韓愈  送區册序§-1-2

縣郭無居民,官無丞尉,夾江荒茅篁竹之間,小吏十餘家,皆鳥言夷面。始至,言語不通,畫地為字,然後可告以出租賦,奉期約。

是以賓客遊從之士,無所為而至。
陽山県の城郭内には住民は住まわっていない、そして、役所には副官の丞も属官の尉もない。江をはさんで両岸に荒れ茂った茅や竹薮などの間に、小役人の十軒あまりの家がある。人々の話し言葉は、鳥の噛りのような言葉で、異民族らしい顔をしていて、はじめて到着したときは、言葉が通じなかった。地面に字を書いて、やっと租税額を云い出せたり、期日や約束を守ることなどを告げることができた。

こういうわけで、私の所に、賓客や交わり遊ぶ人士など、わざわざ来るものはなかったのである。

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送區冊序§-1-1

陽山,天下之窮處也。

陸有丘陵之險,虎豹之虞;

江流悍急,橫波之石,廉利侔劍戟,

舟上下失勢,破碎淪溺者,往往有之。

(区冊が遠方から来て従い交わったので、深く喜んで、帰郷の区冊を送る序で、その感激の情を述べたもの)

§-1-1

陽山は天下中で最も行きづまりの辺鄙なところである。

そして、陸に丘陵のけわしさがあり、虎や豹のおそれもある。

大川の流れは荒く急であって、波の中に横たわる石は角があり、するどくて、剣や戟に似ている。

舟がその川を上り下りするとき、その体勢をまちがえると、波や岩に打ちくだかれて、人々が沈み溺れることは、よくあるのである。

 

陽山は天下の窮處なり。

陸に邱陵の険、虎豹の虞有り。

江流急にして、波に横はるの石は、廉利なること劍戟し。

舟上下するに勢をへば、破砕倫溺する者、往往之れ有り。

 

§-1-2

縣郭無居民,官無丞尉,

陽山県の城郭内には住民は住まわっていない、そして、役所には副官の丞も属官の尉もない。

夾江荒茅篁竹之間,小吏十餘家,

江をはさんで両岸に荒れ茂った茅や竹薮などの間に、小役人の十軒あまりの家がある。

皆鳥言夷面。始至,言語不通,

人々の話し言葉は、鳥の噛りのような言葉で、異民族らしい顔をしていて、はじめて到着したときは、言葉が通じなかった。

畫地為字,然後可告以出租賦,奉期約。

地面に字を書いて、やっと租税額を云い出せたり、期日や約束を守ることなどを告げることができた。

是以賓客遊從之士,無所為而至。

こういうわけで、私の所に、賓客や交わり遊ぶ人士など、わざわざ来るものはなかったのである。

縣郭に居民無く、官に丞尉無し。

江を爽める荒茅篁竹の間に、小吏十餘家あり。

皆 鳥言 夷面、始て至りしとき言語通ぜず、

地に畫して字を為し、然る後に告ぐるに租賦を出し、期約を奉ずるを以てす可し。

是を以て賓客遊從の士、為にして至る所無し。

韓愈 陽山00 

『送區冊序』 現代語訳と訳註解説
(
本文)

§-1-2

縣郭無居民,官無丞尉,

夾江荒茅篁竹之間,小吏十餘家,

皆鳥言夷面。始至,言語不通,

畫地為字,然後可告以出租賦,奉期約。

是以賓客遊從之士,無所為而至。

(下し文)
縣郭に居民無く、官に丞尉無し。

江を爽める荒茅篁竹の間に、小吏十餘家あり。

皆 鳥言 夷面、始て至りしとき言語通ぜず、

地に畫して字を為し、然る後に告ぐるに租賦を出し、期約を奉ずるを以てす可し。

是を以て賓客遊從の士、為にして至る所無し。

(現代語訳)
§-1-2

陽山県の城郭内には住民は住まわっていない、そして、役所には副官の丞も属官の尉もない。

江をはさんで両岸に荒れ茂った茅や竹薮などの間に、小役人の十軒あまりの家がある。

人々の話し言葉は、鳥の噛りのような言葉で、異民族らしい顔をしていて、はじめて到着したときは、言葉が通じなかった。

地面に字を書いて、やっと租税額を云い出せたり、期日や約束を守ることなどを告げることができた。

こういうわけで、私の所に、賓客や交わり遊ぶ人士など、わざわざ来るものはなかったのである。


(訳注) §-1-2

(区冊が遠方から来て従い交わったので、深く喜んで、帰郷の区冊を送る序で、その感激の情を述べたもの)

韓愈が陽山に流された時、区冊が遠方から来て従い交わったので、深く喜んで、帰郷の区冊を送る序に、その感激の情を述べたのである。冊の人物には別に伝はない。区は音「欧」と同じ。

韓愈 陽山と潮州002 

縣郭無居民,官無丞尉,

陽山県の城郭内には住民は住まわっていない、そして、役所には副官の丞も属官の尉もない。

○丞 県の副官。

○尉 県の警察裁判を司る属官。

 

夾江荒茅篁竹之間,小吏十餘家,

江をはさんで両岸に荒れ茂った茅や竹薮などの間に、小役人の十軒あまりの家がある。

 

皆鳥言夷面。始至,言語不通,

人々の話し言葉は、鳥の噛りのような言葉で、異民族らしい顔をしていて、はじめて到着したときは、言葉が通じなかった。

 

畫地為字,然後可告以出租賦,奉期約。

地面に字を書いて、やっと租税額を云い出せたり、期日や約束を守ることなどを告げることができた。

○租賦 地税や人頭税。

 

是以賓客遊從之士,無所為而至。

こういうわけで、私の所に、賓客や交わり遊ぶ人士など、わざわざ来るものはなかったのである。

○無所為而至 為はわざわざ私のために来る人がない。「為にする所にして至る無し」と読む説もある。