韓愈《除官赴闕至江州寄鄂岳李大夫》 たとえば親身の骨肉のものであっても、とにかく互いに可否し合うということがあるものだ。それに加えて我々は、生来愚鈍であって、人並みに顔色を和らげ、言葉を低くして、調子を合わせることが出来なかったからこのような関係になってしまったのだ。子犯も行き届かなかったのは、私でさえ知っているといった通りで、私が不束なものであることは十分承知している。ということで、貴公におかれても枉げて(つとめて)、私の過失を許してもらいたいと思う次第で、私もすっかり、事を改めて、交誼を全うしたいと思うところであるので、貴公にこれまでのことを忘れてもらいたいのだ。


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《除官赴闕至江州寄鄂岳李大夫〔李程也。元和十五年,自袁州詔拜國子祭酒,行次盆城作。〕》韓愈(韓退之) Ⅱ中唐詩 <967  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3819韓愈詩-260-#3

 

 

作時年:  820  元和十五年  53

卷別: 卷三四一  文體: 五言古詩 

詩題: 除官赴闕至江州寄鄂岳李大夫〔李程也。元和十五年,自袁州詔拜國子祭酒,行次盆城作。〕 

作地點: 潯陽(江南西道 / 江州 / 潯陽

及地點:  江州 (江南西道 江州 江州)     

鄂州 (江南西道 鄂州 鄂州) 別名:江夏     

岳州 (江南西道 岳州 岳州) 別名:沅湘     

湓城 (江南西道 江州 潯陽) 別名:盆城     

交遊人物: 李程

 

除官赴闕至江州寄鄂岳李大夫 #1

(兗州の刺史を除官して新らしく國子祭酒を拝するために長安に向かう際江州に至って鄂岳刺史観察使の李程にこの詩を寄せる)

盆城去鄂渚,風便一日耳。 

盆城といわれている江州は江夏の鄂渚の港から風の都合がよければ一日という極めて便利なところにある。

不枉故人書,無因帆江水。 

ちょっと寄り道にはなるけれど、我が旧友から前もって書簡を寄せられていなかったならば、舟に帆をかけて江水を渡ることなくそのまま行き過ぎたことだろう。

故人辭禮闈,旌節鎮江圻。 

我が友、李程は近頃、朝廷の禮部省より出でて、旌節を賜って六月鄂岳刺史観察使となり、この江辺の要地を鎮撫することになり、まことに目覚ましい立身である。

而我竄逐者,龍鐘初得歸。 

それに引き換え、わたしは、竄逐の身の上で、龍鐘として、老いさらばえてしまい、この度やっとの思いで召し返されることとなった次第で、その相反することはまことに甚だしいものである。

#2

別來已三望望長迢遞。 

君と別れてからもう三年になるが潮州から兗州と遠方にいた時分これを臨んでいても道程遠く隔てていたのである。

咫尺不相聞,平生那可計。 

こうして今、咫尺の地を通りかかってお目見聞できなかったならば平生の有様を話し合うこともできなかったのである。

我齒落且盡,君鬢白幾何。 

さて、会ってみると、君と私は昇進するひとと、罪貶などといろいろ違った環境ではあるが、わたしはは娥だんだん抜けてまさにことごとく抜け落ち、君はというと鬢の白髪が幾分目立つようになった。

年皆過半百,來日苦無多。 

お互いに年齢は五十を過ぎて、今後、来るべき日数は少なく、寿命がもう長くなくなって心細い感じなのである。

少年樂新知,衰暮思故友。 

青年のころというのは、新たに知り合った人を楽しみにするものであるが、こうした老年になれば、昔馴染みの友人を慕わしく思うのが人情で、君との旧懐の念に堪えないのがしごく当たり前のことであった。

#3

譬如親骨肉,寧免相可不。 

たとえば親身の骨肉のものであっても、とにかく互いに可否し合うということがあるものだ。

我昔實愚蠢,不能降色辭。 

それに加えて我々は、生来愚鈍であって、人並みに顔色を和らげ、言葉を低くして、調子を合わせることが出来なかったからこのような関係になってしまったのだ。

子犯亦有言,臣猶自知之。 

子犯も行き届かなかったのは、私でさえ知っているといった通りで、私が不束なものであることは十分承知している。

公其務貰過,我亦請改事。 

ということで、貴公におかれても枉げて(つとめて)、私の過失を許してもらいたいと思う次第で、私もすっかり、事を改めて、交誼を全うしたいと思うところであるので、貴公にこれまでのことを忘れてもらいたいのだ。

儻可收,願寄相思字。 

例えば、功を桑楡に収めてくれるようにしてくれて、今後もなお更のご厚情を下し賜るならば、どうか時々、相思の書簡詩文の「文字」をもって私に寄せられたいものである。

 

官を除せられて闕に赴むいて江州に至り 鄂岳 李大夫に寄す #1

盆城は、鄂渚を去る,風便 一日 のみ。 

故人の書を枉げざれば,江水に帆する因無し。 

故人 禮闈【れいい】を辭し,旌節 江圻【こうさ】を鎮す。 

而【しか】も我 竄逐【ざんちく】の者,龍鐘【りょうしょう】初めて歸るを得たり。 

#2

別來 已に三望望として長く迢遞【ちょうてい】たり。 

咫尺 相い聞かざれば,平生 那んぞ計る可き。 

我が齒 落ち且つ盡き,君の鬢 白きこと幾何ぞ。 

年 皆 半ば百を過ぎ,來日 苦だ多き無し。 

少年には 新知を樂しみ,衰暮には 故友を思う。 

#3

譬【たと】えば親骨 肉の如きも,寧ろ相い可不するをれんや。 

我 昔 實に愚蠢【ぐとう】にして,色辭【しょくじ】を降す能わず。 

子犯【しはん】も亦た言える有り,臣 猶お自ら之を知る。 

公 其れ務めて過【あやま】ちを貰【ゆる】せ,我も亦た請う事を改めん。 

 【も】し收む可くんば,願わくば相思の字を寄せよ。  

楸001 

 

