杜甫 園官送菜 #2
清晨蒙菜把,常荷地主恩。守者愆實數,略有其名存。苦苣刺如針,馬齒葉亦繁。
朝早く野菜を束にして、送ってきてくれた。というのも自分はいつも土地の主人たる都督の御恩を荷なっているからである。ところでどうしたのか管理官が実際の野菜の数をまちがえて、自分の手許へきた野菜をみると品物の名だけがあって実物がすくないのである。苦チシャは葉先に針の様な刺をしているし、スベリ莧の葉があり、それもよくしげるほどの物である。
767年-11-#2杜甫 《19-05 園官送菜》#2 杜甫詩index-15-767年大暦2年56歲-11-#2 <1092> 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ7140
杜甫詩1500-1092-1557-#2/2500
年:767年大暦2年56歲-11-#1
卷別: 卷二二一 文體: 五言古詩
詩題: 園官送菜
詩序: 并序:園官送菜把,本數日闕。矧苦苣、馬齒,掩乎嘉蔬,傷小人妒害君子,菜不足道也,比而作詩。
園官送菜 并序
(菜園を管理している役人が野菜束を送ってきた)
園官送菜把,本數日闕。
都督の菜園を管理している役人が野菜束を送ってきた。本来その送り方は二三日のあいだ中止されていたのである。
矧苦苣、馬齒,掩乎嘉蔬,
その上でいま送ってきたのをみると苦苣だの、馬齒だのがよい野菜のうえにかぶせられてある。
傷小人妒害君子,
自分は之を見て小人が君子を妬み害うことを傷み悲むのである。
菜不足道也,
野菜ごときは言うに足らぬのである。
比而作詩。
それでたとへて此の詩を作った。
園官菜把を送る幷に序
園官菜把を送る,本 數日 闕かぬ。
矧んや苦苣、馬齒,嘉蔬を掩うや,
小人の君子を妒害するを傷む,
菜は道うに足らざる也,
比して詩を作る。
#2
清晨蒙菜把,常荷地主恩。
朝早く野菜を束にして、送ってきてくれた。というのも自分はいつも土地の主人たる都督の御恩を荷なっているからである。
守者愆實數,略有其名存。
ところでどうしたのか管理官が実際の野菜の数をまちがえて、自分の手許へきた野菜をみると品物の名だけがあって実物がすくないのである。
苦苣刺如針,馬齒葉亦繁。
苦チシャは葉先に針の様な刺をしているし、スベリ莧の葉があり、それもよくしげるほどの物である。
#2
清晨 菜把を蒙る,常に地主の恩を荷う。
守者 實數を愆【あやま】る,略【ほ】ぼ 其の名の存する有り。
苦苣 刺 針の如し,馬齒 葉 亦た繁し。
#3
青青嘉蔬色,埋沒在中園。
園吏未足怪,世事固堪論。
嗚呼戰伐久,荊棘暗長原。
#4
乃知苦苣輩,傾奪蕙草根。
小人塞道路,為態何喧喧。
又如馬齒盛,氣擁葵荏昏。
點染不易虞,絲麻雜羅紈。
#5
一經器物內,永挂粗刺痕。
志士采紫芝,放歌避戎軒。
畦丁負籠至,感動百慮端。
『園官送菜 并序』 現代語訳と訳註解説
(本文)
#2
清晨蒙菜把,常荷地主恩。
守者愆實數,略有其名存。
苦苣刺如針,馬齒葉亦繁。
(下し文)
#2
清晨 菜把を蒙る,常に地主の恩を荷う。
守者 實數を愆【あやま】る,略【ほ】ぼ 其の名の存する有り。
苦苣 刺 針の如し,馬齒 葉 亦た繁し。
(現代語訳)
#2
朝早く野菜を束にして、送ってきてくれた。というのも自分はいつも土地の主人たる都督の御恩を荷なっているからである。
ところでどうしたのか管理官が実際の野菜の数をまちがえて、自分の手許へきた野菜をみると品物の名だけがあって実物がすくないのである。
