宋玉《九辯 第九段》―#4 

まことに城壁や外城壁が当てにできる代物でなければ鎧の数を重ねても何の益があろうか。(政事には、まず賢人を採用することが最も大切なのである。)

2013年4月26日 同じ日の紀頌之5つのブログ
●古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、三国時代の「詩神」である曹植の詩
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●唐を代表する中唐の韓愈の儒家としての考えのよくわかる代表作の一つ
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●杜甫の全作品1141首を取り上げて訳注解説 ●理想の地を求めて旅をする。"
Ⅲ杜甫詩1000詩集茅屋為秋風所破歌 成都5-(12-1) 杜甫 <465-#1>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2280 杜甫詩1000-465-#1-650/1500
●これまで分割して掲載した詩を一括して掲載・改訂掲載・特集  不遇であった詩人だがきめの細やかな山水詩をかいている
Ⅳブログ漢・唐・宋詞詩集還舊園作見顔范二中書 謝霊運(康楽)<56> kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞ブログ 2281 (04/26)
●●森鴎外の小説『魚玄機』、芸妓で高い評価を受けた『薛濤』の詩。唐時代にここまで率直な詩を書く女性が存在した奇跡の詩
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九辯 第九段―#4 宋玉  <00-#30>Ⅱもっとも影響を与えた詩文 659 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ2279


第九段
被荷裯之晏晏兮,然潢洋而不可帶。
蓮の葉の単衣の立派なきものを着ても、ここにみるように丈が長く、広くて身に合わず、破れ易いようなもので帯をすることもできない。
既驕美而伐武兮,負左右之耿介。
君王に美徳とすぐれた素質を誇り、武力を威張り、左右の剛毅な者をたのみにしておられるのだ。
憎慍惀之脩美兮,好夫人之慷慨。

思慮深く聡明で、素養があり、徳あり善美な人を憎んでいるというし、あの小人の心で、昂奮して不義を憤る態度を好まれるという。
眾踥蹀而日進兮,美超遠而逾邁 。
小人どもはぞろぞろと日々に朝廷に進み用いられ、立派な人物は、はるかに遠ざかって、勢いよく去っていくのである。

農夫輟耕而容與兮,恐田野之蕪穢。
農夫は租税の重さに苦しみ、耕すことをやめてゆっくりと休みのである。すると、田畑野が雜草であれはて五穀は取れなくなること、これが心配である。
事綿綿而多私兮,竊悼後之危敗。
君王が細微なことばかりを仕事にされ、自分勝手がこと多いので、私はひそかにその後のことをに危くかんがえて、失敗をされるととりかえしがつかないといたむのである。
世雷同而炫曜兮,何毀譽之昧昧!
世の人々は付和雷同に呼応して響くようになんでも賛成してほめそやすので、何とあなどりと誉れとの区別することが難しいことこの上ない。
今脩飾而窺鏡兮,後尚可以竄藏。

今身を美しく飾るとすれば、鏡をのぞいて化粧を直すように、身の行ないを正しておけば、後に乱が起こったような時に、それでもやはり、世を逃れかくれて住むことができる。

願寄言夫流星兮,羌儵忽而難當。
どうか、あの流れ星にこのことばをことづけたいと思うのであるが、ああ、あまりに速やすぎて、出会い難いのである。
卒壅蔽此浮雲兮,下暗漠而無光。
しまいには、この浮雲に覆われ遮られて、下界は暗くぼんやりとして光がなくなってしまう。
堯舜皆有所舉任兮,故高枕而自適。
堯や舜には皆自分から挙げ用いて、仕事をまかせた賢相がいたので、それ故、枕を高くして安らかに眠れ、気楽にして暮らせたのである。
諒無怨於天下兮,心焉取此怵惕?
このようにまことに天下の人から怨まれることがなければ、どうしてこのみな憐憫の情、可哀相と感じる心を持つことがあろう。

#4
乘騏驥之瀏瀏兮,馭安用夫強策?
千里の馬の流れるように速く走るのに乗るならば、馬を御するのにどうしてあの強い鞭を用いようか。
諒城郭之不足恃兮,雖重介之何益?
まことに城壁や外城壁が当てにできる代物でなければ鎧の数を重ねても何の益があろうか。(政事には、まず賢人を採用することが最も大切なのである。)
邅翼翼而無終兮,忳惛惛而愁約。
歩きめぐって進まずたちもどり、私はただいつまでも敬みかしこまっていて、心は憂いのために暗く、悲しみ窮している。
生天地之若過兮,功不成而無效。
この天地に生まれて、忽ち通り過ぎ去るような一生であって、仕事もなんの成果も上がらず、働きがいもない。


『九辯 第九段』 現代語訳と訳註
(本文)
#4
乘騏驥之瀏瀏兮,馭安用夫強策?
諒城郭之不足恃兮,雖重介之何益?
邅翼翼而無終兮,忳惛惛而愁約。
生天地之若過兮,功不成而無效。


(下し文)
騏驥の瀏瀏たるに乘らば、馭するに安ぞ夫の強策を用ひん。
諒に城郭之れ恃むに足らざれば、介を重ぬと雖も之れ何の益かあらん。
達として巽巽として終無し、帽として悼惜として愁約す。
天地に生じて之れ遇ぐるが若し。功成らずして致無し。


(現代語訳)
千里の馬の流れるように速く走るのに乗るならば、馬を御するのにどうしてあの強い鞭を用いようか。
まことに城壁や外城壁が当てにできる代物でなければ鎧の数を重ねても何の益があろうか。(政事には、まず賢人を採用することが最も大切なのである。)
歩きめぐって進まずたちもどり、私はただいつまでも敬みかしこまっていて、心は憂いのために暗く、悲しみ窮している。
この天地に生まれて、忽ち通り過ぎ去るような一生であって、仕事もなんの成果も上がらず、働きがいもない。


(訳注)
乘騏驥之瀏瀏兮,馭安用夫強策?

千里の馬の流れるように速く走るのに乗るならば、馬を御するのにどうしてあの強い鞭を用いようか。
〇騏驥 ①よく走るすぐれた馬。駿馬(しゅんめ)。 ②すぐれた人物。
〇瀏瀏 水の流れるさま。
〇馭 馭とは、馬を御すという意味
○策 鞭。


諒城郭之不足恃兮,雖重介之何益?
まことに城壁や外城壁が当てにできる代物でなければ鎧の数を重ねても何の益があろうか。(政事には、まず賢人を採用することが最も大切なのである。)
○恃 ① 相手に、こちらが希望するようにしてくれることを伝えて願う。依頼する。「用事を―・む」「口外しないよう―・む」「代筆を―・む」② たよりになるものとしてあてにする。力としてたよる。
〇介 甲胃。


邅翼翼而無終兮,忳惛惛而愁約。
歩きめぐって進まずたちもどり、私はただいつまでも敬みかしこまっていて、心は憂いのために暗く、悲しみ窮している。
〇邅 めぐる
。たちもどる。回転して前進しないこと。
〇翼翼 つつしむ。恭しいさま。
〇惛惛 心が暗い。
〇忳 憂える。


生天地之若過兮,功不成而無效。
この天地に生まれて、忽ち通り過ぎ去るような一生であって、仕事もなんの成果も上がらず、働きがいもない。
〇若過 「忽として雲馳せ駟隙を過ぐるが若し。」と。