自京赴奉先縣詠懷五百字 杜甫 108 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 杜甫特集700-105-4


自京赴奉先縣詠懷五百字 #4


#4 
歳暮百草零、疾風高岡裂。
今は歳が暮れてきて冬になった。すべてのの草が零落した、強い木枯らしが吹きつけて、高い岡地は張り裂けんばかりである。
天衢陰崢嶸、客子中夜発。
大空の天路はどんより曇っていて暗い厚い雲がおおっている。こんな日の夜中になって旅客として長安を出発した。
霜厳衣帯断、指直不能結。
霜はきびしく衣の帯が凍って千切れるほどである、しかし自分の指は寒くて棒のようになってそれを結ぶことができないのだ。
淩晨過驪山、御榻在帶臬。』
日の出かかる頃に驪山を過ぎようとしている、いまはこの山の高いところに我が君の御椅子が設けられてある。』


歳(とし)暮れて百草(ひゃくそう)零(お)ち、疾風に高岡(こうこう)裂く。
天衢(てんく)  陰として崢嶸(そうこう)たり、客子(かくし)  中夜(ちゅうや)に発す。
霜は厳しくして衣帯(いたい)断(た)え、指は直(ちょく)にして結ぶ能(あた)わず。
晨(あした)を凌(しの)いで驪山(りざん)を過ぐれば、御榻(ぎょとう)は帶臬(てつげつ)に在り。


自京赴奉先縣詠懷五百字 #4 現代語訳と訳註 解説

(本文)#4 
歳暮百草零、疾風高岡裂。
天衢陰崢嶸、客子中夜発。
霜厳衣帯断、指直不能結。
淩晨過驪山、御榻在帶臬。

(下し文)
歳(とし)暮れて百草(ひゃくそう)零(お)ち、疾風に高岡(こうこう)裂く。
天衢(てんく)  陰として崢嶸(そうこう)たり、客子(かくし)  中夜(ちゅうや)に発す。
霜は厳しくして衣帯(いたい)断(た)え、指は直(ちょく)にして結ぶ能(あた)わず。
晨(あした)を凌(しの)いで驪山(りざん)を過ぐれば、御榻(ぎょとう)は帶臬(てつげつ)に在り。

(現代語訳)
今は歳が暮れてきて冬になった。すべてのの草が零落した、強い木枯らしが吹きつけて、高い岡地は張り裂けんばかりである。
大空の天路はどんより曇っていて暗い厚い雲がおおっている。こんな日の夜中になって旅客として長安を出発した。
霜はきびしく衣の帯が凍って千切れるほどである、しかし自分の指は寒くて棒のようになってそれを結ぶことができないのだ。


(語訳と訳註)

歳暮百草零、疾風高岡裂。
今は歳が暮れてきて冬になった。すべてのの草が零落した、強い木枯らしが吹きつけて、高い岡地は張り裂けんばかりである。
百草 すべての草。○ 零落。


天衢陰崢嶸、客子中夜発。
大空の天路はどんより曇っていて暗い厚い雲がおおっている。こんな日の夜中になって旅客として長安を出発した。
天衛 そらのみち、気のゆきかよう処、天上をいう。〇時嘆 陰気のたかくそびえるさま。○客子 たびびと、杜甫自身のこと。○中夜 よなか。○ 出発。


霜厳衣帯断、指直不能結。
霜はきびしく衣の帯が凍って千切れるほどである、しかし自分の指は寒くて棒のようになってそれを結ぶことができないのだ
持直 ゆびが棒のようになる。○ 衣帯をむすぶこと。


淩晨過驪山、御榻在帶臬。
日の出かかる頃に驪山を過ぎようとしている、いまはこの山の高いところに我が君の御椅子が設けられてある。』
凌晨 日出の頃をおかして。○驪山 長安の東臨潼県にある山の名、山下に温泉があり、玄宗の離宮である華清宮挙措宮はここにある。
杜甫乱前後の図002奉先

御榻 おんいす。○帶臬 山の高いさま。玄宗は大抵毎年十月離宮に行幸したが、此の時も楊貴妃と滞在中であった。
 
 
(解説)

杜甫は長安の朝のひとごみを避け真夜中に都を出た。初冬の暗い中馬車を進めている。寒さは厳しく、帯がほどけても指がかじかんで結ぶことができないのだ。やがて夜が明けになり、驪山の麓(長安から二十数km)にさしかった。ここには皇帝の離宮華清宮(楊貴妃と過ごすようになって名称をこれに変えた。それまでは、温泉宮。りはく「」)が築かれていて、山の険しいところに玉座のある宮殿が建っているのが見える。参照、李白朝廷翰林院の時、三首がある。

侍従遊宿温泉宮作 

駕去温泉宮後贈楊山人 

溫泉侍從歸逢故人