苦チシャは葉先に針の様な刺をしているし、スベリ莧の葉があり、それもよくしげるほどの物である。
(訳注) #2
園官送菜 并序
(菜園を管理している役人が野菜束を送ってきた)
1 園官 菜園を管理する吏官。
清晨蒙菜把,常荷地主恩。
朝早く野菜を束にして、送ってきてくれた。というのも自分はいつも土地の主人たる都督の御恩を荷なっているからである。
9 地主 土地の主人、夔州の都督柏茂琳をさす。柏茂琳ほ大暦元年八月には卭南節度であったが、其の夔州に到りしは、元年と二年の交にあるようである。
守者愆實數,略有其名存。
ところでどうしたのか管理官が実際の野菜の数をまちがえて、自分の手許へきた野菜をみると品物の名だけがあって実物がすくないのである。
10 守者 番人、即ち農園の管理官をいう。
11 其名存 野菜の品名と実物。
苦苣刺如針,馬齒葉亦繁。
苦チシャは葉先に針の様な刺をしているし、スベリ莧の葉があり、それもよくしげるほどの物である。
5 苦苣 キク科の一年草で、野菜である。和名はキクヂシャ。ニガチシャという別名もある。同じキクニガナ属の多年生野菜チコリーと同様に独特の苦みがあるが、見かけはチコリーと違い非結球レタスに似ている。又称苦菊,为菊科菊苣属的植物,是一种栽培菊苣。
6 馬齒 五行草の一つ。葉が青く、梗は赤く、花は黄色、根は白く、実は黒く、食べると少し酸味が強い。スベリヒユは、スベリヒユ科スベリヒユ属の多年生植物。
同属にはマツバボタンなどが知られる。
杜甫 『園官送菜 并序』【字解】
園官送菜 并序:園官送菜把,本數日闕。矧苦苣、馬齒,掩乎嘉蔬,傷小人妒害君子,菜不足道也,比而作詩。
清晨蒙菜把,常荷地主恩。守者愆實數,略有其名存。苦苣刺如針,馬齒葉亦繁。
青青嘉蔬色,埋沒在中園。園吏未足怪,世事固堪論。嗚呼戰伐久,荊棘暗長原。
乃知苦苣輩,傾奪蕙草根。小人塞道路,為態何喧喧。又如馬齒盛,氣擁葵荏昏。
點染不易虞,絲麻雜羅紈。一經器物內,永挂粗刺痕。志士采紫芝,放歌避戎軒。
畦丁負籠至,感動百慮端。
1 園官 菜園を管理する吏官。
2 菜把 野菜束
3 本 本来。
4 數日闕 数日間、中止されていた。
5 苦苣 キク科の一年草で、野菜である。和名はキクヂシャ。ニガチシャという別名もある。同じキクニガナ属の多年生野菜チコリーと同様に独特の苦みがあるが、見かけはチコリーと違い非結球レタスに似ている。又称苦菊,为菊科菊苣属的植物,是一种栽培菊苣。
6 馬齒 五行草の一つ。葉が青く、梗は赤く、花は黄色、根は白く、実は黒く、食べると少し酸味が強い。スベリヒユは、スベリヒユ科スベリヒユ属の多年生植物。
同属にはマツバボタンなどが知られる。
7 掩乎嘉蔬 良い野菜で覆い隠す。
8 比 たとえることをいう。
9 地主 土地の主人、夔州の都督柏茂琳をさす。柏茂琳ほ大暦元年八月には卭南節度であったが、其の夔州に到りしは、元年と二年の交にあるようである。
10 守者 番人、即ち農園の管理官をいう。
11 其名存 野菜の品名と実物。
園人送瓜
江間雖炎瘴,瓜熟亦不早。柏公鎮夔國,滯務茲一掃。
食新先戰士,共少及溪老。傾筐蒲鴿青,滿眼顏色好。
竹竿接嵌竇,引注來鳥道。沈浮亂水玉,愛惜如芝草。
落刃嚼冰霜,開懷慰枯槁。許以秋蒂除,仍看小童抱。
東陵跡蕪絕,楚漢休征討。園人非故侯,種此何草草。
杜甫 園人送瓜【字解】
1 園人 都督の管理の農園の係の吏人。
2 柏公 柏茂琳。
3 鎮夔國 夔州の軍務の長官となることをいう。
4 滯務 事務の仕事が溜まっている。
5 食新 初物、旬のものをたべる。