『除官赴闕至江州寄鄂岳李大夫』 現代語訳と訳註

(本文) #3

譬如親骨肉,寧免相可不。 

我昔實愚蠢,不能降色辭。 

子犯亦有言,臣猶自知之。 

公其務貰過,我亦請改事。 

儻可收,願寄相思字。 

 

(下し文)#3

譬【たと】えば親骨 肉の如きも,寧ろ相い可不するをれんや。 

我 昔 實に愚蠢【ぐとう】にして,色辭【しょくじ】を降す能わず。 

子犯【しはん】も亦た言える有り,臣 猶お自ら之を知る。 

公 其れ務めて過【あやま】ちを貰【ゆる】せ,我も亦た請う事を改めん。 

 儻【も】し收む可くんば,願わくば相思の字を寄せよ。

 

(現代語訳)

たとえば親身の骨肉のものであっても、とにかく互いに可否し合うということがあるものだ。

それに加えて我々は、生来愚鈍であって、人並みに顔色を和らげ、言葉を低くして、調子を合わせることが出来なかったからこのような関係になってしまったのだ。

子犯も行き届かなかったのは、私でさえ知っているといった通りで、私が不束なものであることは十分承知している。

ということで、貴公におかれても枉げて(つとめて)、私の過失を許してもらいたいと思う次第で、私もすっかり、事を改めて、交誼を全うしたいと思うところであるので、貴公にこれまでのことを忘れてもらいたいのだ。

例えば、功を桑楡に収めてくれるようにしてくれて、今後もなお更のご厚情を下し賜るならば、どうか時々、相思の書簡詩文の「文字」をもって私に寄せられたいものである。

泰山の夕日 

(訳注) #3

譬如親骨肉,寧免相可不。 

たとえば親身の骨肉のものであっても、とにかく互いに可否し合うということがあるものだ。

相可不 互いに可否し合う。

 

我昔實愚蠢,不能降色辭。 

それに加えて我々は、生来愚鈍であって、人並みに顔色を和らげ、言葉を低くして、調子を合わせることが出来なかったからこのような関係になってしまったのだ。

實愚蠢 生来愚鈍であること。実際には、具屯な虫けらほどの者であること。へりくだった言い方。

降色辭 人並みに顔色を和らげ、言葉を低くして、調子を合わせること。

 

子犯亦有言,臣猶自知之。 

子犯も行き届かなかったのは、私でさえ知っているといった通りで、私が不束なものであることは十分承知している。

子犯 中国春秋時代の晋の政治家狐偃(こえん)のこと。字は子犯。舅犯、または咎犯(どちらもきゅうはんと読む)と呼ばれる。狐偃は文公の覇業を大いにたすけた。周の襄王が叔帯の乱を避けて鄭に亡命し、諸侯にたすけを求めたが、権威の低下した周王室をあえてたすけようとする諸侯はいなかった。 狐偃は「君は王をたすけて民に義を示すべきです」と文公に進言したので、文公は兵を率いて王室の乱を平定した。

この功により晋は王室から温・原などの中央に近い地を賜り、これがのちの晋の大発展の礎となった。また、諸侯に先駆けて王室をたすけて義を示したことにより、晋の文公の名は天下に轟いた。

 

公其務貰過,我亦請改事。 

ということで、貴公におかれても枉げて(つとめて)、私の過失を許してもらいたいと思う次第で、私もすっかり、事を改めて、交誼を全うしたいと思うところであるので、貴公にこれまでのことを忘れてもらいたいのだ。

務貰過 ・務:枉げて~、つとめて~。・貰過:過失を許してもらう。

請改事 事を改めて、交誼を全うしたいと思うところであるので、貴公にこれまでのことを忘れてもらいたい。

 

儻可收,願寄相思字。 

例えば、功を桑楡に収めてくれるようにしてくれて、今後もなお更のご厚情を下し賜るならば、どうか時々、相思の書簡詩文の「文字」をもって私に寄せられたいものである。

桑楡に収める。桑は東の畑に植え、楡の木の間に日が堕ちる。毎日コツコツと仕事に精を出す人生に喩える。1日の後半(午後遅く日が落ちてから夜まで)夕方 逢魔が時 暮相 夕景・黄昏をいう。

相思・長相思 綿の縁語。綿綿と長く続く意をとる。

『古詩十九首之第十八首』

客從遠方來,遺我一端綺。

相去萬餘里,故人心尚爾。

文彩雙鴛鴦,裁為合歡被。

著以長相思,緣以結不解。

以膠投漆中,誰能別離此?

古詩十九首之十八 漢の無名氏(18) 漢詩<106>Ⅱ李白に影響を与えた詩540 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1437

 蘇伯玉妻『盤中詩』

北上堂,西入階。急機絞,杼聲催。

長嘆息,當語誰。

君有行,妾念之。出有日,還無期。

結巾帶,長相思。君忘妾,未知之。

妾忘君,罪當治。妾有行,宜知之。

盤中詩 蘇伯玉妻 漢詩<141-#2>古詩源 巻二 女性詩579 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1554
云亭