韓愈 《奉和虢州劉給事使君三堂新題二十一詠:新亭》
湖の水面につき出たあずまやがなかなか良いものだ。日の出とともにあのお方が初めてお出ましになられるという。
2013年5月18日 | 同じ日の紀頌之5つのブログ |
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并序:
虢州刺史宅連水池竹林,
往往為亭臺島渚,目其處為三堂。
劉兄自給事中出刺此州,
在任餘歲,職修人治,
州中稱無事,頗復增飾。
從子弟而遊其間,
又作二十一詩以詠其事,
流行京師,文士爭和之。
余與劉善,故亦同作。
虢州刺史の官舎は、川と池と竹林に連続している。さきごろ、亭や台や島や渚をつくって、そこに「三堂」という名をつけた。
劉兄は、給事中の職にあったが、転出してこの州の刺史となり、赴任して一年を超えた。
職務はきちんとととのい、政治もうまくいって、州ではまったく事故がないということだ。
そこで、いくらか、増設改築などをして、子弟たちをつれて、そのほとりで宴遊する。
また二十一首の詩をつくって そのことを詠じた。これが、都にも流行し、文士たちは争って唱和した。
わたしは、劉兄と親しい仲なので、同じようにつくってみた。
奉和虢州劉給事使君三堂新題二十一詠:新亭
湖上新亭好,公來日出初。
湖の水面につき出たあずまやがなかなか良いものだ。日の出とともにあのお方が初めてお出ましになられるという。
水文浮枕簟,瓦影蔭龜魚。
まくらと簟の涼しげなシーツには水の波紋の模様が浮かび上がっている。水面に四阿の瓦の陰に映るとそこに亀や魚が集まってくる。
湖上 新亭 好し,公來る 日出づる初【とき】。
水文 枕簟【ちんてん】浮び,瓦影【がえい】龜魚【きぎょ】を蔭にす。
奉和虢州劉給事使君三堂新題二十一詠『新亭』 現代語訳と訳註
(本文) 奉和虢州劉給事使君三堂新題二十一詠:新亭
湖上新亭好,公來日出初。
水文浮枕簟,瓦影蔭龜魚。
(下し文)
湖上 新亭 好し,公來る 日出づる初【とき】。
水文 枕簟【ちんてん】浮び,瓦影【がえい】龜魚【きぎょ】を蔭にす。
(現代語訳)
湖の水面につき出たあずまやがなかなか良いものだ。日の出とともにあのお方が初めてお出ましになられるという。
まくらと簟の涼しげなシーツには水の波紋の模様が浮かび上がっている。水面に四阿の瓦の陰に映るとそこに亀や魚が集まってくる。
(訳注)
奉和虢州劉給事使君三堂新題二十一詠:新亭
底本巻九。元和七年(あるいは八年)に韓愈の知人の劉伯弟が侍従の官である給事中から、雛州別史に逢った。劉伯爵は字を素芝といい詺州広平のひとである。
この転任は、病気のため中央の劇務から、比較的ひまな地方官への転出を希望して容れられたものである。翫州は河南省底氏県である。劉は官舎に庭園をいとなみ「三堂」となづけ、これにちなんだ詩をつくった。これに和して韓愈のつくったのが、この詩である。
・新亭 新しいあずまや。
湖上新亭好,公來日出初。
湖の水面につき出たあずまやがなかなか良いものだ。日の出とともにあのお方が初めてお出ましになられるという。
・湖上 湖のほとり。上は辺というほどの意味。この場合、湖の水面につき出たあずまやであったのだろう。
水文浮枕簟,瓦影蔭龜魚。
まくらと簟の涼しげなシーツには水の波紋の模様が浮かび上がっている。水面に四阿の瓦の陰に映るとそこに亀や魚が集まってくる。
・枕簟 枕とたかむしろ。たかむしろは、竹をほそくそいでその皮をあんでつくったむしろ。シーツはたかむしろではないが、どちらもベッドに敷かれるものであり、ここでは、そこにうつってゆらいでいる改紋に重心がかかっているのだから、ここではシーツということである。・清簟 すがすがしい竹むしろ。韓愈は、でっぷりと肥えた人で、暑がりやの汗かきだった。少し親しい人だと、訪ねていった早々に、竹むしろと枕を出させて、ねそべった、というエピソードが残っている『鄭羣贈簟 #1 Ⅱ韓退之(韓愈)詩307 紀頌之の漢詩ブログ998』寺の客殿にはいって、まず華榻清簟をうたうところ、いかにもかれらしい。この時も、おそらく、杜侍御などほったらかしにして、大好きな簟にごろりと寝ころんだことだろうと思う。
・瓦影 水にうつった屋根瓦のかげ。