重過何氏五首 其一 杜甫 :kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 誠実な詩人杜甫特集 68(就職活動中 杜曲の家)

753年天宝13載、春43歳。


この年、長安は日照りと水害に交互に見舞われた。これまで奉天県令の父杜閑の援助があったので、かろうじて妻子と杜甫が浪人暮らしができた。その父が死去し、父の後妻とその子など、十人の大家族になっている。暮らしは更に大変で、知人の助けで、城内から田舎(長安南郊の少陵原の杜曲に家を借る)に移った。
 杜曲に転居して間もない晩春のころに、杜甫は何将軍に書簡を書いた。住所の移転などを伝えたのだろう。
しばらくして何将軍から遊びに来ないかという返事が届き、杜甫は大喜びで出かけていった。

前に何将軍の山林に遊んだ詩十首(9/9~9/18のブログ)があるが、これはふたたび遊んで作ったものである。製作時は、前遊は夏であり、此の遊は天宝十三載の春である。


重過何氏五首 其一
問訊東橋竹,將軍有報書。倒衣還命駕,高枕乃吾廬。
花妥鶯捎蝶,溪喧獺趁魚。重來休沐地,真作野人居。

其二
山雨尊仍在,沙沈榻未移。犬迎曾宿客,鴉護落巢兒。
雲薄翠微寺,天清皇子陂。向來幽興極,步屣過東籬。

其三
落日平臺上,春風啜茗時。石欄斜點筆,桐葉坐題詩。
翡翠鳴衣桁,蜻蜓立釣絲。自今幽興熟,來往亦無期。

其四
頗怪朝參懶,應耽野趣長。雨拋金鎖甲,苔臥綠沈槍。
手自移蒲柳,家才足稻粱。看君用幽意,白日到羲皇。

其五
到此應常宿,相流可判年。蹉跎暮容色,悵望好林泉。
何日沾微祿,歸山買薄田?斯遊恐不遂,把酒意茫然。




杜甫68 五言律詩
重過何氏五首 其一

問訊東橋竹、将軍有報書。
若竹の季節になりましたが東橋の竹はいかがな様子でしょうと尋ねやったところ、将軍から竹は今盛りだ遊びに来ないかとの返事があった。
倒衣還命駕、高枕乃吾廬。
よろこびすぎて着物をさかさに着たりしながらも、逡巡しながらもまた、馬の支度をして出かけてきたのだが、この山荘では枕を高くして寝ることができわが家のような気やすさをおぼえた。
花妥鶯捎蝶、渓喧獺趁魚。
花が垂れ落ちるかと見えたのは鶯にたたき落とされた蝶々であった、谷川のせせらぎがやかましくなったと思ったらかわうそが魚をおいかける音だった。
重来休沐地、真作野人居。

将軍公休日のこの地に重ねておとずれたのだが、ここは将軍という地位の方なのに農民の住居のような感じがしてくる。



若竹の季節になりましたが東橋の竹はいかがな様子でしょうと尋ねやったところ、将軍から竹は今盛りだ遊びに来ないかとの返事があった。
よろこびすぎて着物をさかさに着たりしながらも、逡巡しながらもまた、馬の支度をして出かけてきたのだが、この山荘では枕を高くして寝ることができわが家のような気やすさをおぼえた。
花が垂れ落ちるかと見えたのは鶯にたたき落とされた蝶々であった、谷川のせせらぎがやかましくなったと思ったらかわうそが魚をおいかける音だった。
将軍公休日のこの地に重ねておとずれたのだが、ここは将軍という地位の方なのに農民の住居のような感じがしてくる。


重ねて何氏に過る 五首 其の一
東橋(とうきょう)の竹を問訊(もんじん)するに将軍より報書(ほうしょ)有り
衣(ころも)を倒さにして還(ま)た駕(が)を命じ、枕を高うすれば乃(すなわ)ち吾が廬(いおり)なり
花の妥(お)つるは鶯の蝶を捎(かす)めるにて、渓(たに)の喧(かまびす)しきは獺の魚を趁(お)うなり
重ねて休沐(きゅうもく)の地に来たれば、真(しん)に野人(やじん)の居(きょ)と作(な)る




重過何氏五首 其一

問訊東橋竹,將軍有報書。
若竹の季節になりましたが東橋の竹はいかがな様子でしょうと尋ねやったところ、将軍から竹は今盛りだ遊びに来ないかとの返事があった。
問訊 うかがう。~のことをたずねる。○報書 返事の手紙



倒衣還命駕,高枕乃吾廬。
よろこびすぎて着物をさかさに着たりしながらも、逡巡しながらもまた、馬の支度をして出かけてきたのだが、この山荘では枕を高くして寝ることができ、あたかもわが家のような気やすさをおぼえた。
倒衣 あわてて着物をさかさに着ること。『詩経』斉風・東方未明の詩の 「東方の末だ明けざるに、衣裳を顕倒す」を縮めたもの。○ 厚かましく思う心を抑えて、やっぱり行くことにしたとの意。○命駕 乗り物の支度を命じることから、杜甫は馬に乗り移動していたので、ここでは馬仕立てで出かけるという意味。
 いかにも。あたかも。



花妥鶯捎蝶,溪喧獺趁魚。
花が垂れ落ちるかと見えたのは鶯が蝶々のわきをかすめていったからであった、谷川のせせらぎがやかましくなったと思ったらかわうそが魚をおいかける音だった。
花妥 花が咲き散るのではなく、しぼみ垂れて落ちること。妥穏の意。妥はやすらか。おだやか。たれる。おちる=堕。○ すれすれに通り過ぎる。かすめる。○ かわうそ。



重來休沐地,真作野人居。
将軍公休日のこの地に重ねておとずれたのだが、ここは将軍という地位の方なのに農民の住居のような感じがしてくる。
休沐 将軍や官吏が休暇をもらって休養する。唐時代は、10日に1日公休があった。○野人 土着の人。農夫。農民。 

○韻 書、廬、魚、居。