陪鄭広文遊何将軍山林十首 其九 杜甫 :kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 誠実な詩人杜甫特集 63

753年天宝12載 42歳  五言律詩


陪鄭広文遊何将軍山林十首 其九
牀上書連屋,階前樹拂雲。
寝台の上には書物が屋根に届かんばかりに積まれてあり、建物前の階の前には樹木が雲を払うほどに鬱蒼と立っている。
將軍不好武,稚子總能文。
将軍は武人でありながら武を好まれぬかたなであり、そのため幼な子までもがすべて文学がよくできる。
醒酒微風入,聽詩靜夜分。

酒の酔いを醒ますため微風に当たり体に当て吹きこみ、詩に耳を傾けていると静かに夜がふけてゆくのである。

絺衣掛蘿薜,涼月白紛紛。

細麻の衣を庭のつたかずらに掛けておいたが、その上には涼しい月が蔓の葉に白い光をさんさんとふりまいている。


寝台の上には書物が屋根に届かんばかりに積まれてあり、建物前の階の前には樹木が雲を払うほどに鬱蒼と立っている。
将軍は武人でありながら武を好まれぬかたなであり、そのため幼な子までもがすべて文学がよくできる。
酒の酔いを醒ますため微風に当たり体に当て吹きこみ、詩に耳を傾けていると静かに夜がふけてゆくのである。

細麻の衣を庭のつたかずらに掛けておいたが、その上には涼しい月が蔓の葉に白い光をさんさんとふりまいている。


牀上 書は屋に連なり  階前 樹は雲を払う
将軍は武を好まず  稚子は総べて文を能くす
酒を醒まさんとして微風入り 詩を聴けばかんとして静夜分かる
稀衣 蘿薜に掛くれば  涼月 紛紛に白たり



牀上書連屋,階前樹拂雲。
寝台の上には書物が屋根に届かんばかりに積まれてあり、建物前の階の前には樹木が雲を払うほどに鬱蒼と立っている。
牀上 牀は坐榻であろう。 寝台。中国の寝台は大きくて広く、日本の居間の用をもなす。 ○ 書籍。○連屋 屋根の方までつらなる、高くつまれてあることをいう。○ きざはし。○払雲 雲をはらってそのうえまでそびえる。



將軍不好武,稚子總能文。
将軍は武人でありながら武を好まれぬかたなであり、そのため幼な子までもがすべて文学がよくできる。
将軍 何氏をさす。○稚子 おさなく何将軍の児をいう。



醒酒微風入,聽詩靜夜分。
酒の酔いを醒ますため微風に当たり体に当て吹きこみ、詩に耳を傾けていると静かに夜がふけてゆくのである。
聴詩 詩を詞するのをきくこと。詞するものは必ず何氏の子弟であろう。○夜分 分とは前日と翌日との中分することで夜半になることをいう。



絺衣掛蘿薜,涼月白紛紛。
細麻の衣を庭のつたかずらに掛けておいたが、その上には涼しい月が蔓の葉に白い光をさんさんとふりまいている。
絺衣 絺衣は暑さのとききるひとえの衣。絺はほそくこまかく織ったくず布。○掛蘿薜 蘿薜はつたかずらの類、掛とは我が衣をぬいでそれにひきかけることをいう。仇氏は蘿薜の影が我が衣上にかかると説く。○涼月 すずしそうな月のひかり。○紛紛 葉蔓にさす月光のゆらいでみだれるさま。