《宿曾江口―その二》よく見ると林間には人が住んでいないようだけれど、林間の澗水からさらさらと小川の水が、舟が進むいきおいのはげしい流れに注ぎ込んでいる。こうした景色を見るにつけても、ああ、私がしでかした「佛骨を論ずる表」は下手を打ってしまったことだろう、その結果が自分の身に降りかかって、こうした南蛮の地に貶められたのだ。
 

2014年1月20日 の紀頌之5つのブログ
●古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、三国時代の「詩神」である曹植の詩六朝謝朓・庾信 後世に多大影響を揚雄・司馬相如・潘岳・王粲.鮑照らの「賦」、その後に李白再登場
Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩
 
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班孟堅(班固) 《東都賦》(13)#7(狩の準備) 文選 賦<113―11>18分割55回 Ⅱ李白に影響を与えた詩1015 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3623
●唐を代表する中唐の韓愈の儒家としての考えのよくわかる代表作の一つ
Ⅱ中唐詩・晩唐詩
 
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《宿曾江口示姪孫湘,二首之二〔湘,字北渚,老成之子,愈兄弇之孫。此赴潮州作也。〕》韓愈(韓退之) Ⅱ中唐詩 <928>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3624韓愈詩-240
●杜甫の全作品1141首を取り上げて訳注解説 ●理想の地を求めて旅をする。"
Ⅲ杜甫詩1000詩集  LiveDoorブログ 746廣徳2年764年―4-2 《南池》 蜀中転々 杜甫 <654-2>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3625 杜甫詩1000-654-2-919/1500748-2
●これまで分割して掲載した詩を一括して掲載・改訂掲載・特集  不遇であった詩人だがきめの細やかな山水詩をかいている
Ⅳブログ漢・唐・宋詞詩集 Fc2ブログ 260 《秋懐詩十一首之十(10)》韓愈kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 3626 (01/20)
●●森鴎外の小説『魚玄機』、芸妓で高い評価を受けた『薛濤』の詩。唐時代にここまで率直な詩を書く女性が存在した奇跡の詩。唐から五代詩詞。花間集
Ⅴ.唐五代詞詩・宋詞詩・女性 LiveDoor 11 -6 南鄉子八首 其二 歐陽舍人炯十七首ⅩⅫ唐五代詞・「花間集」 Gs-416-11-#6  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3627
 
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《宿曾江口示姪孫湘,二首之二〔湘,字北渚,老成之子,愈兄弇之孫。此赴潮州作也。〕》韓愈(韓退之) Ⅱ中唐詩 <928  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3624韓愈詩-240

 

 

卷別: 卷三四一  文體: 五言律詩 

詩題: 宿曾江口示姪孫湘,二首之二〔湘,字北渚,老成之子,愈兄弇之孫。此赴潮州作也。〕

及地點:  曾江口 (嶺南道東部 廣州 增城)     

 

 

宿曾江口示姪孫湘,二首之一

(この詩は潮州に赴く途中、曾江の合流点近くに投宿し洪水氾濫のようすを見るに及んで、賦して従行の姪孫韓湘に示したもの。二首の一)

〔湘,字北渚,老成之子,愈兄弇之孫。此赴潮州作也。〕

〔姪孫湘は、韓湘、字は北渚、老成の子、韓愈の兄韓弇【かんえん】の孫である。この詩は潮州に赴く途中で作ったものである。〕
雲昏水奔流,天水漭相圍。 

雲は暗く垂れこみ河口の洪水は凄まじく奔流している。天から降る雨水量は河水と一緒になって氾濫して宅地をとりかこんでいる。

三江滅無口,其誰識涯圻。 

ここで合流する三江はそれぞれの河口は全く消え果てなくなっってしまう。何処が岸なのか、誰であっても全く分からないほどである。

暮宿投民村,高處水半扉。 

暮れかかってきてここにきて、これ以上は動きも取れず、宿を探して、民村を探し当て、そこに行き着くと、そこは随分高い所にあるのに洪水は門扉の中ほどにも及んでいる。

犬雞俱上屋,不復走與飛。

そこに飼っている犬と鶏は難を避けてみんな屋根の上に上がっている。走り回ることも飛び上がることもできないで困ったものである。

 

篙舟入其家,暝聞屋中唏。 

やがて船をまわし、棹さしてその家に入ることが出来たが、夕暮れ時の暗い中で、その家の隅の方で悲しげに人の泣く声が聞こえてくる。

問知常然,哀此為生微。 

どうしたのかと様子を尋ねてみると、こういう洪水は毎年のようにあることで、この悲しい様な出来事は、この地方住民の生活状態を極めて貧困にするもので気の毒な事としか思えない。

海風吹寒晴,波揚眾星輝。 

そうしている間に今度は海からの強風が吹き寄せ、この寒空の晴れた部分からの薄明かりで、波しぶきが上がったのが星空の輝く星があつまったように見えてくる。

仰視北斗高,不知路所歸。 

仰ぎよくよく見つめてみると高い所にあるのが長安の都を示す北斗七星だというものの全くわかりはしないので、これではゆくべき道もわからないものが、帰るべき道までもわからないという痛嘆することしかないというものだ。

 

宿曾江口示姪孫湘,二首之二〔湘,字北渚,老成之子,愈兄弇之孫。此赴潮州作也。〕

(この詩は潮州に赴く途中、曾江の合流点近くに投宿し洪水氾濫のようすを見るに及んで、賦して従行の姪孫韓湘に示したもの。二首の二)

