お前が死んだのは病気で臥せていたところそのまま旅程に出されたために急病死させてしまった。旅中のことであるために仮埋葬で皮付きの傷つき材料の棺であり、数条の藤蔦でこれを縛ったようなもの、これを商山の麓に埋設したのだ。棺の白骨は定めてその寒さに耐えられるものではなかったであろう。
《去歲自刑部侍郎以罪貶潮州刺史,乘驛赴任,其後家亦譴逐小女,道死殯之層峰驛旁,山下蒙恩還朝,過其墓留題驛梁》韓愈(韓退之) Ⅱ中唐詩 <976> 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3864韓愈詩-269
年: 820年 元和十五年 53歲
卷別: 卷三四四 文體: 七言律詩
詩題: 去歲自刑部侍郎以罪貶潮州刺史,乘驛赴任,其後家亦譴逐小女,道死殯之層峰驛旁,山下蒙恩還朝,過其墓留題驛梁
【去歲自刑部侍郎以罪貶潮州刺史,乘驛之官,其後家亦譴逐小女,道死殯之層峰驛旁,山下蒙恩還朝,今過其墓留題驛梁】
【去歲自刑部侍郎以罪貶潮州刺史,乘驛之官,其後家亦譴逐小女,道死殯之層峰驛之,山下蒙恩還朝,今過其墓留題驛梁】
【去歲自刑部侍郎以罪貶潮州刺史,乘驛赴任,其後家亦譴逐小女,道死殯之層峰驛之,山下蒙恩還朝,今過其墓留題驛梁】
及地點: 潮州 (嶺南道東部 潮州 潮州) ・層峰驛 (山南東道 商州 上洛)
去歲自刑部侍郎以罪貶潮州刺史,乘驛赴任,其後家亦譴逐小女,道死殯之層峰驛旁,山下蒙恩還朝,過其墓留題驛梁
(去年は(元和14年正月)「論佛骨表」を上せしにより、刑部侍郎というものから、潮州刺史に貶られ、独り宿次の馬に乗り赴任した。その後、家族も都に留まってはならぬということで追い立てられ、相次いで旅程に上ったが、その途中、層峰驛の旁にて少女一人病死し、その山の下に仮埋葬しておいた。しかるに今次天恩を蒙って、長安に還されることとなり此の山下を通ることになったので、この詩を駅舎の梁上に題したのである。)
數條藤束木皮棺,草殯荒山白骨寒。
お前が死んだのは病気で臥せていたところそのまま旅程に出されたために急病死させてしまった。旅中のことであるために仮埋葬で皮付きの傷つき材料の棺であり、数条の藤蔦でこれを縛ったようなもの、これを商山の麓に埋設したのだ。棺の白骨は定めてその寒さに耐えられるものではなかったであろう。
驚恐入心身已病,扶舁沿路眾知難。
わたしはお前たちに先立って旅立たねばならず、病気のお前のこと、驚き、恐れて、心も身も心配をして出たのだ。お前は無理やり担がれて旅に出たのでとても難しいことだと誰もが思ったのである。
繞墳不暇號三匝,設祭惟聞飯一盤。
お前を伴って旅立つことが出来ず、お前のその時にあってやることもできず、勿論、墓を廻って慟哭、三匝してやることもできなかった。祀ってやるにも、一盤の飯を備えることしかできなかったことは可哀相で仕方なかったのである。
致汝無辜由我罪,百年慚痛淚闌干。
こんなことになった全ては私の大罪によるもので、お前に非は全くないのである。この慙痛の思いは修正消えるものではないもので、この涙は欄干としてたえずながれるのである。
去歲 刑部侍郎より罪を以って潮州刺史に貶められ,驛に乘じて赴任し,其の後家も亦た譴逐【けんちく】されて小女,道に死し之を層峰 驛旁に殯し,山下 恩を蒙って朝に還らんとし,其の墓を過りて驛梁【えきりょう】に留題す。
數條の藤は木皮の棺を束ね,荒山にして草殯【そうひん】して 白骨寒し。
驚恐 心に入って 身已に病み,扶舁【ふと】路に沿って 眾 難きを知る。
墳を繞って 號【さけ】んで三匝【さんきん】するに暇あらず,祭を設けて惟だ飯一盤を聞く。
汝 辜【つみ】無きを致すは我が罪に由る,百年 慚痛して 淚 闌干たり。
『去歲自刑部侍郎以罪貶潮州刺史,乘驛赴任,其後家亦譴逐小女,道死殯之層峰驛旁,山下蒙恩還朝,過其墓留題驛梁』 現代語訳と訳註
(本文)
去歲自刑部侍郎以罪貶潮州刺史,乘驛赴任,其後家亦譴逐小女,道死殯之層峰驛旁,山下蒙恩還朝,過其墓留題驛梁
數條藤束木皮棺,草殯荒山白骨寒。
驚恐入心身已病,扶舁沿路眾知難。
繞墳不暇號三匝,設祭惟聞飯一盤。
致汝無辜由我罪,百年慚痛淚闌干。
(下し文)
去歲 刑部侍郎より罪を以って潮州刺史に貶められ,驛に乘じて赴任し,其の後家も亦た譴逐【けんちく】されて小女,道に死し之を層峰 驛旁に殯し,山下 恩を蒙って朝に還らんとし,其の墓を過りて驛梁【えきりょう】に留題す。
數條の藤は木皮の棺を束ね,荒山にして草殯【そうひん】して 白骨寒し。
驚恐 心に入って 身已に病み,扶舁【ふと】路に沿って 眾 難きを知る。
墳を繞って 號【さけ】んで三匝【さんきん】するに暇あらず,祭を設けて惟だ飯一盤を聞く。
汝 辜【つみ】無きを致すは我が罪に由る,百年 慚痛して 淚 闌干たり。
(現代語訳)
