「封雨書懐走邀許圭簿」 杜甫 紀頌之の漢詩ブログ杜甫詩 特集  5 (青年期の詩)

雨を眺めながらおもうところを書き付け、使いを走らせ許主簿をむかえたことをのべている。
737年開元25年26歳五言律詩。杜甫が引き続き兗州方面、任城に赴き寓居していて言伝を送って許氏を迎えた。前の 杜甫4任城の南池に同遊した詩 とともに任城での作とする。

封雨書懐走邀許圭簿
雨に対して懐を書し、走らせて許主簿を邀むか
東嶽雲峰起,溶溶滿太虛。
泰山の頂に雲の峰が沸き起こったかとおもうと。 それが並々と大空一面にひろがった。
震雷翻幕燕,驟雨落河魚。
ごろごろととどろく宵とともに幕のあたりの燕は身をかわして飛び。 ざあっとふりそそぐ雨に川魚がふってくる。座對賢人酒,門聽長者車。
このとき自分は座席で濁酒にむかいながら  だれか長者の車の音が門の方から聞こえてくるか側耳を立てて相手のことをと思っている。 
相邀愧泥濘,騎馬到階除。

途中さぞぬかるみでお困りであったろう 貴兄は馬に騎って我が家の培除までやってこられた  


使いを走らせて書(言伝)したので、大雨が降ってきたけれど許主簿をお邀むかえしている

泰山の頂に雲の峰が沸き起こったかとおもうと。 それが並々と大空一面にひろがった。 
ごろごろととどろく宵とともに幕のあたりの燕は身をかわして飛び。 ざあっとふりそそぐ雨に川魚がふってくる。 
このとき自分は座席で濁酒にむかいながら  だれか長者の車の音が門の方から聞こえてくるか側耳を立てて相手のことをと思っている。 
途中さぞぬかるみでお困りであったろう 貴兄は馬に騎って我が家の培除までやってこられた  


雨に対して懐を書し、走らせて許主簿を邀う
東嶽 雲蜂 起る 溶溶として 太虛に滿つ。
震雷に幕燕 翻り 驟雨に 河魚落つ。
座に對す 賢人酒,門に 聽かんとす 長者の車。
相邀うる泥濘を愧(はず) 馬に騎って階除に到る。

封雨書懐走邀許圭簿
雨に対して懐を書し、走らせて許主簿を邀むか

書懐 我が胸にいだくおもいをかきつける。これは主として第六旬をさす。○走逝 走とは使者を走らせや
ること、逝はむかえとること。○許主簿 任城の許主簿のこと。
taigennankin88

東嶽雲峰起、溶溶滿太虛
泰山の頂に雲の峰が沸き起こったかとおもうと。 それが並々と大空一面にひろがった。 
東岳 泰山をさす。杜甫は洛陽、長安を起点にしている。この詩の地点からはほぼ北(北北東)にある。 ・雲峰 峰のさまをしている雲。 ・溶溶 満々と水を湛えている様子。 ・太虚 おおぞら。

震雷翻幕燕、驟雨落河魚
ごろごろととどろく宵とともに幕のあたりの燕は身をかわして飛び。 ざあっとふりそそぐ雨に川魚がふってくる。 
震雷 とどろくかみなり。・幕燕 幕ちかく巣くったつばめ ・驟雨 にわかあめ、夕立。 ・ 竜巻きなどにあい、虚空にのぼって更に地上に落ちること。・河魚 河に住んでいる魚。

座對賢人酒、門聽長者車。
このとき自分は座席で濁酒にむかいながら  だれか長者の車の音が門の方から聞こえてくるか側耳を立てて相手のことをと思っている。 
賢人酒 魂の曹操の時、酒を禁じた。ところが、世人は口に酒というのをはばかって、白酒(にごりざけ)を賢人といい、清酒(すんださけ)を聖人といったという。 ・長者車 漢の陳平の故事を用いる。陳平がまだ貧しくくらしていたときに、その門外には長者(すぐれた人)の車の轍が多かったという。「陳平がお迎えに来てくれるのを待つ」時のことを長者車という。・ とは実際にきくのではなく、心まちにきくこと。故に「きかんとす」といふほどの意である。長者は許主簿にあてていったもので、題にいう書懐のこと。長者 長上のものに対する敬称。貴兄。


相邀愧泥濘、騎馬到階除。
途中さぞぬかるみでお困りであったろう 貴兄は馬に騎って我が家の培除までやってこられた  
・相逝 先方をむかえること。○泥浮 ぬかるみ。夕立のあとゆえに路がわるい。
 ・騎馬 許主簿が馬にのってくること。 ・階除 階はきざはし、除は階のそばの土縁、杜甫の寓居のきざはしをいう。