舟行忘故道,屈曲高林間。 

今まで通ってきた街道を離れて舟に乗っていくと両岸に高い林の間を折れ曲がって進んでゆく。

林間無所有,奔流但潺潺。 

よく見ると林間には人が住んでいないようだけれど、林間の澗水からさらさらと小川の水が、舟が進むいきおいのはげしい流れに注ぎ込んでいる。

嗟我亦拙謀,致身落南蠻。 

こうした景色を見るにつけても、ああ、私がしでかした「佛骨を論ずる表」は下手を打ってしまったことだろう、その結果が自分の身に降りかかって、こうした南蛮の地に貶められたのだ。

茫然失所詣,無路何能還。 

詣でるところのなくなってしまった今の自分は漠然として、つかみどころのない状態であり、こうして進んでいるけれど長安に帰る道がなくどうして又帰ることが出来るのだろうか。

 

曾江の口に宿し、姪孫湘に示す,二首の一

〔湘は,字を北渚とし,老成の子であり,愈の兄弇【えん】の孫である。此れは潮州に赴むくときの作なり。〕

舟は行く 故ある道を忘れて,屈曲せる 高林の間。 

林間は所有する無し,奔流 但だ潺潺とす。 

嗟あ我は亦た拙謀し,身 南蠻に落つるに致す。 

茫然として 所詣を失い,何ぞ能く還る路無し。

 

2潮州広東00 

『宿曾江口示姪孫湘,二首之二』 現代語訳と訳註

(本文)

宿曾江口示姪孫湘,二首之二〔湘,字北渚,老成之子,愈兄弇之孫。此赴潮州作也。〕

舟行忘故道,屈曲高林間。 

林間無所有,奔流但潺潺。 

嗟我亦拙謀,致身落南蠻。 

茫然失所詣,無路何能還。 

 

 

(下し文)

曾江の口に宿し、姪孫湘に示す,二首の一

〔湘は,字を北渚とし,老成の子であり,愈の兄弇【えん】の孫である。此れは潮州に赴むくときの作なり。〕

舟は行く 故ある道を忘れて,屈曲せる 高林の間。 

林間は所有する無し,奔流 但だ潺潺とす。 

嗟あ我は亦た拙謀し,身 南蠻に落つるに致す。 

茫然として 所詣を失い,何ぞ能く還る路無し。 

 

 

(現代語訳)

(この詩は潮州に赴く途中、曾江の合流点近くに投宿し洪水氾濫のようすを見るに及んで、賦して従行の姪孫韓湘に示したもの。二首の二)

今まで通ってきた街道を離れて舟に乗っていくと両岸に高い林の間を折れ曲がって進んでゆく。

よく見ると林間には人が住んでいないようだけれど、林間の澗水からさらさらと小川の水が、舟が進むいきおいのはげしい流れに注ぎ込んでいる。

こうした景色を見るにつけても、ああ、私がしでかした「佛骨を論ずる表」は下手を打ってしまったことだろう、その結果が自分の身に降りかかって、こうした南蛮の地に貶められたのだ。

詣でるところのなくなってしまった今の自分は漠然として、つかみどころのない状態であり、こうして進んでいるけれど長安に帰る道がなくどうして又帰ることが出来るのだろうか。

 

(訳注)

keikoku00宿曾江口示姪孫湘,二首之二

(この詩は潮州に赴く途中、曾江の合流点近くに投宿し洪水氾濫のようすを見るに及んで、賦して従行の姪孫韓湘に示したもの。二首の二)

 

舟行 故道 ,屈曲 高林

今まで通ってきた街道を離れて舟に乗っていくと両岸に高い林の間を折れ曲がって進んでゆく。

「故道」語義類別:地、地理、街道巷弄、道。

「屈曲」語義類別:物、形容詞彙(物)、景物形態、曲折。

「高林間」語義類別:地、自然景觀、林原莽漠、林。

 

林間 所有 ,奔流 但潺潺

よく見ると林間には人が住んでいないようだけれど、林間の澗水からさらさらと小川の水が、舟が進むいきおいのはげしい流れに注ぎ込んでいる。

「奔流」勢いの激しい流れ。

「潺潺」浅い川などの水がさらさらと流れるさま。

 

嗟我 亦拙謀 ,致身 南蠻

こうした景色を見るにつけても、ああ、私がしでかした「佛骨を論ずる表」は下手を打ってしまったことだろう、その結果が自分の身に降りかかって、こうした南蛮の地に貶められたのだ。

「拙」つたないこと。へた。

「南蠻」、四夷のひとつであり、中国大陸を制した朝廷が南方の帰順しない異民族に対して用いた蔑称である。

 

 

茫然 失所詣 ,無路 何能

詣でるところのなくなってしまった今の自分は漠然として、つかみどころのない状態であり、こうして進んでいるけれど長安に帰る道がなくどうして又帰ることが出来るのだろうか。

「茫然」1 漠然としてつかみどころのないさま。「―とした前途」「必要あることを弁ぜず…―たる論を主張するは」〈鉄腸・花間鶯〉2 1 あっけにとられているさま。「意外な成り行きに―とする」2 気抜けしてぼんやりしているさま。

「詣」1 高い所・境地に行きつく。「造詣」2 社寺にもうでる。天子のもとに詣でていたことを云う。