〔韓愈、李正封〕《晚秋郾城夜會聯句》(21) そうであれば、笑いを買うのに金をなげうち、すなわち、若返りの薬を求めるべく、かくいうお偉いお方は何時までも達者でいてもらいたいものである。先祖の廟には酒器を配して備え、老親の居られる堂上においては鍾馨を鳴らして楽を奏るのである。
《晚秋郾城夜會聯句〔韓愈、李正封〕》(21)-#19韓愈(韓退之) Ⅱ中唐詩 <868> 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3324韓愈詩-220-#19
#19
惟當早富貴,豈得暫寂寞。
もとより、これは偶然ではなく、実を云えば、もっと富貴になるべく、どういうわけか、しばしなりとも寂寞なる不得意の境地におられるべきはずではなかったのである。
但擲雇笑金,仍祈却老藥。(正封)
そうであれば、笑いを買うのに金をなげうち、すなわち、若返りの薬を求めるべく、かくいうお偉いお方は何時までも達者でいてもらいたいものである。
歿廟配尊斝,生堂合毊鑮。
先祖の廟には酒器を配して備え、老親の居られる堂上においては鍾馨を鳴らして楽を奏るのである。
安行庇松篁,高臥枕莞蒻。(愈)
のどかに散歩するときには、松竹の陰に憩い、楽々と高臥するときには、薄縁の上に枕されるのである。
惟だ當に早く富貴なるべし,豈に暫くも寂寞なるを得んや。
但だ雇笑の金を擲【なげう】ち,仍お却老の藥を祈【もと】む。(正封)
歿廟【ぼつびょう】尊斝【そんか】に配し,生堂【しょうどう】毊鑮【きょうはく】を合す。
安行【あんこう】松篁【しょうこう】に庇【かく】れ,高臥【こうが】莞蒻【かんじゃく】をに枕す。(愈)
『晚秋郾城夜會聯句』〔韓愈、李正封〕 現代語訳と訳註
(本文) #19
惟當早富貴,豈得暫寂寞。
但擲雇笑金,仍祈却老藥。(正封)
歿廟配尊斝,生堂合毊鑮。
安行庇松篁,高臥枕莞蒻。(愈)
(下し文) #19
惟だ當に早く富貴なるべし,豈に暫くも寂寞なるを得んや。
但だ雇笑の金を擲【なげう】ち,仍お却老の藥を祈【もと】む。(正封)
歿廟【ぼつびょう】尊斝【そんか】に配し,生堂【しょうどう】毊鑮【きょうはく】を合す。
安行【あんこう】松篁【しょうこう】に庇【かく】れ,高臥【こうが】莞蒻【かんじゃく】をに枕す。(愈)
(現代語訳)
もとより、これは偶然ではなく、実を云えば、もっと富貴になるべく、どういうわけか、しばしなりとも寂寞なる不得意の境地におられるべきはずではなかったのである。
そうであれば、笑いを買うのに金をなげうち、すなわち、若返りの薬を求めるべく、かくいうお偉いお方は何時までも達者でいてもらいたいものである。
先祖の廟には酒器を配して備え、老親の居られる堂上においては鍾馨を鳴らして楽を奏るのである。
のどかに散歩するときには、松竹の陰に憩い、楽々と高臥するときには、薄縁の上に枕されるのである。
(訳注) #19
惟當早富貴,豈得暫寂寞。
もとより、これは偶然ではなく、実を云えば、もっと富貴になるべく、どういうわけか、しばしなりとも寂寞なる不得意の境地におられるべきはずではなかったのである。
但擲雇笑金,仍祈却老藥。(正封)
そうであれば、笑いを買うのに金をなげうち、すなわち、若返りの薬を求めるべく、かくいうお偉いお方は何時までも達者でいてもらいたいものである。
歿廟配尊斝,生堂合毊鑮。
先祖の廟には酒器を配して備え、老親の居られる堂上においては鍾馨を鳴らして楽を奏るのである。
・尊斝 おおさかずき、斝(か)は二里頭期・商代前期・商代後期を通じて重要視された彝器(いき)の一つで、酒を温めるための器である。斝は、王墓や重要な貴族などの墓から出土する程度で、貴重なものであった。酒器
・毊鑮 鍾馨を鳴らして楽を奏る
安行庇松篁,高臥枕莞蒻。(愈)
のどかに散歩するときには、松竹の陰に憩い、楽々と高臥するときには、薄縁の上に枕されるのである。
・安行 のんびり歩行する。
・松篁 松と竹が群がって生えている所。たけやぶ。
・莞蒻 薄縁の上。いぐさでおったうすいしきもの。
莞:[音]カン(クヮン)(呉)(漢) [訓]い1 植物の名。フトイ。また、イで織ったむしろ。「莞席」2 にこやかに笑うさま。蒻:若いガマ。