《獨釣,四首之四》期待していた待つところの人は、とうとう来なかったから、日暮れになって、誰と一緒に帰ろうか、まことに心寂しいことである。


2013年12月6日  の紀頌之5つのブログ
●古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、三国時代の「詩神」である曹植の詩六朝謝朓・庾信 後世に多大影響を揚雄・司馬相如・潘岳・王粲.鮑照らの「賦」、その後に李白再登場
Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩
 
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Ⅱ中唐詩・晩唐詩
 
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●これまで分割して掲載した詩を一括して掲載・改訂掲載・特集  不遇であった詩人だがきめの細やかな山水詩をかいている
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《獨釣,四首之四》元和十三年韓愈(韓退之) Ⅱ中唐詩 <883  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3399韓愈詩-226

 

 

『獨釣,四首』元和十三年の作にまちがいなく、四首の連作のうち第一首は、概要、第二首季節は春、夏、第三首に「秋晨」、第四首に「秋半」の語があり、秋である。また通常の隠者は山林に隠棲するものだが、ほんとうの隠者は俗世間のなかにあって、それでも隠逸の心を失わないものだとする観念があり、「吏隠」はその一つで、身分は役人だが精神的には隠者であることをいう。むかし老子が柱下の史という低い身分の役人となったと伝えられるのが、その先例である。刑部侍郎は高官だが、韓愈はここで「吏隠」を気取って見せているのである。

だが韓愈の言うように「太平」だと、どうも力のこもった詩は生まれにくいらしい。この詩にしても、軽く作ったという感じがする。しかしょくしたもので、韓愈が「吏隠」を気取り始めると、彼の生涯における最大の事件が発生するのである。

 

 

卷別: 卷三四四  文體: 五言律詩 

詩題: 獨釣,四首之四【獨酌,四首之四】 

作地點: 長安(京畿道 / 京兆府 / 長安

 

 

獨釣,四首之一

(子供らに自慢できるだけ獨りでたくさん釣り上げる,四首の内その一) 

侯家林館勝,偶入得垂竿。

侯家の邸宅には林に囲まれた別館があって、景勝に恵まれている。時折りここに来ては釣り糸を垂れるのである。

曲樹行藤角,平池散芡盤。

岸辺に曲った老樹に藤の切り株に連なっており、池冲には水面にミズブキの大きな葉が散布している。羽沈知食駛,緡細覺牽難。

暫くすると、浮子が沈んだので、魚が餌をひくのがはやくするのがわかるが、釣り糸が北手切れそうだから引き上げることは難しい。

聊取夸兒女,條繫從鞍。

何と言っても、たくさん釣りあげて、子らに威張ってみせようというので、從者にもゆっくりと待ってもらうためた馬を楡の枝に繋がせて落ち着いて釣りをすることにしたのだ。

 

(獨り釣る,四首の一) 

侯家 林館 勝たり ,偶【たまた】ま入りて竿を垂るるを得たり

曲樹 藤角に行【つら】なり ,平池 芡盤【けんばん】を散ず。

羽 沈んで 食の駛【はや】きを知り,緡【いと】細くして牽くことの難きを覺ゆ

聊【いささ】か兒女に夸【ほこ】るを取る 【ゆじょう】從鞍【じゅうあん】を繫ぐ

 

獨酌,四首之二

(いやな仕事をさぼって侯家の林館の池で釣りをするが、こうして詩を作るのは精彩を失わないためだ。四首の内その二)

一逕向池斜,池塘野草花。 

侯家の林館に入ってみると、一筋の道がある、池に向かって堤を斜めに通じている。堤塘のうえには、野草が花を咲かせている。

雨多添柳耳,水長減蒲芽。 

ちかごろ、雨の日が多くて 柳の樹に茸が生えてくるほどだ。水嵩が著しく増していて、蒲の芽が水中に没していて、おおいに減ってしまったようだ。

坐厭親刑柄,來傍釣車。 

わたしはいま、刑部に奉職して、刑部の枅柄・仕置することではあるが、心の中では、花花だ是を厭なものとしている。したがって、暇を盗んではここにきて、釣り人の残した釣り車に沿うようにして、こうして釣り糸を垂れているのだ。

太平公事少,吏隱詎相 

淮西の乱など征伐されて、太平の御代になっており、公的な仕事もはなはだ少なくなって、さながら、吏隠といってもよいくらい状況である。だからこのような詩を作って精彩を失わないようにしなくてはならないのだ。

獨酌,四首之二

一逕 池に向いて斜なり,池塘は野草の花さく。 

雨多くして柳耳を添【そ】え,水長じて蒲芽を減ず。 

坐ろに刑柄【けいへい】に親しむを厭【いと】い,【ひそか】に來って釣車に傍【そ】う 

太平なれば公事少く,吏隱【りいん】詎【なん】ぞ相い【はるか】ならむ

楊貴妃清華池002 

獨釣,四首之三

(いやな仕事をさぼって侯家の林館の池で釣りをするが、こうして詩を作るのは精彩を失わないためだ。四首の内その三) 

