陪鄭広文遊何将軍山林十首 其三 杜甫 :kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 誠実な詩人杜甫特集 57

753年天宝12載 42歳  五言律詩


陪鄭広文遊何将軍山林十首其三
萬裡戎王子,何年別月支。
戎王子の花は万里の遠くからやってきた、故国の月支に別れをつげたのはいつの年なのか。
異花開絕域,滋蔓匝清池。
その異なった花はずっと地の果てに開いていたものだ、いま蔓をしげりはびこらせているのはこの清らかな池をめぐるあたりだ。
漢使徒空到,神農竟不知。
むかし西域に使いにいった漢の使者はただ行き着いただけでいい草花を持ち帰ることができなかった、さすがの神農さまがついにその草花のことはご存じでなかったのだ。
露翻兼雨打,開坼日離披。

露さえひるがえされ、そのうえ雨に打たれたりしていたが、花を押し開くことは日ごとにしどけなく咲き乱れてきている。



戎王子の花は万里の遠くからやってきた、故国の月支に別れをつげたのはいつの年なのか。
その異なった花はずっと地の果てに開いていたものだ、いま蔓をしげりはびこらせているのはこの清らかな池をめぐるあたりだ。
むかし西域に使いにいった漢の使者はただ行き着いただけでいい草花を持ち帰ることができなかった、さすがの神農さまがついにその草花のことはご存じでなかったのだ。
露さえひるがえされ、そのうえ雨に打たれたりしていたが、花を押し開くことは日ごとにしどけなく咲き乱れてきている。


万里戎王子 何の年か月支に別れし
異花絶域より来り 滋葦清池を匝る
漢使徒に空しく到る 神農寛に知らず
露翻兼ねて雨打 開折 日々に離披たり



萬裡戎王子,何年別月支。
戎王子の花は万里の遠くからやってきた、故国の月支に別れをつげたのはいつの年なのか。
戎王子 草花の名。うどの類であるとの説があるが未詳。〇月支 漢代、西域にあった国の名。



異花開絕域,滋蔓匝清池。
その異なった花はずっと地の果てに開いていたものだ、いま蔓をしげりはびこらせているのはこの清らかな池をめぐるあたりだ。
異花 めずらしい花、即ち戎王子をさす。○絶域 かけはなれた地方、即ち月支をさす。○滋蔓 しげりはびこる。

漢使徒空到,神農竟不知。
むかし西域に使いにいった漢の使者はただ行き着いただけでいい草花を持ち帰ることができなかった、さすがの神農さまがついにその草花のことはご存じでなかったのだ。
漢使 漢の張憲のこと。紀元前二世紀のころ、武帝の命を受けて中央アジアを探険し、諸国との交通を開き、葡萄、天馬、その他種々のものを将来した。○徒空 到いたずらにその地に到ったというのは此のような異草をたずさえてこなかったということ。○神農 中國上代の皇帝の名。医薬の神とされ、百草をなめて人間の食物と薬草とを定めた「本草経」を著わしたとする。○竟不知 知らずというのは本草経に戎王子の草名が録掲載されていないことをしめす。

露翻兼雨打,開坼日離披。
露さえひるがえされ、そのうえ雨に打たれたりしていたが、花を押し開くことは日ごとにしどけなく咲き乱れてきている。
露翻 露さえひるがえされる。○ また。そのうえ。〇雨打 雨にうたれる。 ○開折 花が押し開くこと。花がおし琶かれること。○離披 しどけなく咲きみだれるさま。

○韻 支・池・知・披。