宋玉 九辯 第七段-#2 




九辯 第七段-#2 宋玉  <00-#23>Ⅱもっとも影響を与えた詩文 652 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ2244


aki02第七段
靚杪秋之遙夜兮,心繚悷而有哀。
静かな晩秋は、このように長夜である。私の心には愁いがめぐり、それぞれがもつれて悲しむのである。
春秋逴逴而日高兮,然惆悵而自悲。
春が過ぎ秋が来る、若い歳月は遠く去って日々に年齢は高くなるもので、このように心もうつろに愁えて自分の身を悲しく思う。
四時遞來而卒歲兮,陰陽不可與儷偕。
四季はかわるがわる来て一年が過ぎ終わる。陰と陽の気は共にいることはできないが、たえずつれあいが去っていき、また、つぎの夫婦がくるのである。
白日晼晚其將入兮,明月銷鑠而減毀。
日中の明るい太陽はだんだんと傾き暮れていくもので、もう地の果てに入ろうとしている。明るい仲秋の名月であってもやがて消えて姿なく欠けてこわれていくのである。

歲忽忽而遒盡兮,老冉冉而愈弛。
このように歳はたちまち過ぎ尽きてしまい、老いはすみやかに進んで、いよいよ移りかわっていく。
心搖悅而日幸兮,然怊悵而無冀。
心は動くことを悦ぶもので、その日々を思いもかけぬしあわせを願うのであるが、またこのように望みもなく恨めしく思うこともある。
中憯惻之悽愴兮,長太息而增欷。
心の中は痛みおそれて悲しみうれい、そして、長いためいきをついては、重ねてすすり泣くのである。
年洋洋以日往兮,老嵺廓而無處。
歳月は流れ行く水のようにはてしなく日々に過ぎ往くものであり、年老いてしまうと、広々と人けもない所で住む家もないのである。
事亹亹而覬進兮,蹇淹留而躊躇。

私の仕事は休まず努力して君に許されて仕えることをこいねがうのであるが、ああ、久しくたってしまい、ただためらい足ぶみして進むことができないでいるのである。

第七段
靚【しず】かなる杪秋【しょうしゅう】の遙夜【ようや】,心は繚悷【りょうれい】して哀しむ。有り
春秋は逴逴【たくたく】として日【ひび】に高く,然く惆悵【ちょうちょう】して自ら悲しむ。
四時は遞【かたみ】に來りて歲を卒へ,陰陽は與に儷偕【れいかい】す可らず。
白日は晼晚えんばん其れ將に入らんとす,明月は銷鑠【しょうしゃく】して減毀【げんき】す。

歲 忽忽【こつこつ】として遒【す】ぎ盡きて,老冉冉【ぜんぜん】として愈【いよい】よ弛【うつ】る。
心 搖悅【ようえつ】して日【ひび】に幸【こいねが】うも,然く怊悵【ちょうちょう】して冀【ねがい】無し。
中は憯惻【さんそく】して之れ悽愴たり,長く太息して增【ますま】す欷【すすりな】く。
年は洋洋として以って日【ひび】に往き,老いて嵺廓【りょうかく】として處る無し。
事は亹亹【びび】として進まんと覬【ねが】うも,蹇【ああ】、淹留【えんりゅう】して躊躇【ちゅうちょ】す。


『九辯』 現代語訳と訳註
(本文)

歲忽忽而遒盡兮,老冉冉而愈弛。
心搖悅而日幸兮,然怊悵而無冀。
中憯惻之悽愴兮,長太息而增欷。
年洋洋以日往兮,老嵺廓而無處。
事亹亹而覬進兮,蹇淹留而躊躇。


(下し文)
歲 忽忽【こつこつ】として遒【す】ぎ盡きて,老冉冉【ぜんぜん】として愈【いよい】よ弛【うつ】る。
心 搖悅【ようえつ】して日【ひび】に幸【こいねが】うも,然く怊悵【ちょうちょう】して冀【ねがい】無し。
中は憯惻【さんそく】して之れ悽愴たり,長く太息して增【ますま】す欷【すすりな】く。
年は洋洋として以って日【ひび】に往き,老いて嵺廓【りょうかく】として處る無し。
事は亹亹【びび】として進まんと覬【ねが】うも,蹇【ああ】、淹留【えんりゅう】して躊躇【ちゅうちょ】す。


(現代語訳)
このように歳はたちまち過ぎ尽きてしまい、老いはすみやかに進んで、いよいよ移りかわっていく。
心は動くことを悦ぶもので、その日々を思いもかけぬしあわせを願うのであるが、またこのように望みもなく恨めしく思うこともある。
心の中は痛みおそれて悲しみうれい、そして、長いためいきをついては、重ねてすすり泣くのである。
歳月は流れ行く水のようにはてしなく日々に過ぎ往くものであり、年老いてしまうと、広々と人けもない所で住む家もないのである。
私の仕事は休まず努力して君に許されて仕えることをこいねがうのであるが、ああ、久しくたってしまい、ただためらい足ぶみして進むことができないでいるのである。


(訳注)
歲忽忽而遒盡兮,老冉冉而愈弛。

このように歳はたちまち過ぎ尽きてしまい、老いはすみやかに進んで、いよいよ移りかわっていく。
〇忽忽 ①速やかなさま。たちまち変わるさま。②心がうつろなさま。
○遒盡 過ぎ尽きる。
○老冉冉 老年が速く進む。
○愈弛 いよいよ移りゆるむ。


心搖悅而日幸兮,然怊悵而無冀。
心は動くことを悦ぶもので、その日々を思いもかけぬしあわせを願うのであるが、またこのように望みもなく恨めしく思うこともある。
○搖悅 心がゆれ動きよろこぶ。拝は一に迄に作り、情に作る。惜ならはうれえる。喜びが無い。
○日幸 日々幸う。思いがけぬしあわせをねがう。君に許され再び用いられることをいう。
○怊悵 うらみかなしむ。
○冀 希望。


中憯惻之悽愴兮,長太息而增欷。
心の中は痛みおそれて悲しみうれい、そして、長いためいきをついては、重ねてすすり泣くのである。
○憯惻 惨側に同じ。いたみおそれる。
○增欷 重ねてすすり泣く。


年洋洋以日往兮,老嵺廓而無處。
歳月は流れ行く水のようにはてしなく日々に過ぎ往くものであり、年老いてしまうと、広々と人けもない所で住む家もないのである。
○膠齢 空しいこと。さびしく広い、人けもないところ。


事亹亹而覬進兮,蹇淹留而躊躇。
私の仕事は休まず努力して君に許されて仕えることをこいねがうのであるが、ああ、久しくたってしまい、ただためらい足ぶみして進むことができないでいるのである。
○事亹亹 自分の仕事は、常に努める。休まず努力する。
○覬進 進み用いられることをねがう。君のお召しを待ちのぞむ。
○蹇淹留而躊躇 ああ、久しく留まっていて、ためらい足ぶみをする。いっこうに成功しないでいる。進み仕える機会がない。

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