獨往南塘上,秋晨景氣醒。 

ひとり池の南側の土手の上に向かって昇ってゆく、秋の朝、放射冷却でかなり冷え込み、せっかく晴れ渡っているものの霜が溶けていない枯れ葉の景色は興醒めになる。

露排四岸草,風約半池萍。 

興醒めは、夜露がおびただしく下って池の四面の岸の草を押さえつけていることであり、風が池の半分にしかも一か所に浮草を束ねてしまっているのだ。

鳥下見人寂,魚來聞餌馨。 

風がやんだら、鳥が空から降りてきて、辺りに人の気配がないことを慶び、魚は餌の匂いを嗅ぎつけて追々集まってくる。

所嗟無可召,不得倒吾瓶。 

こんな景色でもだれかここに招きよせて、せっかく用意した酒瓶を空にするまで一緒に飲み倒すことが出来ないものだろうか。

獨り釣る,四首之三

獨り往く南塘の上,秋晨【しゅうしん】景氣【けいき】醒【さ】む。 

露は排す 四岸の草,風は約す 半池の萍【うきぐさ】。  

鳥は下る 人の寂たるを見て,魚は來る 餌の馨【かんば】しきを聞く。 

嗟する所は召さる可き無くして,吾が瓶【へい】を倒すを得ざるを。

 

yamanoki04獨釣,四首之四

(いやな仕事をさぼって侯家の林館の池で釣りをするが、こうして詩を作るのは精彩を失わないためだ。四首の内その四) 

秋半百物變,谿魚去不來。

秋も半ばになって、百物次第に変じて凋落に赴き、渓魚もどこかにかくれて、ひとたびさっていったものは再びここにかえってくることはない。

風能坼芡觜,露亦染梨腮。

西風颯颯として、ミズブキの葉の先端を吹き折り、露にうるおっていて、梨のみの表皮を赤く染めている。

遠岫重疊出,寒花散亂開。

眺め遣れば、遠くの山々の重壘錯出するのがくっきりと見え、ここには寒花が散乱して、あちこちに開いている。

所期終莫至,日暮與誰迴。

期待していた待つところの人は、とうとう来なかったから、日暮れになって、誰と一緒に帰ろうか、まことに心寂しいことである。

秋 半ばして百物 変じ、谿魚 去って来らず。

風は能く芡觜【けんし】を坼【くじ】き、も亦た梨敵【りさい】を染む。

遠咄【えんしゅう】重盛【ちょうじょう】して出で、塞花 散乱として開く。

期する所 終【つい】に至る莫し、日暮 誰と興にか廻らん。   

 

 

『獨釣,四首之四』 現代語訳と訳註

(本文)

獨釣,四首之四

秋半百物變,谿魚去不來。

風能坼芡觜,露亦染梨腮。

遠岫重疊出,寒花散亂開。

所期終莫至,日暮與誰迴。

 

 

(下し文)

秋 半ばして百物 変じ、谿魚 去って来らず。

風は能く芡觜【けんし】を坼【くじ】き、も亦た梨敵【りさい】を染む。

遠咄【えんしゅう】重盛【ちょうじょう】して出で、塞花 散乱として開く。

期する所 終【つい】に至る莫し、日暮 誰と興にか廻らん。

隋堤01 

(現代語訳)

(いやな仕事をさぼって侯家の林館の池で釣りをするが、こうして詩を作るのは精彩を失わないためだ。四首の内その四) 

秋も半ばになって、百物次第に変じて凋落に赴き、渓魚もどこかにかくれて、ひとたびさっていったものは再びここにかえってくることはない。

西風颯颯として、ミズブキの葉の先端を吹き折り、露にうるおっていて、梨のみの表皮を赤く染めている。

眺め遣れば、遠くの山々の重壘錯出するのがくっきりと見え、ここには寒花が散乱して、あちこちに開いている。

期待していた待つところの人は、とうとう来なかったから、日暮れになって、誰と一緒に帰ろうか、まことに心寂しいことである。

 

 

(訳注)

獨酌,四首之三

(いやな仕事をさぼって侯家の林館の池で釣りをするが、こうして詩を作るのは精彩を失わないためだ。四首の内その四) 

韓愈長安に刑部侍郎としている時にだれか侯家にあたる邸宅の池で釣りをしたもの。刑務所の役人であることが嫌であった韓愈は時々抜け出して釣りをした。其の

 

秋半百物變,谿魚去不來。

秋も半ばになって、百物次第に変じて凋落に赴き、渓魚もどこかにかくれて、ひとたびさっていったものは再びここにかえってくることはない。

・秋半日物変 この句と第二句あたりには、前の詩の終わりのところの気分が、さらに強められて出ているようである。秋半:陰暦八月をいう。

 

風能坼芡觜,露亦染梨腮。

西風颯颯として、ミズブキの葉の先端を吹き折り、露にうるおっていて、梨のみの表皮を赤く染めている。

・芡觜 みずぶきの葉の先端。

・梨腮 なしのあご。ここは梨の実が色づくことをいっている。律詩、【首聯】【頷聯】【頸聯】【尾聯】風能以下の頷聯】【頸聯】の四句はことにうつくしく絶妙である。

 

遠岫重疊出,寒花散亂開。

眺め遣れば、遠くの山々の重壘錯出するのがくっきりと見え、ここには寒花が散乱して、あちこちに開いている。

・岫- 1 山の洞穴。2 山の峰。

 

所期終莫至,日暮與誰迴。

期待していた待つところの人は、とうとう来なかったから、日暮れになって、誰と一緒に帰ろうか、まことに心寂しいことである。

・所期 期待したあいて。

・この詩には恋の感情に似たものがある。韓愈はあらわな恋の歌はほとんどつくらなかったが、いまのわれわれからみればそうとれるような詩はかなり多くある。もっとも、その相手が女性なのか男性なのか、恋人であるよりは友人であったのだろう。
nat0010