送裴二虬尉永嘉  kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 誠実な詩人杜甫特集 78

送裴二虬尉永嘉
裴二虬が永嘉の尉に任ぜられて赴くのを送る詩。
作時は754年天宝13載43歳。

送裴二虬尉永嘉
孤嶼亭何處、天涯水氣中。
謝霊運の遺蹟である孤暁の亨はどこにあるのであろうか、天の果てはるかなところに、水蒸気、邪気のただよっているあたりという。
故人官就此,絕境與誰同。
わが友人たる君はその地へ官とし赴任する、あの地の境のような場所で君はだれとその風景を味わう趣を一緒にするか。
隱吏逢梅福,遊山憶謝公。
君がそこに任官するのは半隠半吏として隠れ役人だった漢の梅福にであったようなものである、同時にあの遊山ずきであった謝公を憶わずにはおれないのだ。
扁舟吾已僦,把釣待秋風。

わたしは小さな釣り舟をかりうける。秋風の吹く頃を待ってそちらにでかけて釣竿を手にしようと思っている。



謝霊運の遺蹟である孤暁の亨はどこにあるのであろうか、天の果てはるかなところに、水蒸気、邪気のただよっているあたりという。
わが友人たる君はその地へ官とし赴任する、あの地の境のような場所で君はだれとその風景を味わう趣を一緒にするか。
君がそこに任官するのは半隠半吏として隠れ役人だった漢の梅福にであったようなものである、同時にあの遊山ずきであった謝公を憶わずにはおれないのだ。
わたしは小さな釣り舟をかりうける。秋風の吹く頃を待ってそちらにでかけて釣竿を手にしようと思っている。



裴(はい)二虬(きゅう)が永嘉に尉たるを送る
孤嶼亭(こしょてい)何の処ぞ、天涯 水気の中。
故人官(こじんかん)此に就く 絶境 興誰とか同じくする。
隠吏(いんり)梅福(ばいふく)に逢う 遊山(ゆうざん)謝公(しゃこう)を憶う。
扁舟(へんしゅう)吾己に僦(やと)いぬ 釣を把るには秋風を待つ。





送裴二虬尉永嘉
裴二虬が永嘉の尉に任ぜられて赴くのを送る詩。
裴二虬 裴虬、字は深原。後ち769年大暦四年に道州刺史となった。刺史裴使君に陪して岳陽楼にのぼったことをよんだ詩。大暦四年春初の作。「陪裴使君登岳陽樓」○ 県の警察を掌る官、令の下官である。○永嘉 今の浙江省温州府。謝霊運が左遷された地であり、謝霊運はここの山水を愛し遊んだ。



孤嶼亭何處、天涯水氣中。
謝霊運の遺蹟である孤暁の亨はどこにあるのであろうか、天の果てはるかなところに、水蒸気、邪気のただよっているあたりという。
孤嶼亭(こしょうてい)  孤嶼は温州の永嘉江の中に在る。宋の謝霊運に「登江中孤嶼」詩(文選26巻「行旅」)があり、後人が亭を其の上に建てた。甌江の下流、海との接点に 孤嶼山がある。謝霊運は神仙の地ととらえていた。



故人官就此,絕境與誰同。
わが友人たる君はその地へ官とし赴任する、あの地の境のような場所で君はだれとその風景を味わう趣を一緒にするか。
故人 ふるなじみ、 裴虬をさす。○ 永嘉の地をさす。○絶境塵 世とかけはなれた境地。○ 風景に対しそれを味わう興味。



隱吏逢梅福,遊山憶謝公
君がそこに任官するのは半隠半吏として隠れ役人だった漢の梅福にであったようなものである、同時にあの遊山ずきであった謝公を憶わずにはおれないのだ。
隠吏 隠遁者の性質を帯びている吏。○梅福 漢末九江の人、南昌尉となる、王芥が政を尊にするや一朝妻子を棄て去って会稽に隠れた。人は伝えて仙となした。ここは裳をあてていう。○謝公 謝霊運をいう。霊運は山水の遊を好み、山水に関する詩賦を以て著名である。



扁舟吾已僦,把釣待秋風。
わたしは小さな釣り舟をかりうける。秋風の吹く頃を待ってそちらにでかけて釣竿を手にしようと思っている。
扁舟 小さな平べたい舟。○ かりうける。○把釣待秋 把釣とは釣竿を手にとろうとすることをいう。
ここは謝霊運の境地で詠っているにすぎない。まさかこの二人が15年後に岳陽楼に一緒に登ることなど予想だにしなかったことである。




○韻 中、同、公、風。