龍門 杜甫 紀頌之の漢詩ブログ杜甫詩 特集  14

東都(洛陽)にあって竜門に遊んだときの感想をのべた作。
天宝1載 742年 31歳

龍門
龍門橫野斷,驛樹出城來。
竜門の峡谷はづっと続いている平野を断絶している、そこに通じる並木道は城中からここまでずっとつながっている
氣色皇居近,金銀佛寺開。
こころの雲気からすると東都の皇城は間近にあり、そこら随所に金銀で飾った寺院があるので心が開かれる。
往還時屢改,川陸日悠哉!
自分はたびたびここへ遊びにくるのであるが、行き来するごとに道を変えているので、附近の陸地や河川というものはいつもどおり存続していてかわらぬものだ。
相閱徵途上,生涯盡幾囘。
よくよく考えてみるとここをとおる旅人が、一生のうちにここへは何度も来ることができるというのか。

竜門の峡谷はづっと続いている平野を断絶している、そこに通じる並木道は城中からここまでずっとつながっている
こころの雲気からすると東都の皇城は間近にあり、そこら随所に金銀で飾った寺院があるので心が開かれる。
自分はたびたびここへ遊びにくるのであるが、行き来するごとに道を変えているので、附近の陸地や河川というものはいつもどおり存続していてかわらぬものだ。
よくよく考えてみるとここをとおる旅人が、一生のうちにここへは何度も来ることができるというのか。


(下し文)
竜門 野に横りて断ゆ 駅樹 城を出でて乗る
気色 皇居近し 金銀 仏寺 開く
往来 時に屡(しばしば)改まる 川陸 日に悠なる哉
相閱(けみ)す征途の上 生涯 幾回にか尽く


龍門
○竜門 洛陽の東南、伊河に臨む名勝龍門の奉先寺。前に杜甫2「遊龍門奉先寺」参照
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洛陽と竜門の位置関係地図。

龍門橫野斷,驛樹出城來。
竜門の峡谷はづっと続いている平野を断絶している、そこに通じる並木道は城中からここまでずっとつながっている。
横野断 断とは竜門の渓谷が断絶することをいう、横野とは遠くはるかな平野につらなってみえるさま。○駅樹 竜門の駅にならんでいる並木。○出城来 城は洛陽城、出城来とは並木が城中より城外の駅道に接続している様子のことをいう。

氣色皇居近,金銀佛寺開。 
こころの雲気からすると東都の皇城は間近にあり、そこら随所に金銀で飾った寺院があるので心が開かれる。
氣色皇居近,金銀佛寺開。 此の二句は対をなしているが一貫してみるべきである。○気色 こころの雲気。ようす。きぶん。気象。○皇居 洛陽(東都)にあった皇帝の宮殿。○金銀 寺の装飾をいう、竜門には多くの寺がある。

往還時屢改,川陸日悠哉
自分はたびたびここへ遊びにくるのであるが、行き来するごとに道を変えているので、附近の陸地や河川というものはいつもどおり存続していてかわらぬものだ。
往還時屢改,川陸日悠哉。 此の二句も対をなしているが一貫してみるべきである。往来とは通常、洛陽は大都市で、幹線道路をいう、改とは道路が左右上下に変ることをいう。ここは杜甫がこの地に行き来する道がその都度変わることを指す。○川陸 川水と陸地、川とは伊河をさす。○悠哉 悠々として長く存続すること。

相閱徵途上,生涯盡幾囘。
よくよく考えてみるとここをとおる旅人が、一生のうちにここへは何度も来ることができるというのか。
相閱 しらべてみる。よくよく考える。○征途 たびじ。行く先を定めてそこに至ることを示す。杜甫は征伐・征服の征をよく使用する。○生涯 一生の間。○尽 おわる。○幾回 ここに行き来することの幾回になるのかをいう。