秋雨嘆三首 其一 杜甫 : kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 誠実な詩人杜甫特集 86(就職活動中 住まい:杜曲の家)
天宝13載 754年 43歳

754年 夏の間は、何将軍を訪れたり、舟遊びに一緒したり、納涼でにわか雨に逢ったりしたが、晴天が続いた後、秋になると、六十日間も雨が降りつづき、前年の日照りと今年は長雨、水害と交互に関中を襲い食糧不足に陥った。城内では米の値段が高騰した。

秋雨嘆三首  其一
雨中百草秋爛死、階下決明顏色鮮
著葉滿枝翠羽蓋、開花無數黃金錢
涼風蕭蕭吹汝急、恐汝後時難獨立
堂上書生空白頭、臨風三嗅馨香泣


秋雨嘆三首  其二 
闌風伏雨秋紛紛、四海八荒同一雲。
去馬来牛不復弁、濁涇清渭何当分。
禾頭生耳黍穂黒、農夫田父無消息。
城中斗米換衾裯、相許寧論両相直。


秋雨嘆三首  其三
長安布衣誰比數,反鎖衡門守環堵。
老夫不出長蓬蒿,稚子無憂走風雨。
雨聲颼颼催早寒,胡雁翅濕高飛難。
秋來未曾見白日,泥汙後土何時乾?


其一
雨中百草秋爛死,階下決明顏色鮮。
秋になって長雨が続く中、収穫の予定していたものが熟す前に腐ってしまっている、それなのに宮中の中にいる者たちは、色つやがいいのだ。
著葉滿枝翠羽蓋,開花無數黃金錢。
扇や日傘に翡翠の羽をいっぱいつけている、その花を開かせるにはどれだけ多くの黄金がかかったのか
涼風蕭蕭吹汝急,恐汝後時難獨立。
涼しい風がひゅうひゅうと吹いてきて次にもっと急に吹いてくる、後ろに倒されそうで一人立っているのが難しいほどなのだ
堂上書生空白頭,臨風三嗅馨香泣。

座敷の中に上がったままで書文しか能がない自分は空しく白髪頭を抱え込む、こんな風を前にして三回目の徳化を祈って香を焚き泣いてしまう。



秋になって長雨が続く中、収穫の予定していたものが熟す前に腐ってしまっている、それなのに宮中の中にいる者たちは、色つやがいいのだ。
御おぎや日傘に翡翠の羽をいっぱいつけている、その花を開かせるにはどれだけ多くの黄金がかかったのか
涼しい風がひゅうひゅうと吹いてきて次にもっと急に吹いてくる、後ろに倒されそうで一人立っているのが難しいほどなのだ
座敷の中に上がったままで書文しか能がない自分は空しく白髪頭を抱え込む、こんな風を前にして三回目の徳化を祈って香を焚き泣いてしまう。




秋の雨を嘆く三首  其の一

雨中の百草は秋に爛れて死せるに,階下の決明は顏色の鮮けき。
葉を著けては滿枝の翠羽の蓋(かさ),花を開きては無數の黃金の錢。
涼風は蕭蕭として汝を吹くに急に,時に後れし汝の獨り立に難きかと恐る。
堂上の書生は空しく白頭,風の臨(まえ) に三たび馨香を嗅ぎて泣く。




雨中百草秋爛死,階下決明顏色鮮。
秋になって長雨が続く中、収穫の予定していたものが熟す前に腐ってしまっている、それなのに宮中の中にいる者たちは、色つやがいいのだ。
爛死 熟れる前に腐って落ちること。○階下 きざはしのもと。○決明 宮廷の中のもの。



著葉滿枝翠羽蓋,開花無數黃金錢。
御おぎや日傘に翡翠の羽をいっぱいつけている、その花を開かせるにはどれだけ多くの黄金がかかったのか
滿枝 飾り物がいっぱいになる。○翠羽蓋 翡翠の羽で飾った蓋。



涼風蕭蕭吹汝急,恐汝後時難獨立。
涼しい風がひゅうひゅうと吹いてきて次にもっと急に吹いてくる、後ろに倒されそうで一人立っているのが難しいほどなのだ
蕭蕭 風の吹く音。



堂上書生空白頭,臨風三嗅馨香泣。
座敷の中に上がったままで書文しか能がない自分は空しく白髪頭を抱え込む、こんな風を前にして三回目の徳化を祈って香を焚き泣いてしまう。
堂上 堂は家の主要な居室、座敷というところか。○書生 書文しか能がないという意。○馨香 香を焚いて災いのないことを祈ることの意。