6 共少 数の少ないものを衆人とともに分け、分配する。
7 溪老 渓居の老人、杜甫のこと。
8 傾筐 目を細かく編んだ竹かご。堅間(かたま)。勝間(かつま)。「花筐」傾とあるのは背中に背負うのにいいようにしたが凋んでいる畚であろう。
9 蒲鴿 あおはと、であるが、杜甫が此処で使ったことから、こののち青瓜をこう呼ぶようになっている。
10 接嵌竇 岩の間から染み出ている水に差しこんで水を竹竿で接続して引水する。
11 來鳥道 高いところへ続く人が歩く道ではなく、鳥が通るほどの水が作ったの道のようなもの。
12 水玉 引水が傾筐や、水だまりに落ちて飛び散るときの水の玉。
13 芝草 靈芝や薬草、杜甫は成都ではこれを集めて南市に売りに行っていたこともあって詳しい。
14 落刃 瓜を刃物できること。
15 嚼冰霜 瓜に肩の葉を入れた時の果肉の切れるときの表現。
16 慰枯槁 自分のような枯れかかったものにはそのみずみずしさが胸にしみこみ開かれるようで老境をなぐさめてくれるというほどの意。
17 許以 園人が杜甫に対して(瓜を持ってきてあげることを)予約することを言う。
18 秋蒂除 秋になって熟して来たら蔓に帯びてなっている瓜を切りとる。
19 仍看 瓜が熟したその時、また今回の様に瓜を見ることができる。
20 小童抱 管理園の下僕に抱きかかえて持ってこさせる。
21 東陵 東陵の五色の瓜の故事。長安城の東に出る南斗第一の門を霸城門という。民間では、門が青いことから青城門と呼んでいる。
門外には佳い瓜がなっている。廣陵の人、邵平が秦の東陵侯になったが、秦が滅亡すると 一般人になった。そこで彼は瓜の種を青城門の外に植えた。この瓜は美味である。 この瓜は五色有り、その邵平の故事に因んで東陵瓜と呼ばれている。『廟記』曰く、霸城門は青綺門とも呼ばれている。
22 楚漢休征討 楚漢戦争の終結を言う。この戦争終結を以て秦が滅亡したことで、邵平が一般人になり、五色の瓜を作り、青綺門で瓜を売ることができた。この句は、瓜についての勿体、嬉しさ、などを表現するための二句で、杜甫の人間性を表した句といえるのである。
この二句は、諸説あって、評価されなかった二句であるが、この二句こそ杜甫研究をするものにとってその研究の深さ、度合いを測る重要な二句なのである。杜甫は、戦争から逃げ回ってこの菱州にたどり着いている、平和の象徴のように思えて瓜をこのように表現解釈するということが杜甫の人間性を理解するうえでも大切なことである。杜甫の詩を何度も何度も読み返したものでこそこの二句が理解できるというものである。
23 故侯 秦の東陵侯、邵平をいう。
24 種此 瓜を植えること。
25 草草 心労する顔つきをいう。《詩經、小雅、巷伯》「驕人好好、勞人草草。蒼天蒼天、視彼驕人、矜此勞人。」(驕人は好好たり、勞人は草草たり。彼の驕人を視よ、此の勞人を矜【あわれ】め。)高ぶって悪口いって有頂天、悪口いわれてしょんぼりと。悪口いった奴をよく見張れ、悪口言われた人を不憫がれ。
詩文(含異文): 清晨蒙菜把【清晨送菜把】,常荷地主【案:即送〈瓜詩〉柏都督。】恩。守者愆實數,略有其名存。苦苣刺如針【褊苣刺如針】,馬齒【案:莧類。】葉亦繁。青青嘉蔬色,埋沒在中園【埋沒自中園】。園吏未足怪,世事固堪論【世事因堪論】。嗚呼戰伐久,荊棘暗長原。乃知苦苣輩,傾奪蕙草根。小人塞道路,為態何喧喧。又如馬齒盛,氣擁葵荏昏。點染不易虞,絲麻雜羅紈。一經器物內【一經氣物內】,永挂粗刺痕。志士采紫芝,放歌避戎軒。畦丁負籠至,感動百慮端。















