前出塞九首 其七 杜甫 :紀頌之の漢詩ブログ 誠実な詩人杜甫特集 46
天宝10載751年 40歳

前出塞九首 其七
驅馬天雨雪,軍行入高山。
我が軍隊が馬を駆ってでかけると天から雪がふってきた。このとき軍隊は高い山の中へ入ってきたのだ。
逕危抱寒石,指落曾冰間。
あぶなそうな山中の細道は冬の石を抱いている、指が凍傷にかかって冰層の割れ目に落ちていった。
已去漢月遠,何時築城還?
もはや本国をはなれてから唐の本国で見る月とは遠く隔たってきた、いったいいつになったらここに築城し終えてかえることができるのだろう。
浮雲暮南徵,可望不可攀。

大空に浮んだ雲は夕方になると南故郷の方へと移り行った、それは眺めることだけのことで攀じ登ることができないのである。


我が軍隊が馬を駆ってでかけると天から雪がふってきた。このとき軍隊は高い山の中へ入ってきたのだ。
あぶなそうな山中の細道は冬の石を抱いている、指が凍傷にかかって冰層の割れ目に落ちていった。
もはや本国をはなれてから唐の本国で見る月とは遠く隔たってきた、いったいいつになったらここに築城し終えてかえることができるのだろう。
大空に浮んだ雲は夕方になると南故郷の方へと移り行った、それは眺めることだけのことで攀じ登ることができないのである。



馬を駆れば天雪を雨らす、軍行いて高山に入る。
逕危くして寒石を抱く、指は落つ曾氷の間。
己に去って漢月遠し、何の時か城を築きて還らん。
浮雲碁に南に征く、望む可くして攀ず可からず。




驅馬天雨雪,軍行入高山。
我が軍隊が馬を駆ってでかけると天から雪がふってきた。このとき軍隊は高い山の中へ入ってきたのだ。
 空からあめの降るようにふる。 人に施しを与える。



逕危抱寒石,指落曾冰間。
あぶなそうな山中の細道は冬の石を抱いている、指が凍傷にかかって冰層の割れ目に落ちていった。
・逕 細道。こみち。 ・ 崖の土が石をはらんで今にもおちそうにある。・指落 凍傷にかかっておちる。○曾冰 曾は層と同じ、つみかさなった氷。



已去漢月遠,何時築城還?
もはや本国をはなれてから唐の本国で見る月とは遠く隔たってきた、いったいいつになったらここに築城し終えてかえることができるのだろう。
 離れ去る。○漢月 漢の月とは唐の月、本国の月をいう。



浮雲暮南徵,可望不可攀。
大空に浮んだ雲は夕方になると南故郷の方へと移り行った、それは眺めることだけのことで攀じ登ることができないのである。
南征 南とは故郷のある方位、征はゆくこと。○ よじのぼる、よじのぼることができたら南へつれていってもらう。


出塞のものがたり
751年天宝十年、杜甫はすでに四十歳になった。前年には長男の宗文が生まれており、杜甫の心の中には、ここらでどうしても仕官しなければ、という焦りがあった。この年「三大礼の賦」を作り、投書箱を通して直接に天子に奉っている。
この投書箱は則天武后のときに作られた制度によるもので、その箱には四面に口があり、東は「延恩」、西は「伸冤」、南は「招諌」、北は「通玄」と名づけられており、自分の才能を信じて立身を願う者は、このうち「延恩」の口にその作品を投ずるというものであった。
経済的に追いつめられた杜甫の求職運動はますます激しく、誰彼の見さかいもなく高位高官のもとを訪れ、その推挙を依頼してまわっている。たとえば、753年天宝十二年には、楊国忠にこの頃、京兆尹(長安市長)に引き上げてもらい、成り上がりの鮮干仲通に詩を奉り、宰相の楊国忠に推薦してくれるように頼んでいる。