心を正しうす。其の心を正しうせんと欲する者は、先づ其の意を誠にすと。

#2
然らば則ち古の所謂心を正しうして意を誠にする者は、將に以て爲す有らんとするなり。
今や其の心を治めんと欲して、而も天下国家を外にし、
其の天常を滅ぼし、子として其の父を父とせず。
臣として其の君を君とせず。民として其の事を事とせず。

原道 韓退之(韓愈)01

『原道』10段目の#1 現代語訳と訳註
(本文)

傳曰:「古之欲明明德於天下者,先治其國。
欲治其國者,先齊其家。
欲齊其家者,先修其身。欲修其身者,先正其心。欲正其心者,先誠其意。」


(下し文)#1
傳に日く、古の明徳を天下に明かにせんと欲する者は、先づ其の國を治む。
其の國を治めんと欲する者は、先づ其の家を齊ふ。
其の家を斉へんと欲する者は、先づ其の身を修む。
其の身を修めんと欲する者は、先づ其の心を正しうす。其の心を正しうせんと欲する者は、先づ其の意を誠にすと。


(現代語訳)
古人の言説を伝えた書『礼記』大学篇にいう、「古人の中で、人間の光輝ある徳性を天下に明らかに示して施政、教化しょうとする者は、先ずその諸侯としての国を治めるものでなくてはならない。
自分の国を治めようとする諸侯は、まずその家族を過不及なく整え治めるものでなければならない。
そして、自分の家族を整え治めようと思う者は、まず自分の身の行いを善くするのである。
わが身の行いを善くしようと思うものは、まず自分の心の判断を正しく安定させることにある。
自分の心を安定し正しくしようと思う者は、先ずその心の動きを誠実にすること、そのことが真実にてらすことで矛盾のないものであることである。」と。

終南山03

(訳注)
傳曰:「古之欲明明德於天下者,先治其國。

古人の言説を伝えた書『礼記』大学篇にいう、「古人の中で、人間の光輝ある徳性を天下に明らかに示して施政、教化しょうとする者は、先ずその諸侯としての国を治めるものでなくてはならない。
〇伝一般には、古代から事物を記し伝えた書物。この伝は『大学』(南宋以降の名称であるから当時はまだ49篇の『礼記』の一篇)の首章。
大学(だいがく)とは儒教の経書の一つ。南宋以降、『中庸』『論語』『孟子』と合わせて四書とされた。もともとは『礼記』の一篇であり、曾子に作られたとも秦漢の儒家によって作られたとも言われる。
○明明徳 人間の有する光輝ある人間性は、仁・義・礼・知・信の五常の徳性を明らかに実現させることにある。施政者ここでは諸侯。唐の初期太宗の時代には諸侯の五常の徳性のものを登用することで盗賊が激減した。


欲治其國者,先齊其家。
自分の国を治めようとする諸侯は、まずその家族を過不及なく整え治めるものでなければならない。
〇斉家 家人を整え治める。周代の大夫は家を世襲し、多数の家臣一族を過不足なく教え治め整えなければならなかった。家の中の家父長化のルール。


欲齊其家者,先修其身。
そして、自分の家族を整え治めようと思う者は、まず自分の身の行いを善くするのである。
○修身 身の行いを修(よ)くする。


欲修其身者,先正其心。
わが身の行いを善くしようと思うものは、まず自分の心の判断を正しく安定させることにある。
○仁・義・礼・知・信の五常の徳性がすべてのことに当てはまる。


欲正其心者,先誠其意。」
自分の心を安定し正しくしようと思う者は、先ずその心の動きを誠実にすること、そのことが真実にてらすことで矛盾のないものであることである。」と。
○正心 心の判断を正しくする。心を正しく定める。
○誠意 心の動きを矛盾なく真実にする。