陪鄭広文遊何将軍山林十首 其二 杜甫 :kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 誠実な詩人杜甫特集 56

753年天宝12載 42歳  五言律詩



陪鄭広文遊何将軍山林十首 其二
百頃風潭上,千章夏木清。
百頃ばかりの面積の風をうける池のほとりに千本ほどの夏木立ちが清らかにしげっている。
卑枝低結子,接葉暗巢鶯。
木立ちのひくい枝はたれさがって実をむすんでいるし、くっつきあった葉かげの暗いところに鶯が巣をくっている。
鮮鯽銀絲膾,香芹碧澗羹。
新鮮な「ふな」で銀糸のようななますにされていた、澄んだ石清水でつくられた香ばしい「せり」のお汁をだされる。
翻疑柁樓底,晩飯越中行。

今屋形船の底の部屋で晩めしをたべているとなんだか、昔年、浙江地方を旅したときのようにおもわれてならない。



百頃ばかりの面積の風をうける池のほとりに千本ほどの夏木立ちが清らかにしげっている。
木立ちのひくい枝はたれさがって実をむすんでいるし、くっつきあった葉かげの暗いところに鶯が巣をくっている。
新鮮な「ふな」で銀糸のようななますにされていた、澄んだ石清水でつくられた香ばしい「せり」のお汁をだされる。
今屋形船の底の部屋で晩めしをたべているとなんだか、昔年、浙江地方を旅したときのようにおもわれてならない。


百頃(ひゃくけい) 風潭(ふうたん)上  千章 夏木清し
卑枝は低くして子を結び 接葉は暗くして鶯を巣しむ
鮮鯽(せんそく) 銀糸の膾(なます) 香芹(こうきん)碧澗(へきかん)の羮(あつもの)
翻って疑う 柁楼(だろう)の底(そこ) 晩飯(ばんはん)越中(えつちゅう)を行くかと



百頃風潭上,千章夏木清。
百頃ばかりの面積の風をうける池のほとりに千本ほどの夏木立ちが清らかにしげっている。
百頃 けい頃は凡そ百畝の面積をいう。○風潭 風のふきわたるふち。池もある盆地のようなところの峠の風の通り道。○千章 千本。



卑枝低結子,接葉暗巢鶯。
木立ちのひくい枝はたれさがって実をむすんでいるし、くっつきあった葉かげの暗いところに鶯が巣をくっている。
卑枝 木のひくいところから出ているえだ。○ 下に向いてさがる。○ 木の実。○接葉 くっつきあった葉。○ 葉かげのくらいこと。



鮮鯽銀絲膾,香芹碧澗羹。
新鮮な「ふな」で銀糸のようななますにされていた、澄んだ石清水でつくられた香ばしい「せり」のお汁をだされる。
鮮鯽 せんそく 新鮮なふな。○銀糸膾 銀の糸筋のような千切りなます。○香芹 香高いせり。○碧澗 岩間の澄んだ水。○ あつもの、お汁。



翻疑柁樓底,晩飯越中行。
今屋形船の底の部屋で晩めしをたべているとなんだか、昔年、浙江地方を旅したときのようにおもわれてならない。
柁樓 舵取りの付いた屋形船。○晩飯 夕食。○越中 越の国、今の浙江省地方。杜甫は二十歳の頃に呉越の地方に周遊したが、詩としては、56歳の時夔州での作「壮遊」に
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王謝風流遠、闔閭丘墓荒。
剣池石壁仄、長洲芰荷香。
嵯峨閶門北、清廟映迴塘。
毎趨呉太伯、撫事涙浪浪。
蒸魚聞匕首、除道哂耍章。
枕戈憶勾踐、渡浙想秦皇。
越女天下白、鑑湖五月涼。
剡渓蘊秀異、欲罷不能忘。
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(詩の大意)
晋の王導や謝安の風流は遠くへだたり、呉王闔閭の墓は荒れていた
剣池には 石の壁が傾きかかり、長洲苑には菱や蓮の花が匂っている
高く聳える閶門の北、清らかな廟が  まわりの池に影をさす
呉太伯の塚に参るたびに、昔を想って涙はつきない
魚腹に匕首を隠した専諸の故事を聞き、故郷に錦を飾る朱買臣の話をおかしく思う
戈を枕にした越王勾踐のことを憶い、浙江を渡れば始皇帝の昔を想う
越の女は天下に聞こえた色白の美人、鑑湖のあたりは五月であるのに涼しいと感ずる
剡渓には山水の奇勝があつまり、想い出は忘れようとしても忘れられない
とある