(去年は(元和14年正月)「論佛骨表」を上せしにより、刑部侍郎というものから、潮州刺史に貶られ、独り宿次の馬に乗り赴任した。その後、家族も都に留まってはならぬということで追い立てられ、相次いで旅程に上ったが、その途中、層峰驛の旁にて少女一人病死し、その山の下に仮埋葬しておいた。しかるに今次天恩を蒙って、長安に還されることとなり此の山下を通ることになったので、この詩を駅舎の梁上に題したのである。)
お前が死んだのは病気で臥せていたところそのまま旅程に出されたために急病死させてしまった。旅中のことであるために仮埋葬で皮付きの傷つき材料の棺であり、数条の藤蔦でこれを縛ったようなもの、これを商山の麓に埋設したのだ。棺の白骨は定めてその寒さに耐えられるものではなかったであろう。
わたしはお前たちに先立って旅立たねばならず、病気のお前のこと、驚き、恐れて、心も身も心配をして出たのだ。お前は無理やり担がれて旅に出たのでとても難しいことだと誰もが思ったのである。
お前を伴って旅立つことが出来ず、お前のその時にあってやることもできず、勿論、墓を廻って慟哭、三匝してやることもできなかった。祀ってやるにも、一盤の飯を備えることしかできなかったことは可哀相で仕方なかったのである。
こんなことになった全ては私の大罪によるもので、お前に非は全くないのである。この慙痛の思いは修正消えるものではないもので、この涙は欄干としてたえずながれるのである。
(訳注)
去歲自刑部侍郎以罪貶潮州刺史,乘驛赴任,其後家亦譴逐小女,道死殯之層峰驛旁,山下蒙恩還朝,過其墓留題驛梁
(去年は(元和14年正月)「論佛骨表」を上せしにより、刑部侍郎というものから、潮州刺史に貶られ、独り宿次の馬に乗り赴任した。その後、家族も都に留まってはならぬということで追い立てられ、相次いで旅程に上ったが、その途中、層峰驛の旁にて少女一人病死し、その山の下に仮埋葬しておいた。しかるに今次天恩を蒙って、長安に還されることとなり此の山下を通ることになったので、この詩を駅舎の梁上に題したのである。)
○韓愈の第四女、女拏【じょだ】といい、歳は12歳であった。河陽の韓家の墓地に移された。
○層峰驛 商山の麓にあった駅。(g-4)長安から藍田を経て次の街である。元気なものなら数日の距離である。
○儒教の五経典に『易経』『書経』『詩経』『儀礼』『春秋』がある。そのなかの『儀礼(ぎらい)』は古代中国の官吏階級の通過儀礼である、冠礼、婚礼、喪礼、外交儀礼などを細かく規定したもので、中国の文化の規範としての役割を担ってきた。韓愈は儒者であり、これらにのとった埋葬ができなかったことを師にしたもの。
數條藤束木皮棺,草殯荒山白骨寒。
お前が死んだのは病気で臥せていたところそのまま旅程に出されたために急病死させてしまった。旅中のことであるために仮埋葬で皮付きの傷つき材料の棺であり、数条の藤蔦でこれを縛ったようなもの、これを商山の麓に埋設したのだ。棺の白骨は定めてその寒さに耐えられるものではなかったであろう。
○木皮棺 急ごしらえの棺と埋葬の場所をいう。小斂(死者を衣服でくるむ)の用意ができず、粗末なものでくるまった。
○草殯 仮埋葬をすること。
驚恐入心身已病,扶舁沿路眾知難。
わたしはお前たちに先立って旅立たねばならず、病気のお前のこと、驚き、恐れて、心も身も心配をして出たのだ。お前は無理やり担がれて旅に出たのでとても難しいことだと誰もが思ったのである。
○扶舁 1 (二人以上で)物を肩にのせて運ぶ。担がれて、かつぐ。2 だます。あざむく。車ではなく、運ばれたもので、数日で死に至ったもの。
繞墳不暇號三匝,設祭惟聞飯一盤。
お前を伴って旅立つことが出来ず、お前のその時にあってやることもできず、勿論、墓を廻って慟哭、三匝してやることもできなかった。祀ってやるにも、一盤の飯を備えることしかできなかったことは可哀相で仕方なかったのである。
○繞墳 哭の礼をするため、埋葬したところのまわりをぐるぐる回って弔うこと。
○號三匝 死者に衣服を贈る。死装束の準備。湯灌。死装束の着衣と依代。小斂(死者を衣服でくるむ)の用意。
○飯一盤 死者へ食べ物を捧げる
致汝無辜由我罪,百年慚痛淚闌干。
こんなことになった全ては私の大罪によるもので、お前に非は全くないのである。この慙痛の思いは修正消えるものではないもので、この涙は欄干としてたえずながれるのである。
○『荀子』礼論篇に、葬儀の意味について述べてある。
喪礼とは、死者に対し生者のように仕えるという意味をはっきりと知り、哀戚と恭敬の情を尽くして送葬し、手おちなく埋葬すること以外にない。だから埋葬とは、その形体を敬み葬ることであり、祭祀とは、その神霊に敬み仕えることであり、その銘(死者の名を書いた旗)と誄(るい=人の死を悼んで生前の徳などを追慕して述べる詞)と繋世とは、その名前を敬って後世に伝えることである。生きている人に仕える礼は始めを飾り、死んだ人を送る礼は、終わりを飾る。



































宿曾江口示姪孫湘,二首之二





